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いいピアノを弾きたい

誰も寝てはならぬ 2

2016年01月29日 | 演奏会
ツィメルマン@アークホール
素晴らしいシューベルトを届けてくれたのに、
しかし後半B-dur 2楽章からのいびき。
もう一度あの美しい時間をいびき抜きで!

1月13日@サントリー 一階席
ふつう 一万円以上のお席で寝れませんよね。
シューベルトの静かで美しいあのなが〜い曲ですよ。
派手なパフォーマンスなんてないの知ってる人が聴きにくるんですよね。
音楽を聴きにくるんですよね。


……
となりのおばさんは6:45私が席に着く時にも起きなかった。開場は6:30だから10分弱で熟睡か?
不安がよぎるが 拍手とともに開演したら さすがに起きるでしょ。
この熟睡が 功を奏して 開演後すっきりするのだろう。
シューベルトをみんなで聴くために やってきたんですよね?
不安とともに ツィメルマンが現れ、シューベルトの小品を弾く。
2度目だけど、やはり美しさに息をのんだ。となりのおばちゃんのことなど忘れた。

さて あのA-dur
あの感動を上回るのか?
しかーし しかーーーし、となりのおばちゃんの寝息は2楽章から始まった。
なんでやねん。(泣)
ご存知ですか?寝息が息じゃなく いびきに変わっていくことを。
ンガー!と成熟したいびきになる前に起こさないと、全列の善良な市民がみんな怒りで振り返るかもしれん。

そう決心して つんつんと肩をつつき、目を開けたおばちゃんに
「しーっ!」と声に出さず 人差し指を口に当てて にらみつけた。
人生最大 目に力を込めました。きっと鼻も膨らんでた。
たぶん長く葛藤したようにみえて 16小節ぐらいの間に決着をつけたのだった。






寝るなら来ないで!
鼻がつまっている人は口呼吸!
ほんとうにおねがいします。

でもB-durはいびきの件を忘れ 補填できましたので 2回かけて完璧なシューベルトを頭に保管いたしました。
めでたし ということで 完!です。

誰も寝てはならぬ

2016年01月29日 | 演奏会
昨年11月10日@サントリーホールで内田光子さんのディアベリ変奏曲の演奏会
11月29日@ミューズ アークホールにてツィメルマンのシューベルトソナタ 大きいほうのA-dur とB-dur
の演奏会に行って参りました。

内田光子さんの演奏会は友人にお知らせいただき3ヶ月前からレッスンを調整して、レッスンを終日休みにしてお風呂に入ってわくわくしながらその時を迎えました。期待しすぎていかんかな?と思いながらも初めて聴くルードウィッヒ最期の傑作は 幼いうたを様々に変奏させ それが人の生きざま 苦しみにへこみながらも成長していくようなまさに変容していく という 内田光子さんというピアノに人生を捧げたルートウィッヒと同じ芸術家だからこそ感じ取れる世界観で完璧な技術で 披露してくださった。この曲は最難関のような作品で一気に弾き上げた彼女の演奏は見事としかいいようがない。素晴らしかったです。
彼の作品は必ず救いがある!ということ。
このディアベリと同じように シューベルトの最期のふたつのソナタもまた美しさと死への恐怖 孤独が漂う。
聴きながら自らの今を見つめ直すことが出来る名曲。

これらの楽曲はピアノを楽しみとして弾く人たちからは「長い」の一言で片付けられることが多い。
ピアノが弾けるようになって エリーゼのために、子犬のワルツ、幻想即興曲、愛の夢、カンパネラ。
それ以外は演奏効果が少ないわりに 長く難しいという理由で聴くことさえもない現状。

まったく別物ですよね。同じクラシックですけど…。
わたしは10代の頃からベートーウェンのソナタが好きだったけれど、レッスンで悲愴を弾いたあとベートーウェンは嫌いです。とよく聞きます。
そんなことでめげることはありませんが、

さて内田光子さんの演奏会は美智子さまも聴きにいらしていて さすがだなと思いましたが、聴衆各自が作品、演奏をじっくり楽しみ ときには目を赤くしている方も何人もいらした。わたしもさすがに胸がいっぱいで、おいしいお酒をいただきましたねー。
内田光子を聴く。という人と最高の演奏家のディアベリを聴きにきた人と、しあわせな贅沢な時間。

ツィメルマンも前半のA-durは驚くほど美しく作品への敬意にあふれていてわたしのまわりのたまたま同じ演奏を聴く機会に恵まれた方々も 休憩中みなさんが感嘆のため息 賛辞にあふれていました。
今振り返れば この時点でもう満足しきっていた。シューベルトの死期をさとったかのような深遠な世界…。
自分が生と死を彷徨う瞬間にこの音楽が頭の中で鳴ってくれたら!

