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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(112)

2006年04月01日 | 比較
EG109、EG110、EG111の続きです。比較構文の共通点です。以下、見ましょう。

(1) a. John has more money than Tom has 10 dollars.
    (ジョンは、トムの10ドルを越える額をもっている。)

   b. John has more money than 10 dollars.
    (ジョンは、10ドルを越える額をもっている。)

(1a)からわかることとして、‘John has money’と‘Tom has 10 dollars’の2つの文が、比較されていると言えます。もちろん、(1a)においては、‘than’以下で、‘Tom has 10 dollars’のような文が続いているので、‘than’は、接続詞ということになります。

しかし、一方、(1b)のような比較の構文も存在し、‘than’以下が、‘10 dollars’のような名詞表現だけなら、‘than’は、前置詞と見なせます。 (ただし、‘than’以下の文に対して消去が行われた結果、名詞表現のみが残ってしまう場合もあるので、その場合は、「‘than’+名詞表現」と言えども、‘than’を接続詞と見なしても構いません。EG110、参照。)

(2)John has more than 10 dollars. (訳同(1b))

しかし、(1b)以外にも、(2)のような表現の仕方があります。実質的には、(1b)も(2)も同じ意味です。恣意的に考えるならば、(1b)から、‘money’を消去してしまえば、(2)のような文をつくり出すことは可能です。ですので、(2)は、(1b)からの変形である、と関連付けて説明したくなります。

(3)John has no more than 10 dollars. (ジョンは、たったの10ドルしかもっていない。)
(4)John has no less than 10 dollars. (ジョンは、10ドルもの額をもっている。)

(3)の‘no more than ~’「たったの ~」や、(4)の‘no less than ~’「~ もの (多くの)」は、よく、慣用表現としてそのまま覚えてしまうことになっていますが、(1b)と(2)を手がかりとして、とりあえずは、‘no more money than’や‘no less money than’といった表現を想定して、そこから‘money’が消去されたと考えれば、一応の説明はつきます。

(5)More than 10 dollars were lost in the gamble. (その賭博で10ドルを越える額が失われた。)

(5)では、‘more than 10 dollars’が主語位置にあり、1つのカタマリと見なされているわけですから、やはり、‘more money than 10 dollars’と同じ解釈でよいと言えます。 (この場合、‘than’は、接続詞ではなく、前置詞としての扱いを受ける以外に選択肢はありません。EG110、参照。)

(6)John more than hates Tom. (ジョンはトムを嫌っている以上のものがある。)

(6)のような文では、(1a-b)のように、‘than’の前に文があるわけではなく、‘John’という名詞と‘more’があるだけで、かつ、‘than’の直後で、‘hates Tom’という、「動詞+目的語」がきており、一見、‘John more than’が、1カタマリの主語かと見当をつけてしまいますが、それでは、‘than’の直後 (‘hate’の前) にあるはずの比較対照要素がありません。

というわけで、‘than’の直後には、何もないということになり、どう見ても、何が消去されているのか見当がつきません。そこで、(6)の日本語訳を見ると、実は、(6)は、‘than hates’の部分の意味が、「嫌っている以上」となっています。ですので、(6)は、その意味からして、明らかに、動詞‘hate’「嫌う」が比較対照要素とされていることだけは、確かなようです。

(7)John can jump better than he can run. (○)
  (ジョンは、走るよりもジャンプの方が得意だ。)

(8)John can jump better than run. (×) (訳同上)

ところで、(7)はOKですが、一方、(8)はアウトです。つまり、‘jump’「ジャンプする」に対して、‘run’「走る」のように、お互いの動詞が比較の対照要素である場合、例え、‘run’以外の他の要素‘he can’が、‘John can’=‘he can’のように同一要素であることから、消去の対象とされる場合であっても、残しておかなければならない、というような制約があります。

そこで、(8)がアウトであるという事実からすると、(6)の‘than’以下では、‘hates Tom’の主語が欠けており、同様にアウトとなっても、別におかしくはないはずですが、事実としてOKなのです。ですので、(7)に関しては、これまでとは考え方を根本的に改めなければなりません。

そこで、(6)では、ただ単に、‘more than’という1つのカタマリが、‘John hates Tom.’という文に割り込んだ、というような考え方が、最も妥当ではないかと思われます。つまり、(6)は、文と文をつないだ状態から派生されて、最終的にでき上がったのではなく、‘more than ~’「~ 以上」という、ワンセットの表現が、もともと存在していて、ただ単に意味の付加を行っているだけ、という考え方です。

