鳥取県 曹洞宗 松風山 永明寺

永明寺公式ブログ【所在地】〒681-0065 鳥取県岩美郡岩美町新井210 【電話&FAX】 0857-72-0777

『永明寺だより』第152号(お盆号)発行

2020-07-25 16:30:55 | 【永明寺だより】
『永明寺だより』第152号(お盆号)を発行いたしました。県外や鳥取市などにお住まいのお檀家さまには郵送にて、岩美町内にお住まいのお檀家さまには各地区の評議員さんが皆様のもとにお届けいたします。今回の内容は、以下の15項目です。

(1)お盆を前にして(住職)

(2)評議員会を開催 ―要旨―
7月23日(木)海の日に評議員会を開催。
①晋山式積立金の集金方法と集金後の処理②報告事項③今後の行事日程の確認など

(3)棚経の日取り ―要旨―
永明寺住職が棚経にうかがいます。住職は、新型コロナウイルス感染防止のため読経中と移動中はマスクを着用します。
 8月11日(火)本庄・太田
 8月12日(水)河崎・新井・岩美駅前・地区外(鳥取市など)
 8月13日(木)牧谷・浦富

(4)初盆法要の日程 ―要旨―
8月14日(金)8時から17時まで時間差で初盆家の法要を行います。新型コロナウイルス感染症の特別感染警戒地域、重要感染警戒地域等から帰省される方の初盆法要へのご出席をできるだけ控えていただき、県内出席者も感染症対策に配慮していただくことをお願いした書面を7月14日に初盆の檀家様宛に郵送いたしました。法要ごとの換気と密集・密閉・密接を避ける対策をして行います―

(5)施食会について ―要旨―
8月16日(日)14時より新型コロナウイルス感染防止のため本年度は責任役員(護持会長1名、護持会副会長2名)と東堂出席のもと、住職が堂行維那と導師をして法要を行います―

(6)大般若会と祠堂回向 ―要旨―
 9月27日(日)14時より新型コロナウイルス感染防止のため本年度は責任役員(護持会長1名、護持会副会長2名)と東堂出席のもと、住職が堂行維那と導師をして法要を行います。
 8月25日(火)に大般若祈祷の「お願いごと」等の資料を評議員に配布し、9月20日(日)までに祈祷封筒とお願いごとを評議員に回収していただきます。9月28日(月)には各地区の檀家様の祈祷札を評議員へお届けいたします―

(7)位牌堂へのお参り ―お盆と秋の彼岸には永明寺の位牌堂へお参り下さい―

(8)永代供養墓の法要 ―8月16日(日)の施食会にて永代供養墓の方々の戒名を読込み供養。
            9月22日(火)彼岸の中日10時より彼岸供養法要を永代供養墓前にて―

(9)晋山式資料配布と集金 ―要旨―
6月上旬に全檀家様に晋山式積立金等に関する資料を配布いたしました。8月末までに評議員が領収書を持参して檀家の皆様のお宅へお伺いして集金させていただきます。集金は、1年ごとの分割払い、もしくは3年分を一括払いも可能です。ご協力お願い申し上げます。

(10)追遠碑掛軸が永明寺へ ―要旨―
 岩美町に石碑を建立する計画だった「追遠碑」の掛軸が昭和18年から行方不明でしたが、昭和63年に岩美町役場倉庫から見つかり、平成2年4月に鳥取市新品治町の景福寺の山門横に「追遠碑」の石碑が建立されました。石碑建立後、更に岩美町役場倉庫に保管されていた「追遠碑」掛軸が永明寺が所有すべき品として岩美町役場から永明寺へ移されました。
 永明寺総代をされていた栗村嘉水氏は、浦富出身の通幻寂霊大和尚(大本山總持寺妙高開基)と佛洲仙英大和尚(井伊直弼の参禅の師)の遺徳を顕彰するため永明寺13世・景福寺43世の眞應天龍大和尚(山根天龍老師)のご教示を仰ぎつつ「追遠碑」の原案を作成しました。その原案をもとに撰を大本山總持寺の紫雲䑓侍者の仭崖定坦に依頼。碑文の書を東京都高輪の泉岳寺副寺の天舜堯海に依頼。「追遠碑」の篆額を大本山永平寺貫主 勅賜大鑑道光禅師 玉堂瓏仙大和尚(高階瓏仙大禅師猊下)に揮毫いただいた立派な掛軸です。

