相続税対策の海外移住について考える
さて、今回は相続税対策としての海外移住についてです。
(写真上、「魔女の宅急便」の舞台にもなったクロアチアのドゥブロヴニク)
<日本国内での対策>
相続税は相続財産が2億円以上で45%、3億円以上で50%、6億円以上では55%です。(平成27年1月1日より)
何も対策をしなければ、2億円以上の資産を持っている方の約半分の資産が相続によって国に召し上げられます。
一方、贈与は年間110万円までは非課税で、また200万円以下の場合は10%の税率です。
例えば、2人の子供と4人の孫の計6人に毎年310万円を10年間贈与した場合。
「310万円 × 6人 × 10年間 = 18,600万円」
「贈与税額 20万円 × 6人 × 10年間 = 1,200万円」
この場合の、贈与税額1,200万円は移転できる1億8,600万円の約6.5%です。
また、定期保険特約付き終身保険を活用した場合、「500万円 × 法定相続人数」が相続税法上非課税です。
例えば、法定相続人の妻と子供3人の計4人の場合は2,000万円が非課税になります。
他には、「旅行が大好きで年に何度も海外に行っている。」「カジノが大好きでラスベガスやマカオに頻繁に行っている。」「夜遊び(お酒・ギャンブル・異性/同性)が大好き。」などお金を上手く使っている方もいらっしゃいます。
つまり、海外に移住しなくても日本居住で考えられる節税対策はいろいろあります。
<国際相続の難しさ>
また、海外居住者となるためには、家族全員が海外に5年間以上居住しなければなりません。
非上場企業のオーナー一族の方の場合は、高額な出国税を払う必要があるかも知れません。
また5年未満で日本に帰国する事になった場合は、国税庁の海外財産への課税強化のため、海外居住経験者は居住地の預金口座や不動産をマークされやすいことも覚悟する必要があります。
年間の相続税が課税される件数が約5万1,000件(平成23年)に対して、税理士の数は7万1,000人です。相続税の申告件数より税理士の数の方が多い事からも相続税の実務経験のない税理士が多い事が推測できます。
国際間の相続案件を担当したことのある税理士となるとさらに限られます。国際相続と一口にいっても、先進国で法整備がしっかりしたアメリカ、カナダ、オーストラリア、スイス、シンガポールなどでも国によって法律は全く異なるので該当国の税制に精通した方を探すのは非常に大変です。まして、最近話題のマレーシアやタイ、フィリピンなどの政治の不安定な発展途上国の場合はなおさらです。
<海外移住は相続税対策になるか?>
答えは、YESでもありNOでもあります。
キチンと計画を立てその道の専門家からアドバイスを得て行う海外移住なら有効な相続税対策にもなります。一方、インターネットや書籍から得た情報のみでは、書き手にとって都合の良い情報ばかりを発信している場合もあり、後になって予期せぬ問題が発生する事も考えられます。
個人的な意見としては、完全な海外移住ではなく、日本にも生活の拠点を残したまま海外中心の生活をするのが良いと感じます。桜の咲く季節と、秋の紅葉は日本で楽しむ。日本には素晴らしいところがたくさんあります。
ル・セルヴァンでは、海外移住と相続対策のアドバイスをワンストップでご提供できるように、海外の移住国の事はもちろん、国内の相続、贈与に詳しいコンサルティングファーム(税理士事務所)とも連携しています。二次相続まで視野に入れた海外移住のプランをご提案することも可能です。詳しくは下記ホームページよりご連絡ください。
参考文献
永峰潤著「海外資産の相続」(幻冬舎、2014年)
西村美智子著「出国税のしくみと手続きQ&A」(中央経済社、2015年)
田中誠著「相続税対策は顧問税理士に頼むと必ず失敗する」(幻冬舎、2013年)
服部誠著「相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法」(幻冬舎、2013年)
ル・セルヴァン・ウェルスマネジメント香港株式会社
Email: info@le-cervin.com
ホームページ: http://lcwm-premier.com