(9)John plays baseball as well as Tom.
(10)a. ジョンは、トムと同じくらい野球が上手い。
   b. ジョンは、トムと同じく野球をします。

(9)では、‘as well as ~’という比較の構文が使われていますが、その意味はあいまいであり、(10a-b)のように、2通りの解釈が可能です。まず、(10a)の解釈では、‘well’「上手く」自体がもっている意味が、そのまま活かされています。しかし、一方、(10b)の解釈では、‘well’のもつ意味は消えてしまい、ただ単に、「~ と同じく」といった意味しかもっていません。

(11)John as well as Tom plays baseball well. (訳同(10a))
(12)John as well as Tom plays baseball. (訳同(10b))

そこで、(11)ですが、‘John as well as Tom’「トムと同様にジョンも」の‘well’には、「上手く」の意味が残されていません。その証拠として、文の末尾に、改めて‘well’が用いられて、(10a)と同じ解釈になります。ですので、(12)のように文の末尾に‘well’のない文の解釈は、(10b)と同じものになります。

つまり、(11)のような場合、主語位置に、‘John as well as Tom’という表現があると、それが1つのカタマリと見なされるわけですから、‘well’が動詞‘play’にまで及ぶことができず、当然、‘well’には、副詞としてのはたらきが不可能となり、別の選択肢 (この場合、「~ と同じく」の解釈) があるなら、それを取るより他にない、ということになります。

ですので、やはり、‘as well as ~’は、比較の構文として、「~ と同じくらい上手く」の意味で使う場合もあれば、一方、それとは関係のない、単なる慣用表現として、「~ と同じく」の意味も、別に存在すると考えなければならず、ちょっと紛らわしいと言えます。

(13)John as much as admits his guilt. (ジョンは自分の罪を、事実上、認めている。)
(14)John went as far as Japan. (ジョンは、日本まで行った。)

この種の比較構文からの慣用表現には、(13)の‘as much as ~’「事実上 ~」のように、挿入的に使われるタイプ ((13)の場合、主語と動詞の間に挿入) のものや、一方、(14)の‘as far as ~’「~ まで」のように、本来の表現の代替的な役割をもって使われるタイプ ((14)の場合、‘to’の代用) がありますが、いずれも、‘much’や‘far’がもっている本来の意味がつかみにくいという特徴があります。

(15)As soon as John came、Mary left. (ジョンが来たら、すぐにメアリーは立ち去った。)
(16)As far as I know、John is naive. (私が知る限り、ジョンはバカ正直です。)

(15)の‘as soon as ~’「~ するとすぐに」や、(16)の‘as far as ~’「~ する限り」のように、文と文をつなぐ接続詞としての用法が定着しているものもありますが、いずれにせよ、比較の構文としての特徴は見られず、1つのカタマリとして、別用法と認識すべきものです。

(17)They are more or less the same. (それらは、多かれ少なかれ同じものですよ。)
(18)John has more than two sons. (ジョンは、息子が2人いるだけではない。)

(17)は、‘more or less’「多かれ少なかれ」が、1つのカタマリと見なされます。特徴としては、‘than ~’といった表現をともなうことがないので、この点、やはり、比較の構文とは異なっています。(18)は、‘more than ~’が、「~ より多く」といった意味のみならず、「~ 以外」といった意味ももっていて、息子が3人以上いる、といった解釈もあれば、一方、息子の他に娘もいますよ、といった解釈もあります。

今回のポイントは、‘~ -er than ・・・’や、‘as ~ as ・・・’が用いられている文で、一見、比較の構文のように見えるのですが、実は、単なる慣用表現である場合があり、それらを単純に比較の構文と結び付けて考えることは不可能であるということです。

対策としては、予め、そういった表現を覚えておく以外に方法はなく、慣用表現としての使い方のみのものもあれば、また、比較の構文としても用いる場合もあるものもあって、とてもややこしいのが難点ですが、明らかに比較の構文とは異質な使い方をしている場合は、無理に比較の構文からの派生とは考えたりせずに、ただ単に、比較の表現を借用してきた1カタマリの別構文くらいに考えておくのが正解ということです。

比較の構文は、基本形の理解もさることながら、擬似表現も結構多くて奥が深いものです。

●関連: EG109EG110EG111

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