goo blog サービス終了のお知らせ 

英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語コラム(30)

2006年09月09日 | コラム
今回、何も考えないで構文の丸暗記などしていると、思考停止に陥ってしまうという典型的なケースです。

(1)George asked Ann [ whether the earth is round ] . (〇)
  (ジョージはアンに [ 地球は丸いのか ] 尋ねた。)

(2)George asked Ann [ that the earth is round ] . (×) (訳同上)
  
(1)で使われている構文は、‘ask A whether ~’「A に ~ かどうか尋ねる」というものです。特に‘whether’を使った節は、「~ かどうか」という「問い」を表す節を導くもので、意味的にも、‘ask’に直接に対応させやすく簡単なので、‘ask A whether ~’のカタチでそのまま暗記してしまうのが、1つの方法だと思われます。

また、この丸暗記型の考え方を支持するのは、(2)のように、‘ask A that ~’となった場合、アウトになってしまうということです。つまり、‘whether’節や、‘that’節といったように、いくつかの種類をもつ節は、予め述語によって、どういった節を取るのかが決まっていて、1つの構文の中にそのままセットとして組み込まれているという考え方です。

(3)I know [ that the earth is round ] . (私は [ 地球が丸いことを ] 知っている。)
(4)I know [ whether the earth is round ] . (私は [ 地球が丸いかどうか ] 知っている。)

しかし、(3)のように、‘know’「知っている」という動詞は、通常、‘that’節を取りますが、一方、(4)のように、‘whether’節を取ってもよいことになっています。ということは、‘know’の場合は、とりあえず、‘that’節と‘whether’節、どちらでも常にOKと暗記してしまうべきなのかということになりますが、ここで問題が発生します。

(5)I do not know [ that the earth is round ] . (×)
  (私は [ 地球が丸いことを ] 知らない。)

(6)I do not know [ whether the earth is round ] . (〇)
  (私は [ 地球が丸いかどうか ] 知らない。)

(5)のように、(3)を否定文にしたものは、一般的にアウトになり、一方、(6)のように、(4)を否定文にしたものはOKです。つまり、‘know’を使った否定文の場合、それが取り得る節の種類が‘whether’節に制限されてしまうという条件があるということになります。

(7)I did not know [ that the earth is round ] . (〇)
  (私は [ 地球が丸いことを ] 知らなかった。)

(7)でも、‘know’が‘that’節を取っていますが、しかし、(5)と同じく否定文であるにもかかわらず、何とOKになっています。(5)では‘know’が、現在形の否定文ですが、一方、(7)では、‘know’が過去形の否定文になっています。つまり、‘know’は現在形であり、かつ、否定文の場合、‘that’節が許されない、という条件に修正することになります。

(8)George does not know [ that the earth is round ] . (〇)
  (ジョージは [ 地球が丸いことを ] 知らない。)

今度は(8)ですが、この場合も、‘know’が‘that’節を取っていてOKです。(8)で注意すべきは、‘know’が現在形の否定文ですが、何と、それでもOKなのです。(8)の場合、(5)の主語である‘I’「私」が、‘George’「ジョージ」に変わっただけです。

つまり、‘know’は、現在形の否定文では‘that’節を取ることができないが、それは主語にもよる、などという非常にややこしい条件を付けなければならないことになっているわけです。しかし、こんな構文の覚え方なんて一体どんな意味があるんでしょうか?

そこで、もう一度、(3)~(8)をよく観察してみて、‘know’「知っている」の意味を考えてみればわかると思いますが、まず、「知っている」という表現は、否定文では、もちろん、「知らない」となるわけです。ヒトは知らないことを正しく述べることはできません。

(9)私は、3日後に地球が滅亡することを知らない。
(10)私は、3日後に地球が滅亡するかどうかは知らない。

(9)のような発言は矛盾しており、現実的にはあり得ないものです。ただし、(9)がOKになるような状況は一応あって、それは、地球の滅亡が確定されていて、かつ、そのことを、(9)の話者である「私」が知っているような場合です。しかし、そのような状況は、SFやドラマの世界で、「私」が「私」から分離してナレーションをするなどの第三者的な立場になるような場合のみです。

ですので、現実世界で、「私」が地球の滅亡を知らなければ、(10)のように発言するのが正しく、これは自然なことだと思われます。これを言いかえれば、逆に、「私」が地球滅亡を知っていて、それを伝える表現にするならば、あえて、「~ かどうか」などといった表現を使うことはないわけです。要するに、(9)の奇妙さは、知らないのに知っていることを前提としたような発言が矛盾しているということからくるものです。

(11)私は、3日後に地球が滅亡することを知らなかった。

(11)のように発言するのは、現実世界では可能です。過去に起こった出来事ならば、その時に知らなかったとしても、発話している時点で知っていれば (かつ、「私」が生き残っていれば (笑)) よいわけですから、事実上、(11)の「私」は、地球滅亡を知っている上での発言として何ら矛盾はありません。

(12)ジョージは、3日後に地球が滅亡することを知らない。

(12)は、もちろん、ジョージが知らないだけであって、話者である「私」が地球滅亡が確実であることを知っていて発言している場合は、何ら矛盾にはなりません。つまり、こういったことをトータルで考えると、結局のところ、発話している人物本人が、発話している時点で知らないことを、知っているかのような前提で、「知らない」と言っていることが、(5)をおかしくしている原因ということになります。

(13)I would like to know [ whether he will come ] . (〇)
  (彼が来るかどうか知りたいのですが。)

(14)I would like to know [ that he will come ] . (×)
  (彼が来るのが知りたいのですが。)

話者が知らないようなことかどうかが、‘know’の‘that’節の可否に関する決め手になるので、(13)がOKで、一方、(14)がアウトなのは、もちろん、話者である「私」が尋ねたい内容 (知らない内容) が‘know’以下に続いているからです。

(15)Do you know whether he will come ? (〇) (彼が来るか知ってますか?)
(16)Do you know that he will come ? (〇) (彼が来るのを知ってますか?)

(15)と(16)は共にOKですが、(15)の場合は、‘know’以下が話者が知りたいと思っている内容か、または、話者自身は知っているが、尋ねている相手に正しい情報を答えさせようという意図がある場合のどちらかです。一方、(16)は、‘know’以下の情報を話者自身は知っていて、相手に、こんな情報があるが知っているか、と尋ねている場合になります。

ですので、‘that’節か‘whether’節か、といった問題は、‘ask’のように単純な場合はともかく、煎じ詰めて考えると、暗記構文として処理すべき問題ではなく、結局は、しっかりと文全体の意味を考えて判断した上で自然なものを選ぶ、というようなことにつきると言えますね。

       みんなの英会話奮闘記★      ★英語・人気blogランキング