piano class emi.i.

いいピアノを弾きたい

美女と野獣

2008年04月29日 | 音楽教室
ヤマハのディズニー名曲集連弾バージョン・・(手元に楽譜がありませんので、正しい名称は不明です)を毎週ハノンやバーナム、ブルグミュラーといっしょに教材に使っている生徒さんがいます。
彼女は礼儀正しいのだけれど 無駄口ひとつ言わないタイプでなんとか肉声を聞きたくて私がおやじギャクを連発しても じっと楽譜を見つめ美しい横顔で笑っているだけなのだ。(涙)
私のところに移ってから半年後からなんとかこの深まらない関係改善対策として連弾をしようと決めました。
ヤマハから出版されている連弾曲集はどれもアレンジが素敵です。
この曲集は『Nobuhiro SATOU』さんのアレンジでした。アレンジャ‐の名前はチェック!
初心者にはちょっと譜読みはむずかしいかも。
何曲か合わせてきて「美女と野獣」を練習していますが、数曲の中で特にきれいです。ピアノでこうアレンジしたもの以上のものがあるの?と思うくらいです。

クラシックでも鳥肌がたつほど美しく 涙が出るほど震える名曲はたくさんありますが、弾いていてひたすらきれい。という曲はなかなかありません。私には。(絶えず切なさや悲しみが控えていて 油断ならないのだ。)
でも彼女と「美女と野獣」を弾いていると4時間レッスンしつづけていてもうそろそろ限界という時に 弾きながらじわじわと頭の中がしあわせな液体で満たされていくのを感じました。いわゆる「癒される」というやつでしょうか。どうも「癒し」という流行り言葉はなじめないのですが、ああこれのことかなあと思ってもう時間がきたのですが「もう一回弾いて終わりにしようか」といって楽しみました。
「私 この曲すごく好き。あなたは?」
・・・こっくりうなづく。(笑)

来週はもう次の曲へ進みます。なんかさみしいけどしかたない。

録音する

2008年04月25日 | 音楽教室
ソプラノの金岡淳子さんがCDを作成するというので、まず5曲の日本歌曲を録音してきました。
ハケン先は日暮里サニーホール。
初めてのホールでしたが、歌手にはとても歌いやすいので選んだそうですが、100名収容のよく響くホールでした。べーゼンドルファーとヤマハもありますが、スタインウェイを使用。
 
録音セッティングの間 久々のスタインウェイをゆっくり弾かせていただく。フォルテやピアニッシモ、ペダルの反応、和音の混ざり具合、鍵盤の軽さ、等。
CisEisGisの和音が澄み切っていて フルコンサートなので、倍音のからみも確かめ にんまり。
録音のマイクの位置を決めるのに3回目の演奏で ここしかない!という場所が決まり いよいよ録音開始。
1曲が短いという事もあるし、お話をいただいた時から 「ツギハギはしたくない」という依頼ですので・・・、緊張の連続です。
演奏は打ち合わせどおりに しかもノーミス。1曲終るごとにテイクをプレイバックします。ヘッドフォンで再生を聴くのも細心の注意です。
ここがよければ あそこがいまいち。
歌がよければピアノが・・・。
1曲目を4回演奏して なんとか歌手 わたし、録音技師の3人が「こんなもんじゃないか?」と納得。
録音するとピアノのふた全開の演奏だと中音域がやはり大きめに聴こえて、でも高音は丁度良い。というので、ちょっとその辺の音域の時 控えめに演奏すると良いことが判明する。

録音技師さんのマイク、名前があったんですが忘れましたが、それは確かに素晴らしい感度。日をおいて聴いても彼女が「これでOK.」と思える出来なら次回は残り10数曲をまた丹念に録音していくそうです。

自分のピアノをすぐさまプレイバックするというのは 本当に勉強になります。
使っていただいて感謝です。
素晴らしいピアノと録音機材だからこそ ほんの僅かなことが気にかかり、次は絶対うまくやってやる!と思うし それで修正できれば明らかにランクアップできたと満足できるし・・・。日頃のレッスンにも取り入れたいが 再生を聴いている時間がとれませんよね・・。

・・・そうやって5曲目を録音するころには 集中力がぶちきれ相手をイタワル余裕もなくなり、テイクも聴けなくなってしまいました・・・。「本番1回でOK」は 巨匠クラスでないと、やはりありませんから。音楽 テクニック バランスすべて満足な演奏なんてできませんよね、そう簡単に。


きっと年内には一枚のCDが出来上がるのかと思うと 楽しみです。
水曜レッスンのみなさん、レッスン日変更すみませんでした。


アンドラーシュ・シフとべーゼンドルファー

2008年04月19日 | 演奏会
「昨夜のシフ聴いた?」で始まった今日のレッスン。
3月10日のリサイタルを教育テレビで放送していました。
ご覧になった方も多いと思いますが、シューマンの蝶々ではじまった時は想像通りでうんうん と聴いていましたが、テンペストで想像以上に(失礼いたしました)素晴らしくて つい聴いていてほしい人にメールしてしまいました。(当然のようにお聴きであった・・)

何がそんなに素晴らしかったのか・・・。
勿論好きなピアニストのひとりでした彼のバッハもモーツアルトもシューベルトもたくさん聴いて ベートーヴェンを弾かないなあ 路線がちがうのかなあ?と思っていたら50歳になってやっと準備ができた・・・とおっしゃるのではないか。そうなんだ、あのシフにしてそういう作品なんだと。その言葉だけで、もう充分でしょう。
テンペストもワルトシュタインも今までの巨匠のものとは別に、彼の入念なテキストの読みと作曲家への深い尊敬と節度ある姿勢が隅々に行き渡っておりました。
縦線の音のバランス絶妙なコントロールとダイナミックなフレーズ取り。
そうかそうなのか。とアドレナリンがどくどくと流れ出て 茂木先生流に言えば今まで長く死んでいたなあと思える演奏でした。
しかもべーゼンドルファーの良さが出ておりました。
べーゼンはスタインウェイに比べて倍音が浮き出る音なのかなあ?
奥行きというか裏側が存在するような音でした。実際その場オペラシティにいたらもっとぶっとんだことでしょう・・・。

