ターフの風に吹かれて

一口馬主の気ままな日記です。
キャロットクラブの会員です。

隣り合わせ

2011年01月17日 | ブログ
昨日はテンポイントのことを書いたが、
リンク先のYouTubeの動画は何度見ても泣ける。

テンポイントがずるずると後退していく姿に重なるイントロ、
脚を引きずりながら馬運車に乗り込むシーン、
頑張れテンポイントと書かれた千羽鶴、
そして、母ワカクモの悲しげな表情。

当時を思い出して涙する。

テンポイントは、だから僕にとって別格の存在だが、
それ以外にも思い入れのある馬はたくさんいる。
ミホシンザンはかなり好きだった。
牝馬ならダンスパートナーとエアグルーヴ。
グラスワンダーは好きというよりもその怪物ぶりに畏怖した。

そんな歴史に名を残すGI馬たちにまじって、
しかし、それらと同等に好きだったのがユキノローズだ。

1982年産なのでもう四半世紀以上も前の馬だが、
クラシックにも出たし重賞も勝ったし、何より、
オープンでタフに走り続けたので覚えている人もいると思う。
また、レインボーペガサスのお祖母さんでもある。

応援するようになったきっかけは当時付き合っていた彼女だ。
日曜日の午後は、僕の部屋でよく二人で競馬中継を見た。
というより、僕が見たかったからむりやり付き合わせた。
そんな彼女がある時ふとつぶやいた。

「ユキノローズって名前、かわいいね」

以来、二人でユキノローズを応援するようになった。
ユキノローズはほぼ月一ペースでメインに出走し続けたから、
すなわち月に一回はテレビで見ることができた。

「またダメだったね」

レース後に出る言葉はいつもそれだった。
しかし、どんな形であれ、
彼女が競馬に興味を持ってくれたことが嬉しかった。
今思うとそれは、僕に対する優しさだったのかもしれない。
そしてそれに気づかなかった僕は、ガキだったということだろう。

流行歌を聞くと、それが流行った時代を思い出すという。
確かに歌は時代を映す鏡でもある。
僕の場合、それが馬であることが多い。
ある馬の名前を聞くと、その馬が活躍していた時代を思い出す。
そして、そのとき自分は何を考え何をしていたのかを思い出す。

僕のそばにはいつも競馬があった。

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