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午後、体育館で行われた実施設計報告会。

当然なことだが、耐震に考慮した安心安全な校舎であることに加え、将来の国重要文化財に向けたレベルでの改修案について、きめ細かな説明がされた。
建築学会の支援というこれ以上無いノウハウの注入があったとは言え、この難題に果敢に挑戦して図面化した叡智は、きっと将来における地域の宝となるに違いない。

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黒板もゆるく曲面になっていて、どこの席からも文字が反射して見づらくないように配慮されている。

この校舎を見てゆくと、何度来てもその都度発見があり、そうした工夫や一ひねりも二ひねりもされた熟慮のプランによって出現していることに、今更ながら驚かされる。今から丁度５０年前、昭和３３年に完成した新玉の建築作品である。

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一見、効率的発想からは全く不必要と思われる構成が至る所に施され、子供への優しさと愛が満ち溢れている。

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階段部分は、松村建築の真骨頂。

緩やかで変化に富むゆとりの空間から、圧迫感や閉塞感とは無縁の教育的のびやかさが醸される。

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階段は、このくらい緩やかな勾配。

これなら小さな一年生でも楽に上がれる。
こうした子供目線の簡単な工夫さえ、どこの小学校建築でもされている訳ではない。
通常は、学校の主役である子供の為よりも、階段スペースが余分に必要となるというコスト効率、言わば大人の見解で学校が建てられてはいないか。

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ここもよく取り上げられる場所。

玄関を入って直ぐの所にある二階への緩やかな階段。
コーナーは、出会いがしらの視認性と、採光、空間の開放性などで隅切りとしている。

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見学途中で雨が降り出した。

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手摺りの曲げ方などは至難の業（わざ）。

どこかの町工場だろうか、鉄工職人も大変だったに違いない。
第二期工事の東校舎では、非常階段の作りも微妙に違っているとのこと。
松村正恒氏の建築には、必ずそうした工夫箇所の進歩が見られ、何らかの変更が加えられている。

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中校舎側の非常階段。

昭和３１年に竣工した第一期工事で、手計算による構造計算をして施工。
今のようにパソコンの無い時代に、一つ一つを慎重に手間をかけて、入念なプランに基づく施工を進めたことがよく分かる。

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そのベランダから、喜木川上流方向を望む。