(11)香林寺跡地について ―要旨―
通幻寂霊大和尚の生誕地で香林院殿心岳理清大姉(池田長幸の娘)を開基とする浦富の香林寺は、鳥取藩城代家老の荒尾志摩家菩提寺である景福寺(鳥取市)の隠居寺で、明治期に永明寺に合併されました。「追遠碑」が岩美町役場から移された際に岩美町教育委員会から香林寺跡地と石碑を永明寺に管理してもらいたいとの要望があることをうかがいました。町浦富の老人会の方々が香林寺跡地の草刈り作業を長年してきましたが、高齢化で管理が難しくなったそうです。土地を管理する浦富生産森林組合が土地の名義変更に応じたとの連絡が岩美町教育委員会からあり名義変更の手続きをすすめることになりました。

(12)固定資産税と教職舎 ―要旨―
令和元年7月7日に旧門川家の土地と建物が新たに永明寺の名義になったことにより岩美町役場より固定資産税が永明寺に課税されました。課税対象の旧門川家は、住職住居である教職舎(宗教法人法 第3条)と位置づけ、住職が住むことになりました。課税されていた山林と畑地も境内の風致を保持するために用いられる土地(宗教法人法)と岩美町役場税務課に認められました。固定資産税非課税申告書を岩美町役場税務課に提出し、受理されましたので、令和3年度より永明寺に固定資産税は課税されないことになりました。

(13)駐車場整備のすすめ方―要旨―
8月末の第1回目の晋山式積立金の集金状況を見て永明寺檀家の福石さんの営む福上工業と駐車場工事について話し合い、参道両脇の駐車場予定地の整地と進入道路の整備を順次進めていく予定です。これにより永明寺に参拝しやすい広い駐車場が整備されます―

(14)評議員の交代―本庄地区評議員の城戸実氏が逝去、同地区の評議員が交代しました―

(15)長谷寺のアライグマ被害 ―『永明寺だより』第152号の記事まま以下に掲載―
 長谷寺(岩美町長谷)は、鳥取藩四代藩主池田宗泰正室の桂香院殿久姫(紀州藩主徳川宗直二女)が帰依した道肝徹要尼和尚を開山として開かれた由緒ある鳥取藩主菩提寺です。開山以来14世まで尼が住職(院主)を務めてきましたが、15世と16世は景福寺住職が務め、17世を永明寺住職が兼務しています。
 6月14日(日)朝課諷経と掃除のため兼務寺の長谷寺へ行ったところ、何者かが本堂に侵入して、三葉葵と揚羽蝶の家紋入りで大名蓮が描かれた襖絵(岩美町保護文化財)、西国三十三観音像等が破損しているのを発見しました。
 当日、すぐに長谷寺責任役員をされている行政書士の中嶋健雄氏に連絡して、中嶋氏が立ち会いの下、警察による現場検証が行われ、アライグマによる被害であることが判明しました。
平成22年2月1日に永明寺副住職をしながら本務寺院として長谷寺住職に就任して以来、作庭や修繕やリフォームをして大切に維持してきた長谷寺がまさかこのような被害にあおうとは夢にも思いませんでした。
 6月16日(火)には鳥取県立博物館の来見田博基学芸員と山田修平学芸員、南部町で鳥取県立博物館等の古文書や襖絵の修復をされている秦博志氏、岩美町教育委員会の寺本謙吾社会教育係長、長谷寺の中嶋責任役員に襖絵修復検討会議のため長谷寺へお越しいただきました。鳥取県立博物館には鳥取藩主池田家、御三卿田安家、薩摩藩主島津家、加賀藩主前田家などの大名家から寄進された長谷寺の寺宝を寄託しています。
 6月25日(木)には日本海新聞による取材。同日、東京藝術大学大学院博士課程を修了し、博士(文化財)の学位を持つ彫刻家で橿原市浄土宗正楽寺住職の吉水快聞氏に三十三観音像の修復の見積りをしてもらいました。
 6月26日(金)には襖絵の見積りを依頼していた秦氏からの見積書が届き、岩美町保護文化財の襖絵4枚の修復に56万円かかることがわかりました。
 7月1日(水)に岩美町教育委員会に襖絵の修復見積書を持参し、岩美町保護文化財の襖絵修復費の何割かを補助するための費用を岩美町9月議会で補正予算に計上していただけないかを寺本社会教育係長と話し合いました。
 7月16日(木)に7月1日に提出を求められた長谷寺の襖絵修復後の活用と事業計画、修復後の襖絵の保管体制に関する書類を提出し、7月20日(月)に岩美町教育長の寺西健一氏と話をすることになりました。
 7月20日(月)に中嶋責任役員とともに岩美町役場を訪れ、寺西健一教育長と寺本社会教育係長と話し合い、岩美町の9月議会補正予算として岩美町保護文化財の襖絵の修復に何割か支援していただけないか協議しましたが、前例がなく、岩美町には文化財保護の条例もないので難しいとのご見解でした。
 岩美町教育委員会のご見解を受けて、今後は、視点を変えて襖絵修復のみではなく、①景観法、②地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律、③文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律、④文化財保護法などの法律に基づいて岩美町や鳥取県と引き続き交渉し、地元の貴重な文化財である長谷寺の建物や景観や寺宝等を保護していく手立てを探していきたいと思っています。
 しかし、住職一人の力には限界がありますので、他寺院や有志の方々に修復のための寄附金を募り、みんなの長谷寺として今後も修繕、維持管理できる組織をつくっていけるように関係者と会議を重ねていきたいと考えています。(住職 石田貴道)

