piano class emi.i.

いいピアノを弾きたい

どうしても弾きたい!

2010年10月26日 | 音楽教室
発表会の曲を何にするか相談する時期、順調に絞り込まれていますが、あるこどもはわたしの推薦曲を聴かず「これがやりたい。」と言い張る。
そんな。むずかし~いよ。

ふだんチェルニーやバッハをきちんと練習しないで 発表会になると突然主張する。(笑)
もう6年もの付き合いで、最初のころはめちゃめちゃかわいかったのに、ここしばらくはわたしのいうこと ぜんぜんきかないです。(泣)倦怠期でしょうか?
横で注意していても無視して弾き続けるんですよね。
きちんとやれば それこそ上手に弾ける能力あるのに、きちんとやらない。

ちょっとすったもんだのあと、、、、 

「次までにせんせいがやれっていったことちゃんとやってあの曲を弾けることを証明する。」
と泣きながら訴えてきました。
わたしを納得させようと彼女も必死で、その証明する、発言にはまいった。わかった。次を待ちましょう。

そして ほんとにいつもは忘れたといって楽譜も持ってこないのにチェルニー30番2曲、インヴェンションを練習してきた。いつだったかわたしの注意がいっぱい書き込んであるちょっとなつかしい楽譜。
おしゃれなめがねもちゃんとかけてきた。やる気だった。
「きらきら星変奏曲」でのわたしの注意も耳を傾けている。

もちろんたった一週間でずっとさぼっていたきちんとした練習がすんなりできるわけもありませんが(指使いや、アーティキレーションを守ること) 確実にそれまでとは姿勢がちがう。うれしかったですねー。
その曲の力がこどもを変えた!どんなことばより彼女を変えた。
さすが名曲。(なんの曲かは今はないしょ。)
たった一回でわたしも「じゃあ発表会はあの曲にしましょう。」というつもりはなかったので、また次まで今日の注意を直してきてね。となごやかにレッスンを終了。

彼女がやりたいといったあの曲を当日どのくらいのレヴェルまで弾けるか、想像しておいしいお酒を飲みました。





バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 8番 es-moll

2010年10月09日 | 音楽教室
バッハの平均律も一番から勉強し始めて8曲目ともなるとだいぶフーガにも慣れてきた中学生。
4番に5声があったから3声はらくちんです。みたいな。。。
そんなわけないですよね。バッハのクラヴィーア学習者に向けての熱いメッセージは5、6曲弾いたくらいじゃあまだまだ序の口。
この8番のプレリュードも新たな境地の美しさで驚きますが このフーガには主題とその反行形と倍の長さに変えた拡大形が入り乱れフーガ技法の展示会のようになっている。
さすがに Yちゃんも「か、かくだい?」と目をまるくしていました。
写真の部分はそれが矢継ぎ早に出てくる66小節目です。
反行、原型、拡大の順です。どうしてもそれらの出だしに注意を払うけど尻切れとんぼになりがち。というかならざるを得ない。気持ちから生まれたのではなく 図形の遊びのように考えているのでしょうか?それなのに音楽的に盛り上がっていくのだから、神さま所以。

バッハの女房さんが書いた手紙が本になっているらしく、それを読んだ友人に教えてもらった話。
『頭にくることがあると、あのカツラを取って投げつけた!』ということエピソード。
バッハも人の子だったようですね。

インヴェンションからこつこつとシンフォニア、平均律。道は長いけれど あとから振り返ればほかの作曲家の作品を紐解く基礎になるはずです。ほんとうに中年になってから楽しめます。こどもたち がんばれ!


ps.8番のプレリュードの直筆譜もついでに。鳥肌でちゃうんですよね。こういうの。

「走ることについて語るときに 僕の語ること」村上春樹さんのエッセイ

2010年10月05日 | 
少年カフカ という読者とのやりとりをまとめた雑誌を読んだあとと同じように 村上春樹さんの小説をより親密に感じることのできる本でした。
これが単行本として本屋さんにならんだ2007年は 彼の本なのに走ることについてか、と買わなかったのですが文庫になったので。2007年に読んでおけばもっとそれ以後の小説が面白かったな、と悔やまれます。どうせこれから何回も彼の作品は読み返すことになるにきまっているので、余計楽しみになったともいえる。(笑)

この直訳みたいなタイトルはレイモンド・カーヴァーの短編集のタイトル「Talk about When We Talk About Love」を原型にしている。
健康のためなら 死んでもいいみたいにみえるつらそーな長距離ランナー。
自分とはほど遠いのですが 彼の小説の物語の大きさ、深さはその鍛えられ、酷使した肉体から生まれるんだとつくづく思いました。
ご本人も書いています。
以下本文より 抜粋します。
『誰かに故のない非難を受けたとき、あるいは当然受け入れてもらえると期待していた誰かに受け入れてもらえなかったようなとき、僕はいつもより少しだけ長い距離を走ることにしている。いつもより長く走ることによって、そのぶん自分を肉体的に消耗させる。そして自分が能力に限りのある、弱い人間だということをあらためて認識する。いちばん底の部分でフィジカルに認識する。そしていつもより長い距離を走ったぶん、結果的には自分の肉体をほんのわずかではあるけれど強化したことになる。腹が立ったらそのぶん自分にあたればいい。悔しい思いをしたらそのぶん自分を磨けばいい。そう考えて生きてきた。黙って呑み込めるものは、そっくりそのまま自分の中に呑み込み、それをできるだけ姿かたちを大きく変えて小説という容れ物の中に、物語の一部として放出するように努めてきた。』

