piano class emi.i.

いいピアノを弾きたい

誰も寝てはならぬ

2016年01月29日 | 演奏会
昨年11月10日@サントリーホールで内田光子さんのディアベリ変奏曲の演奏会
11月29日@ミューズ アークホールにてツィメルマンのシューベルトソナタ 大きいほうのA-dur とB-dur
の演奏会に行って参りました。

内田光子さんの演奏会は友人にお知らせいただき3ヶ月前からレッスンを調整して、レッスンを終日休みにしてお風呂に入ってわくわくしながらその時を迎えました。期待しすぎていかんかな?と思いながらも初めて聴くルードウィッヒ最期の傑作は 幼いうたを様々に変奏させ それが人の生きざま 苦しみにへこみながらも成長していくようなまさに変容していく という 内田光子さんというピアノに人生を捧げたルートウィッヒと同じ芸術家だからこそ感じ取れる世界観で完璧な技術で 披露してくださった。この曲は最難関のような作品で一気に弾き上げた彼女の演奏は見事としかいいようがない。素晴らしかったです。
彼の作品は必ず救いがある!ということ。
このディアベリと同じように シューベルトの最期のふたつのソナタもまた美しさと死への恐怖 孤独が漂う。
聴きながら自らの今を見つめ直すことが出来る名曲。

これらの楽曲はピアノを楽しみとして弾く人たちからは「長い」の一言で片付けられることが多い。
ピアノが弾けるようになって エリーゼのために、子犬のワルツ、幻想即興曲、愛の夢、カンパネラ。
それ以外は演奏効果が少ないわりに 長く難しいという理由で聴くことさえもない現状。

まったく別物ですよね。同じクラシックですけど…。
わたしは10代の頃からベートーウェンのソナタが好きだったけれど、レッスンで悲愴を弾いたあとベートーウェンは嫌いです。とよく聞きます。
そんなことでめげることはありませんが、

さて内田光子さんの演奏会は美智子さまも聴きにいらしていて さすがだなと思いましたが、聴衆各自が作品、演奏をじっくり楽しみ ときには目を赤くしている方も何人もいらした。わたしもさすがに胸がいっぱいで、おいしいお酒をいただきましたねー。
内田光子を聴く。という人と最高の演奏家のディアベリを聴きにきた人と、しあわせな贅沢な時間。

ツィメルマンも前半のA-durは驚くほど美しく作品への敬意にあふれていてわたしのまわりのたまたま同じ演奏を聴く機会に恵まれた方々も 休憩中みなさんが感嘆のため息 賛辞にあふれていました。
今振り返れば この時点でもう満足しきっていた。シューベルトの死期をさとったかのような深遠な世界…。
自分が生と死を彷徨う瞬間にこの音楽が頭の中で鳴ってくれたら!

そして後半B-dur.
客席の大半が前半の演奏に酔ってさらなる期待を持って 演奏者といっしょに息をとって2楽章をうたっていた。
そこへ!
いびきですよ!奥さん!!
いびき!!!
なんてこと!?
信じられない。
最も美しいpppを出そうと最大集中をしているピアニスト
聞き逃すまいと耳をこらしている私たちになぜかでかすぎるい!び!き!!
そのくそおやじは私の席からも見えてまわりの人がなんとか止めようとしている様まで視界にはいってくる。
目を閉じればいびき。いびきを疎外する能力(聴きたい音だけをチョイスする)を全開にしてもその能力を引き出そうと考える瞬間さえ惜しい。

3楽章の時はホールの人が起こしたのか曲に集中できましたし、結局トータル素晴らしかった!ことがあまりにも大きくて。
終演後 わたしのまわりの人々が あのくそおやじ!と口々につぶやきながら歩いていた。
わたしも感動と興奮は覚めやらず、、こんなにすごいピアニストだったんだツィメルマン♥
と…。
だがしかし、どうしても2楽章のあのいびきがあった時間を取り戻すべく
パソコンを開き ぽちっと、、、。
同じプログラムで今月13日@サントリーに再度行くことになりました。
サントリーは同じプログラムでもお値段倍です; ちょっと考えましたね。
まあ完璧にB-durも頭の中に保管したかったのです。

つづく

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