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◇企業システム◇サンがオープンソースDBソフト「MySQL」を発売

2008-04-11 19:21:24 | システム開発
 MySQLとサン・マイクロシステムズは、オープンソースDBソフト「MySQL」製品について日本語による技術解説の提供とサポートを開始した。これにより、世界で最も普及しているオープンソースDB「MySQL」の日本語環境を大幅に強化し、企業レベルでの利用を積極的に促進することにしている。また、現在のMySQLの販売チャンネルに加え、5月上旬からサンの販売チャンネルでもMySQLの販売を開始する。(08/04/09発表)

 【コメント】MySQLはこれまで1億以上のダウンロードの実績があり、PostgreSQLと並び世界で最も普及しているオープンソースDBソフトである。このスウェーデンのMySQL社を08年2月にサンが買収し業界を驚かせた。サンは独自OSのSolarisをオープンソース化するなど、OSSに対してはことのほか熱心であり、MySQL買収はサンから言わせると特別なことではないということになるのだろう。

 しかし、OSSサイドから言わせると大いに問題がある。一つはオープンソースソフトが1ベンダーの傘下に入って中立性が保てるかという問題。さらに、もう一つは、やはりOSS事業は経済的基盤が脆弱で、レッドハットなどを除き企業として維持できないのではないか、という問題だ。この2つの問題に対しての回答はもう暫く様子を見ないと分からない。しかし、日本ではOSS専門を鳴り物入りでスタートさせたソフト企業が買収されたり、会社更生法を適応されるなど、ベンチャー系のOSS企業の前途は必ずしも明るいとは言えない。これはOSSが普及するに従って大手が参入してきてベンチャー系が市場から締め出しを食らわされたためだ。

 一方、サンがMySQを買収した前向きの回答は、経済的基盤が確立できたことと、サンのこれまで開拓した販路を一挙に手に入れることができたことであろう。これにより、MySQLはPostgreSQLを抜き一挙にオープンソースDBの頂点に君臨できる可能性が出て来た。そこで、最後の決戦となるのはORACLEとの対決だ。サンはオラクル対策としてMySQLを買収したはずだ。基幹DBソフトについいてはこれまでORACLEが市場を独占してきた。独占というのは得てして弊害を伴う。IBMがメインフレームを独占した結果どうなったか。ユーザーが囲い込み戦略を嫌ってオープン化に走り、メインフレームは衰退してしまった。同じことがDBソフトにも当てはまるかもしれない。いずれにしてもこれからのユーザーはORACLEとMySQL(あるいはPostgreSQL)の優劣をしっかりと見極めて導入することが欠かせまい。そのことがユーザー、ベンダー双方にメリットをもたらすからだ。(ESN)

http://ja.wikipedia.org/wiki/MySQL