彼の渾身のものがたりがとてつもないパワーを持っているわけです。ほんとうに私たちファンの心をそっくりその世界に連れて行く力。
小説を書くという作業は生半可な体力ではできない。(楽器もそう。よくなんであんなに汗かくの?すわっているだけなのに、なんて云われるけど) 肉体と精神は繋がっているのだから もっと基礎体力をつけなくては、って思います。と共感しつつ じゃあ走ってみるか?とも思わない頑固な共感者です。
結局20年以上の間にフルマラソンから 100キロマラソン ついにはトライアスロンにまで村上さんはライフワークとしている。その時その時の精神的肉体的な様子状況がたっぷり書いてあり、必読です。
さすが 半端じゃない。
素敵だ。

また日本語でスピーチをしない理由も。
日本語は無限の選択があるため日本語で何かまとまったことを話そうとすると 豊穣な言葉の海の中で戸惑いフラストレーションがたまるのだそうだ。翻訳家でもある彼だが 外国語で話すときは必然的に限られるのでかえって気楽に話せる。
かっこいい。

この本を読んでも (走ることに向いている体とそうでない体があるそうで、)私はぜーたい後者なので残念ながら一生歩き続けるだけですが、走れない人間にも面白い本です。


クッキー詰め合わせ

2010年10月04日 | 音楽教室
レッスンをスタートさせてしばらくはその曲のここはこういうふうに弾いた方がいいいです。とかこういうことを注意しながら練習してください。とか具体的に示していくようにしていますし、手っ取り早く弾いてみたりもします。
生徒さんたちのレベルはまちまちですが。

生徒さんの弾くのを聴いて まあ間違ってはいませんし 前回の注意はたしかに気をつけているようだし、特に怠けているようにも思えないけど
「この部分の和音をもっと味わって、一拍ずつ和音が変化してしかもソプラノが旋律になっているからフレーズの終わりはもっと神経を使って丁寧さをアピールして、、、」と『再度先週と同じように注意しても効果はしれているなあ』と思うことがあります。部分ではなく 根本的になんとか変化してもらわなくてはだめなんだろう。
自分でその部分を弾きながら
「聴いた感想を云うと 例えるとですね、クッキーの詰め合わせが缶にきれいに入っていて 詰め合わせだから数種類が入っているのに それを一個ずつ食べているけど一個食べてはとなりのクッキーにまた次へともぐもぐ食べてひとつひとつ食べ終わらないうちにばーっと全種類食べて珈琲をがーっと飲んで胃袋に流し込むみたいなんですよ。もったいないんです。」
とちょうど空腹だったせいもありますが 笑いながら説明しました。(曲はシューベルトです。)
非常にお腹が空いているとき 時間がないとき 私も似たようなことします。
クッキーを作った側は ひとつひとつにどう味の変化をつけようか コンセプト、レシピからデザイン、商品化までいったいどのくらいの手間とこだわり 愛情がこもっているかなど想像したら とりあえずひとつ食べた後 ひとくち珈琲を飲みたいくらい。 
シューベルトも今の時代 安価で奇麗に製本されている印刷の音符を見ればただの記号にしか写らないんだけど きっとばーっと押せばいいでしょみたいに和音を弾いてはよくないですよね。という話になりました。
16分音符は外さないようにころばないようにって気をつけるんだれど 和音に関してはどうしても二の次になりがちですね。私もそうかもしれません。
でもこの例えは かなりご本人にうけて納得されているようでした。

この話をしながら思い浮かべていたクッキー詰め合わせはこちら。実はすごいリアリティのあるものでした。(爆)
話題にしていたら本当に食べたくなってしまいわざわざ購入しにいってしまった。

これをかたっぱしから平らげる気にはなれないくらい 美しくひとつひとつに味わい深さがある詰め合わせです。

いつも和音を味わって!となんとかのひとつおぼえみたいにいっていますが まあこのクッキーを食べても 私にはこれは特に美味しい!とかこれは最後まで残るな、とかくらいの平凡な感想しか云えませんけど。(笑)
でもこのクッキーにはひとつずつ名前があり ○○を包みました。とか○○の香りがします。と丁寧な解説もついています。
このように 曲の背景を知ることも味わう助けになるかもしれません。
ようするに ひとつひとつに心がこもっているんだって思ってますっていうふうに練習していく気持ちが大切だと思います。m(  )m   

それでは 謹んでいただくことにいたしませう。

 

chopin etude op.10-4 その2

2010年10月02日 | 音楽教室
ペーター版の同じ箇所をアップします。
fpとfz も意味が違うし、比較するとかなり面白いと思います。




パダレフスキー版を再度


写真が複数アップできるようになりました。
きっと小さくもならないハズです。
うれしい。