鳥取藩主菩提寺 長谷寺 アライグマ被害

2020-07-10 21:23:08 | 【長谷寺だより】

 鳥取藩主菩提寺のひとつで岩美町長谷にある曹洞宗雲門山長谷寺の本堂の天井がアライグマの侵入により抜け落ち、脱出しようとしたアライグマによって大名蓮が描かれた襖絵(岩美町保護文化財)、三十三観音像、開山像などが被害を受けました。

 長谷寺を兼務している永明寺の石田貴道住職が6月14日(日)7時40分に何者かの侵入により散乱した本堂を発見し、長谷寺責任役員の中嶋健雄氏の立ちあいのもと同日14時より警察による現場検証が行われ、アライグマによる被害と判明しました。アライグマ侵入時、石田住職は、長谷寺に不在で、長谷寺には月に数日だけ庭掃除や朝課諷経などに訪れていました。

 本堂に安置されていた開山の道肝徹要尼和尚の像(加賀藩前田家より寄進)や三十三観音像のうち二十三体の観音像が破損しました。岩美町保護文化財に指定されている鳥取藩四代藩主池田宗泰正室の桂香院殿久姫ゆかりの蓮池図襖絵のうち三葉葵の紋がある手前の一枚が甚大な被害を受けました。幸い長谷寺に伝来する鳥取藩主池田家、御三卿田安家、加賀藩前田家、薩摩藩島津家など錚々たる大名家より寄進された寺宝の数々は、鳥取県立博物館に寄託してあり、難を逃れました。

 6月16日(火)には岩美町教育委員会事務局社会教育係の寺本謙吾係長、鳥取県立博物館の来見田博基学芸員、山田修平学芸員の立ちあいの下、南部町で襖絵等の修復工房をされている秦博志氏より岩美町保護文化財の襖絵の修復手順の説明を受け、秦氏の修復工房で岩美町保護文化財の襖絵を保存修復することになりました。

 6月25日(木)には東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻博士課程を修了し、博士(文化財)の学位を持つ彫刻家の吉水快聞氏(橿原市 浄土宗正楽寺住職)が開山像や観音像の被害状況の確認と修復の見積もりに長谷寺を訪れました。

 長谷寺は、紀州藩主徳川宗直の二女で鳥取藩主正室の桂香院殿久姫が帰依した道肝徹要尼和尚のために建立した尼寺であり、鳥取藩主池田家の私的な菩提寺のため檀家を持たない寺です。長谷寺の御霊屋には藩主と藩主正室の位牌が安置されています。才色兼備の桂香院殿久姫は、夫の池田宗泰の死後、鳥取藩五代藩主から七代藩主までを養育し、藩校の尚徳館の創立にも関与し、藩政改革を断行し、池田家に絶大なる貢献をした姫です。長谷寺の歴代住職は、尼(院主)が代々勤めてきましたが、先先代(景福寺 山根宗範東堂)、先代(景福寺 山根宗信住職)、現住職までの三代の住職は、尼ではなくなりました。

 この度の被害を受け、長谷寺では復興のための会議を開き、様々な手段で広く有志より浄財を募り、藩主ゆかりの文化財が置かれている本堂や破損した文化財を修復することを目指しています。復興後、住職は、地域の歴史的な拠点として長谷寺を観光や文化活動の場として活用してもらいたいと希望しています。何卒、皆様のご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

大名蓮が開花しました

2020-07-10 06:46:28 | 【大名蓮の保護栽培】

4月に蓮根の植え替えをした鳥取藩主池田家ゆかりの大名蓮が開花しました。大名蓮は、希少種の蓮で、永明寺で保護栽培しています。織田家、豊臣家、徳川家と関わりが深い鳥取藩主池田家(32万5000石)と岡山藩主池田家(31万5000石)は、かつて池田輝政のとき姫路藩主として100万石を領した池田家の同族です。昭和になり鳥取城の内堀の大名蓮を岡山後楽園に植え替え、岡山後楽園では「一天四海」と呼ばれています。