さて、今回は相続税対策としての海外移住についてです。
(写真上、「魔女の宅急便」の舞台にもなったクロアチアのドゥブロヴニク)
<日本国内での対策>
相続税は相続財産が2億円以上で45%、3億円以上で50%、6億円以上では55%です。(平成27年1月1日より)
何も対策をしなければ、2億円以上の資産を持っている方の約半分の資産が相続によって国に召し上げられます。
一方、贈与は年間110万円までは非課税で、また200万円以下の場合は10%の税率です。
例えば、2人の子供と4人の孫の計6人に毎年310万円を10年間贈与した場合。
「310万円 × 6人 × 10年間 = 18,600万円」
「贈与税額 20万円 × 6人 × 10年間 = 1,200万円」
この場合の、贈与税額1,200万円は移転できる1億8,600万円の約6.5%です。
また、定期保険特約付き終身保険を活用した場合、「500万円 × 法定相続人数」が相続税法上非課税です。
例えば、法定相続人の妻と子供3人の計4人の場合は2,000万円が非課税になります。
他には、「旅行が大好きで年に何度も海外に行っている。」「カジノが大好きでラスベガスやマカオに頻繁に行っている。」「夜遊び(お酒・ギャンブル・異性/同性)が大好き。」などお金を上手く使っている方もいらっしゃいます。
つまり、海外に移住しなくても日本居住で考えられる節税対策はいろいろあります。
<国際相続の難しさ>
また、海外居住者となるためには、家族全員が海外に5年間以上居住しなければなりません。
非上場企業のオーナー一族の方の場合は、高額な出国税を払う必要があるかも知れません。
また5年未満で日本に帰国する事になった場合は、国税庁の海外財産への課税強化のため、海外居住経験者は居住地の預金口座や不動産をマークされやすいことも覚悟する必要があります。
年間の相続税が課税される件数が約5万1,000件(平成23年)に対して、税理士の数は7万1,000人です。相続税の申告件数より税理士の数の方が多い事からも相続税の実務経験のない税理士が多い事が推測できます。
国際間の相続案件を担当したことのある税理士となるとさらに限られます。国際相続と一口にいっても、先進国で法整備がしっかりしたアメリカ、カナダ、オーストラリア、スイス、シンガポールなどでも国によって法律は全く異なるので該当国の税制に精通した方を探すのは非常に大変です。まして、最近話題のマレーシアやタイ、フィリピンなどの政治の不安定な発展途上国の場合はなおさらです。
<海外移住は相続税対策になるか?>
答えは、YESでもありNOでもあります。
キチンと計画を立てその道の専門家からアドバイスを得て行う海外移住なら有効な相続税対策にもなります。一方、インターネットや書籍から得た情報のみでは、書き手にとって都合の良い情報ばかりを発信している場合もあり、後になって予期せぬ問題が発生する事も考えられます。
個人的な意見としては、完全な海外移住ではなく、日本にも生活の拠点を残したまま海外中心の生活をするのが良いと感じます。桜の咲く季節と、秋の紅葉は日本で楽しむ。日本には素晴らしいところがたくさんあります。
ル・セルヴァンでは、海外移住と相続対策のアドバイスをワンストップでご提供できるように、海外の移住国の事はもちろん、国内の相続、贈与に詳しいコンサルティングファーム(税理士事務所)とも連携しています。二次相続まで視野に入れた海外移住のプランをご提案することも可能です。詳しくは下記ホームページよりご連絡ください。
参考文献
永峰潤著「海外資産の相続」(幻冬舎、2014年)
西村美智子著「出国税のしくみと手続きQ&A」(中央経済社、2015年)
田中誠著「相続税対策は顧問税理士に頼むと必ず失敗する」(幻冬舎、2013年)
服部誠著「相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法」(幻冬舎、2013年)
ル・セルヴァン・ウェルスマネジメント香港株式会社
Email: info@le-cervin.com
ホームページ: http://lcwm-premier.com