そして後半B-dur.
客席の大半が前半の演奏に酔ってさらなる期待を持って 演奏者といっしょに息をとって2楽章をうたっていた。
そこへ!
いびきですよ!奥さん!!
いびき!!!
なんてこと!?
信じられない。
最も美しいpppを出そうと最大集中をしているピアニスト
聞き逃すまいと耳をこらしている私たちになぜかでかすぎるい!び!き!!
そのくそおやじは私の席からも見えてまわりの人がなんとか止めようとしている様まで視界にはいってくる。
目を閉じればいびき。いびきを疎外する能力(聴きたい音だけをチョイスする)を全開にしてもその能力を引き出そうと考える瞬間さえ惜しい。

3楽章の時はホールの人が起こしたのか曲に集中できましたし、結局トータル素晴らしかった!ことがあまりにも大きくて。
終演後 わたしのまわりの人々が あのくそおやじ!と口々につぶやきながら歩いていた。
わたしも感動と興奮は覚めやらず、、こんなにすごいピアニストだったんだツィメルマン♥
と…。
だがしかし、どうしても2楽章のあのいびきがあった時間を取り戻すべく
パソコンを開き ぽちっと、、、。
同じプログラムで今月13日@サントリーに再度行くことになりました。
サントリーは同じプログラムでもお値段倍です; ちょっと考えましたね。
まあ完璧にB-durも頭の中に保管したかったのです。

つづく

「椿姫」 ラ トラヴィアータ  道を踏み外した女

2014年08月29日 | 演奏会
夏が終わろうとしております。
生徒さんたちも さまざまな夏を過ごしたようです。
各地で雷もずいぶん鳴ったようですが、レッスンでも一度大きな雷を落としました;;
 どうして どのように 雷を落としたのか。ですよね。
…結局 その雷は 吉と出ました。
逆に あそこまで怒らないと通じないものなのかとも感じています。

さて ソプラノの友人が来年1月に オペラ「椿姫」をピアノ一台と(汗)
ナレーションで 全3幕の中のストーリーの動くところほとんどを再現する演奏会を開くそうで、
その練習を始めました。
全くもって 荷が思い仕事でございますが
ヴェルディの最高傑作のピアノ版の譜面を練習してみて 改めて素晴らしさを堪能することができました。
ヴィオレッタ、アルフレッド、ジェルモン、たちのアリアは弾きながら泣きそうにならないようにしなくては。
アルフレッド役 ジェルモン役は何度もオーケストラで全幕をうたっている売れっ子歌手だそうです。

先日はソプラノといっしょに 来日しているイタリア人の先生のレッスンを受けてきました。
通訳さん付きで。私たちの前後の生徒さんは20代のお嬢さんでした;
時代の移り変わりというのは すさまじく 生活も人の考え方も 昨今の天候とも重なるように
クラシック音楽という音楽の表現も ずいぶん変わっていっているんだなあと感じました。
そうですよね。同じ作品を違う土地で 違う人が ああでもないこうでもないと表現し続けているんですから。

しかし 譜面は(作品は)変わる事はないです。未来永劫。
まあ出版社によっては解釈 フレージングが違い大きな差がありますが。
音符は不変。ということです。唯一かも。
いつの時代も それを勉強する人はその譜面に誠実に向き合わなくてはいけないと思ったのでした。

娼婦だったヴィオレッタに 息子と別れてくれと頼む父ジェルモンの台詞
「今 貴女は若くて美しいが 年月が経つたらどうだろう?
 年老いて(容姿が衰えたとき)そのときも愛情はそのままだろうか?」

思わず苦笑いのこの台詞。これも普遍的なテーマでしょう(笑)
いやいや オペラって ほんとに面白い。





19世紀ウィーンを駈ける

2013年04月05日 | 演奏会
新学期が始まりました。
発表会後のレッスンも始まり その日ずーっとお腹が痛かったの。ピアノが弾き易かった。誰々さんが上手だったー。
やっと 満足のいく演奏ができた。録音聴いてみたら 思っていたより間が狭かった。
間違えたことないとこで 間違えたのがショック。
あるある。そうそう。てとこですよね。経験者はみなさん思い当たるでしょう…。