テレビの前に釘付けになりながら シフは「ベートーヴェンと会話をしている。」「シューマンと議論しているみたい。」と思いました。
ピアノを弾く(音楽を演奏することは)という行為は作曲者と会話をすることなのかもしれません。それを子供たちに伝えていきたい。と思いました。
楽譜を記号どおりに弾くことなんかじゃない・・・。
でもシフのような天才でも50歳でやっと準備ができたと考えるのだから、簡単にベートーヴェンと会話しよう!なんて無謀な挑戦です。

でも彼の演奏で会話の仕方がなんとなく・・・道がすうっと見えてきたようです。

ワルトシュタインの2楽章から3楽章の移り変わる箇所はピアノを弾いて幸せを感じる代表的な場所ですが、テレビでもそこでシフのアップが写っていて 「ああ彼もしあわせをかみしめている」ように私は見ました.(笑)あそこは至福です。ピアノが弾けて良かったと震えながら弾くところです。聴いて見ていてその至福までも共有させていただいた。

まだ54歳なんですね。
昔ムズィークフェラインのブラームスザールでESのオクターブを左手で鳴らしながら高音部でGBの音をのせ天上を見ていて その響きに酔っているかのように誰もいないホールのべーゼンをいじっていたところを24歳の私は間違えて扉を開けてしまい見てしまったのです。
その光景は忘れられない。
そしてその時のES,G,Bの和音も。
見てはいけないものを見てしまったと思ってすぐ扉を締めてどきどきしてブラームスザールを後にしたのですが、(きっとぼーっと歩いて迷ったかなにかだったのでしょう。)いま44歳の私なら警備員みたいなおじさんか、または彼、シフ本人に追い出されるまでその場にいるだろうなあと苦笑しています。


4月

2008年04月13日 | 音楽教室
4月が好きです。
今年度は今のところ4人の新しい生徒さんが私の所でピアノのレッスンを始めます。
一応顔合わせは済ませてその生徒さんに合っているであろう新しい楽譜も選んで購入してきました。
その中のひとりのお嬢さんは「父の反対を押し切って!」やっと小2からピアノをはじめるという・・・。
お父様が昔ピアノを習わされていて いやな記憶しかないのだそう・・・。
(私にとってもそういう経験をお聞きするとなんとも複雑で、・・。)
・・・そういうお父上のもと お母様はピアノの経験もなく それなのに、子供はずっとピアノを弾いてみたいと思い続け おもちゃのようなキーボードでめちゃくちゃの指で音を出して遊んで「ピアノを弾きたい!」とアピールしてきたそうです。
めでたく来週からピアノを習うことになりました~!(パチパチ!)

お母様とお話している間中その子はかぶりつくようにレッスン室のピアノを触って音を出している。ヘンな指使い 12345指でドレミファソまで弾くと手のひらを上に向けてから1の指を使ってラの音を弾こうとするので、お母様と話しながらも中指のあと親指をくぐらせるんだよ。とやってみせ12312341231234で2オクターブの音階を弾くと もうあきらかに興奮状態の面持ちでまねして弾き始める!なんとすぐできた。
もう嬉しいですよ~。私も。勿論彼女も。ついにっこり目が合ってしまう。
すぐにでもレッスンしたかったですね。

・・・なんでも反対されると よけい燃えてしまうんですね。

このままお父上にも 「自分もピアノをちゃんとやっておけばよかった・・。」と思っていただけるところまでもっていけたらなあと 目標を持ったのでした。

ピアノなんか大嫌いッ という人 こないかなあ(笑)


道具

2008年04月08日 | 音楽教室
ピアノも20歳を越えると 調律も頻繁にしなくてはならなくなります。
弦のサビが原因ですぐ狂ってしまうのだそうです。

例えば私は うちのピアノが不安定なのもあり、Hdurの曲を練習している時は Hdurの主和音が限りなく美しくなければ気分が悪いので、曲によって自分で調律を微妙に変えています。
・・・結婚を機に10何年か前に(自分で調律代金を払わなくてはいけないからか・・?笑) ピンを動かすやつ(名前はわからない)を8000円で購入。 あとは割り箸にフエルトを貼って(写真真中の青いフエルトので)弦をおさえて免許もないのに自分でちょくちょくしています。
それを今日初めての調律師さんにお見せしたら、ご自分のを(写真左)プレゼントしてくださった! 木の棒に鹿の皮が巻きついているのだそう・・・。プロ御用達の道具を頂戴してしまいました・・・。ラッキー。

和音の折り合いをつけるのって 本当に難しいです。第3音を高めに欲しい和音と 低めがいいのと・・・。ピアニストにはバランスを変えて好みの響きをツクルしかないけれど、ピアノの状態によっていちいちそんなことできないし・・・。
そこが面白いところでもあるのかもしれませんが。
今日の調律師さんは Cdurが澄みすぎるくらい澄んでいます・・・。

合わせなんかで 各々の楽器が好きな音程で弾いて なんかハモってないときはピアノの私がミスタッチをしてるかな?と感じながら弾いて本当にミスしてしまったりで、できれば均整のとれたピアノで弾きたいものです。

プロのお道具をいただいたし、すぐ狂うので、頻繁にいじってしまおう。