でも次はどんな曲を練習しようか?と新しい曲を弾ける喜びが今はいちばん大きいかな。
春です^^。


さて 5月2日 木曜の夜 1803年と1891年にウィーンで作られた名曲を演奏します。
チェロの西沢央子さん クラリネットは夫 ピアノが私のトリオです。

ベートーヴェンはセプテット七重奏曲として有名な曲をあまりにも人気になったので、ベートーヴェン自身も弾きたかったのでしょう?
本人がピアノ三重奏にアレンジした曲です。
えー?ここはホルンじゃなきゃだめじゃん。みたいな先入観を持って 楽譜を取り寄せ音を出してみたら、もともとピアノトリオのために作った曲。といってもいいくらい物足りない感じはありません。
ピアノは4人分一手に(2手)引き受けていますから、初期の大きなソナタや、1番の協奏曲弾くくらいのボリュームです。

後半はクラリネットトリオといえばこの曲 ブラームスです。
この曲を死ぬまでにやりたくて(笑)この演奏会を立ち上げました。

もしお時間ありましたら 是非お越しください。
発表会のあのホールです。

よろしくお願いします。



リスト 超絶技巧練習曲10番

2011年11月03日 | 演奏会
超絶な技巧。というだけで音楽から遠のくイメージですよね。

「その名の通り、非常に高度な演奏技巧を要するが、決して何から何まで超絶技巧の会得を目的としたわけではない。transcendante という言葉には宗教的な意味があり、普通「超越」と訳されるが、肉体・精神・魂のすべてを超越するというのが最も近いニュアンスである。つまりこの曲集は、肉体・精神・魂を超越した練習曲なのである。「超絶技巧」という訳も決しておかしくはないが、リストが付したこの曲集の意味からは少し遠のいてしまう。」

という解説がたいへん分かり易いと思います。
特にこの10番は超絶技巧は必要としない素敵な曲です。
これも実際音にすれば大変美しい旋律なのに 和音の交差の練習曲か?と躊躇したくなるような冒頭の譜面。
でも 裏技で右手にファソファミファミレミレドレドという旋律と和音2つほど絡ませて 左右で重音の練習曲という譜面に書き換えることもできて、その方がよりなめらかに弾けます。こんな曲だよ、と生徒さんに紹介するときはその旋律をピックアップして弾きます。
技巧を魅せる曲とは思えない 切ない女心をくすぐるロマンティックな曲です。
これを発表会で弾くことにして受験準備でレッスンをお休みしている生徒さんに、今日ちょっと弾いてみてくれない?とお願いしました。もう彼女の能力は知り尽くしているので心配はありませんが 受験が終わってから発表会までの日数が少ないので、まだ受験でぴりぴりしていないこの時期にどのくらい弾けそうか聴いておきたかったのです。
あまり気に入って仕方がない、ほどでなく(気に入ると勉強に身が入らなくなるし^^)でもほとんど外壁はできていて ピアノに集中できる時がきたら内容をつめればなんとか間に合うと思いました。あまりにもテンポが早く弾いていたので驚きましたが…。

ここら辺の右手の連打を彩る和声は弾いていて燃えます。
中学生の時にこのアンドレ ワッツのレコードを聴いた時の感動が蘇ります。こういう感動で自分が出来ていたような気がするくらい。
レッスンするに際して 少し思い出し練習をしてみましたが 真面目に練習しようという気持ちになりました。

もっともっとねっとりとした 和声を楽しむ曲だし どのパーツも奇麗に繋がっている曲だからね、と念を押してレッスンは終わり、次は受験のあとの再会を待ちます。
同じような受験組があと2名。
がんばっているかなあ?
すっきり笑顔で会えますように、勉強の成果が実りますよう祈っています!

ウィーンフィル in JAPAN 2011

2011年10月21日 | 演奏会
10月19日 プログラムF  サントリーホール
・ブラームス 悲劇的序曲
・シューベルト 未完成 交響曲

・マーラー 「少年の魔法の角笛」「七つの新作歌曲集」から
  番兵の夜の歌、ラインの伝説、麗しきトランペットが鳴り響くのは、この世の生活、原光、塔の囚われ人の歌、無駄な骨折り、魚に説教するパドヴァのアントニウス、高い知性への賛歌、死せる鼓手、少年鼓手

バリトンはマティアス・ゲルネ

(そうそう指揮はエッシェンバッハ)

サントリーホールはやはり大きくて、みなとみらい小ホール、オペラシティ、はたまたムズィークフェラインだったらもっと響きに酔うだろうと思ったブラームス、シューベルト。なかなか私の席に音がひとつになってこなくて、(大きなうちわであおぎたかったけど)チェロの優しいppを安らかに聴いていました。
未完成もウィーン節(名古屋弁)のオーボエを期待していたが メンバーがトラ(エキストラ)でなんとも中途半端なソロで残念でした。
パウゼ(赤ワイン)をはさんで聴いたゲルネ。
彼へのリスペクトが全てという絶品でした。一気に総力が結集した。
ゲルネの音楽を支持しない団員はいないでしょう。ひとつになってマーラーの世界を再現してくれた。超難しい音程をああもやすやすと決める技術は超一流だからこそです。歌手もオーケストラのどの楽器も。
きっと現在世界一のマーラーだといっていい。まあ私が断言してもたいした意味はありませんが(笑)、これ以上の演奏を望む人なんぞいないだろうし、マーラー本人も
「Danke viel mal」と云うにちがいない。

ウィーンにいるかのような感覚でした。

ゲルネもウィーンフィルの音を愛しているのだろう、鳴り止まない拍手のあとのアンコールでは打楽器奏者の横の椅子にちょこんと座って、青ダニと雷鳴を嬉しそうに聴いていました。
ほんとうにウィーンという音楽の都の誇るべき「歴史」が東京のある夜に愛すべき音楽家たちの手で再現され そこに居る事ができたしあわせに心から感謝いたします。

近いうちにまたウィーンに行くぞ、と決めた夜でした。

室内楽いろいろ

2011年10月18日 | 演奏会
日曜夜に みなとみらいの小ホールにて アンサンブル deヨコハマ の演奏会を聴いてきました。
プログラムがまた面白くて、
シューベルト 弦楽トリオ ヴァイオリン&ビオラ&チェロ  弦楽3重奏曲第1番 1楽章

メンデルスゾーン ピアノトリオ  ピアノ&ヴァイオリン&チェロ  ピアノ3重奏曲第1番 全楽章

モーツアルト ピアノトリオ  クラリネット&ビオラ&ピアノ  ピアノ3重奏曲 ケーゲルシュタット

ベートーヴェン ピアノトリオ  クラリネット&チェロ&ピアノ  ピアノ3重奏曲 街の歌

というもの。
クラリネットが入っているのはクラリネットトリオと呼んでいますが、譜面にはたいてい「トリオ」とだけ書いてるんですよね。


ケーゲルシュタットは20年前 皇太子殿下と夫といっしょに赤坂仮御所、というところで練習をしたことがある思い出の曲です。
レッスン室に写真がありますが、その時の記念写真です。家宝級です。(爆)
3人で1時間くらい合わせて 「母が聴かせてほしいというので呼んでもよろしいですか?」と浩宮殿下がおっしゃって、
…おかあさまってもしかして もしかする?とぼーっとしていたら天皇皇后両陛下がお部屋に入っていらして おとうさまも!私と皇太子様と夫で全楽章通したのでした。結局仮御所という所に5時間滞在したのです。
この話はいくらでも長くなれるのでいずれ。

今回はピアノがあの作曲家で中学の同級生の町田郁弥さん。彼のピアノはほんとうに音がきれいで音楽的で 室内楽のピアノ奏者として売れっ子のようです。
クラリネットはなんとベルリンフィルのトップのフックス氏です。
何度か来日のとき クラ5とか聴きに行っていますが 先日は初めて大当たりの素晴らしい音楽でした。
いやあ 素晴らしかったですね。モーツアルトはもう太古の昔からこういうものがあるのです。という演奏でした。
元々ある音をそのまま再現してくださったように思えました。
こんなにいい曲だったっけ?とさすがモーツアルト、このあとにいったいどんな音楽があるんけ?と思ったら、まったく違うアプローチで我らがludwig は存在しました。
感激しました。この曲の素晴らしさを再認識いたしました。
しかしピアニストにとってはviel arbeitでございます。
メンデルスゾーンのトリオは「メントリ」と呼ばれていて、書斎の人の町田くんも「メントリ」さえなければ、としきりにいっていましたが、名曲です。
2楽章の頭でいつも 私はうるうるくるのですが、本人は3楽章の頭でうるうるきたそうです。本番でうるうるきたなんてやっぱりさすが。
素敵な演奏会をありがとうございました。

「メントリ」→「面取り」→「大根」→「おでん」といつもそこに落ち着くのですが ゆっくりおでんを炊く日は来るのか…。
明日はウィーンフィルです。
今晩眠れませんです。



ヒラリー・ハーン東京公演中止

2011年03月24日 | 演奏会
今夜オペラシティであるはずだったヒラリー・ハーンの演奏会が中止になりました。
チケット払い戻したら被災地に募金します。

今年のウィーンフィル日本公演はゲルネがマーラーを歌うそうで、そのニュースを3月11日の午前に訊いて、失神しないように聴きにいかなくちゃ。なんて考えていたのですが、そのすぐ後この天災を目の当たりにし、それ以前のままというわけにはいかないような気分になっている。
私の気分ではなく、この被災で東京もかなり疲弊している。この10月のウィーンフィル公演も中止になる可能性もあるのかもしれません。


写真は参考までに美しいハーン(Vl)&ゲルネ(Br) バッハのマタイ受難曲やカンタータの中から ゲルネの歌にハーンのヴァイオリンがオブリガートする録音のジャケットです。
この天災から全く音楽を聴く気分になれず、(レッスンでピアノは聴いて、弾いていますが)早く大好きなCD
をゆったりと聴けるようになりたいです。




黒鍵の幅

2011年03月05日 | 演奏会
12時(11時57分)まで会場で16名ほどリハーサルをしました。
前日リハーサルは帰宅後 反省を修正できるし、ピアノの感触をゆっくり思い返すこともできるので、当日組よりお得な気がします。

楽器はスタインウェイ フルコンサート 成熟期は過ぎているけれど例によって打鍵に抵抗感が全くなく いわゆる軽い浅い
そして生徒さんが口々に云ったのは フォルテが出ない。
レッスンで私の家のヤマハは打鍵が重めで8帖の部屋に十分な湿り気を帯びてしっとりと鳴り響くので、今日ステージの上、客席400のホールでは音が隅々に行き渡っていくけれど 手元では音が跳ね返ってこず 「あれ?鳴らない、もっとフォルテが欲しい、頼りない、軽い、どんどん先走る…」という心境になっていきます。
どうしてもテンポが早くなりましたね。
楽器だけじゃなく 緊張感ゆえの心拍数過剰にもよりますが。

それにしても 特別このスタインウェイは黒鍵が細く感じた。(もともと数種類の楽器の中では細めにできている)にもかかわらず ここもこの楽器になってから3年ぶり2度目。その間自宅のピアノが新しいヤマハになり 私はおばさんになっただけだけ。 以前もこんなに細かったかなあ? 
スタインウェイは勿論いろんなホールで弾かせてもらっているけれど 今日は特別それを実感。
すみだトリフォニーの時も同じサイズだったけれど こんなに違和感はありませんでした。不思議だがホントウだ。微妙に規格が製造年、場所によって違っているのかな?まさか…。

我が家のFranz ヤマハC3がこれ

貴婦人は存じ上げないが まさしくそんな風情のスタインウェイ。お美しい。
でも うちのFranzがここの(我が家)スペースで出す 中音域は帰宅して弾いてみたが 私は好きです。

さて 明日の本番 残念ながら みゆちゃんはインフルエンザで欠席、社会人クラスのKさんもぎっくり腰で体調万全とはならず、期末試験期間の人、花粉症の人、いろいろ抱えての発表会。
 
全員が演奏する名曲をゆったりと楽しめますように。



シューベルト

2011年01月14日 | 演奏会
シューベルトは名前を聞くだけで 「ああシューベルト…。」と少し胸がざわつく作曲家です。好き嫌いでいえば大好きという意味のため息で、その音楽を尊敬して愛していますが、彼の人生を思い浮かべると涙が出てきてしまいます。
ピアノ曲は「シューベルトの音色」というものが必要で、イメージははっきりあるのに、再現するのは難しいものです。
その音色であの譜面を再現するのは 不可能に近い…としりごみしてしまいます。あまりに大事に思うのでおいそれと弾く気持ちになれない。
そんなピアノ曲のなかで比較的弾きやすいのが即興曲8曲でしょうか?



新しい生徒さんで発表会に作品142ー4を弾く方がいて 久しぶりにこの楽譜を読みましたが いいですねえ。他の即興曲と違って ウィーン気質 といわれるような 笑いながら死んでいく、粋なんだけど儚くて、、、という魅力が詰まっている終曲です。しみじみシューベルトっていいなあと感じます。
個人的に歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」をリストが編曲した曲を年末に練習していて 強烈にハマりましたが(汗) それと別の魅力を再認識し、いつか、いつかピアノソナタ全曲をじっくり弾く時間を作りたいものだと目標を持ちました。

142ー4はスケルッツオ、遊んだ、からかうような主題は4小節をひとつに感じて動いてみて、といったらすぐ雰囲気が出ました。リズムでシューベルトは存分に遊んでいますよね。
作品90より一歩闇の中に踏みこんでいく142の4曲。
1827年ベートーヴェンが亡くなった年この作品を遺したFranz Schbert。翌年その尊敬していたベートーヴェンの後を追うように亡くなった。彼の強い希望でベートーヴェンの隣に埋葬されている。31歳没。