幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

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「ナラティブセラピーの会話術 ディスコースとエイジェンシーという視点」国重浩一著 ”問題をいろいろな視点から考える手助け”

2024-06-24 00:12:12 | 本の紹介
・カウンセラーである私たちの言葉の選択が、いかに相手の語る話を広げ、問題について再考していく機会を提供できるか、つまり「どのように問いかけていくのか?」、そして相手の語る話を「どのように返していくのか?」ということが含まれる必要があるのです。相手が自分自身の話を十分に聞いてもらえたと感じるだけでなく、そこで語られたことをめぐって、私たちが真摯な興味と好奇心を持って共に探索していくことによって、新しい視点への気づきがうまれてくるのだと言えるでしょう。つまり、私たちの言葉の選択が、相手が語る話に影響を及ぼしていくという視点を考慮すべきなのです。

・モンクらは、ナラティブ・セラピーを「希望を掘りあてる考古学」と呼んだのです。

・カウンセリングという場面で、言葉のやりとりを通して新しい視点が生まれるのは、専門家の私たちが「新しい視点」を提供するという意味ではなく、お互いのやりとりを通して、問題に対する意味づけに変更が加わるということなのです。

・自分たちが社会にあるものをただ受容し、再生産することしかできない存在ではなく、何らかの可能性を自らの判断で選択し、推し進めていく力がある存在とみなします。これを主体性とか、エイジェンシーと呼びます。

・イギリスのマーティン・ペインが、ナラティブ・セラピーに関する本を執筆しようとしたときに、マイケル・ホワイト意見を求めたことがあります。
「あなた自身の声を聞くこと、この手法についてあなた自身が発見したこと、自分の人生といかに呼応したか、この手法に参加するについて自分の人生がどのような貢献をしたのか、それを知りたいと思います」

・問題行動などをクライアント自身がつくり出す張本人であるかのように尋ねるのではなく、クライアントの行動を操っているものがあるかのように尋ねていく手法です。
①問題を外在化し、外在化する会話へクライアントを招き入れていくのです。
②「何が」あなたの足をとめてしまうのですか?
③「どのような状況」が、そのときのあなたに影響を及ぼしていたのですか?
④「何か」そのようなことを生じさせることああったのでしょうか?

・ナラティブ・セラピーを世界的に一躍有名にした本があります。それは、「治療手段としての物語」です。日本では『物語としての家族』として翻訳されています。

・「新しいスクール・カウンセリング: 学校におけるナラティヴ・アプローチ」
①人間はストーリーによって人生を生きている
②私たちが生きるよりどころにしているストーリーは、真空地帯で生産されるわけではない
③ストーリーにはディスコースが深くかかわっている
④近代社会は、監視と精査によって維持される社会規範によって特徴づけられている
④自分自身が同盟できる(タッグを組める)ような、矛盾しているオルタナティヴなコースが必ず存在する
⑤支配的なディスコースを脱構築することによって、人生のための新しい可能性が生まれる
⑥ストーリーには包みこまれないような生きられた経験が、必ず存在する
⑦カウンセラーの課題は、クライアントに以前より満足を与え、感じ入らせるようなプロットを構成できるよう援助することである

・ナラティブ・セラピーの流れ
①相手の話の要点やサマリーを返すこと
②相手の感情や気持ちを確認すること
③問題の影響を描写していくこと(問題の外在化を導入していくこと/脱構築すること)
④ユニークな結果や例外を見つけること(間を広げること)
⑤その人の好みを確認していくこと
⑥ユニークな説明を求めていくこと(行動の風景を描写していくこと/ストーリーを発展させていくこと)
⑦ユニークな再描写を求めていくこと(意識、またはアイデンティティの風景を描写していくこと/意味の質問)を使っていくこと)
⑧ユニークな可能性について探索していくこと
⑨オルタナティヴ・ストーリーを定着させていくこと

 外在化された対象である問題が、どの程度、どの範囲で、どれくらいの期間、その人の人生や生活に影響を与えているのかを見ていきます。これを成しとげるための質問は、「この『問題』は、あなたの人生にどのような影響を与えてしまったのでしょうか?」という形式に代表されるでしょう。

脱構築とは
 ジャック・デリダやミッシェル・フーコーのフランス哲学者たちが用いた概念を、心理療法の分野で利用したものです。それは、人が話す物語がどのように成立しているのか、どうしてその意味を持つにいたったかを確認していくということです。そして、特定の物語が、どのような力を持っているのかを明らかにすることでもあります。

・脱構築された真理は、その絶対性を崩され、多くの見方のひとつにすぎないものとなります。この状態になって初めて、私たちは、この問題を扱えるのです。


・カウンセラーが手紙を書くという実践をしていることを聞くのは、稀ではありません。
 招待状には、次のような側面が含まれていると考えています。
 まずは、招待状のタイトルによって、どのようなことを相手に期待していほしいかを伝えることができます。また、相手はどのような立場で、招待されているのでしょうか? その招待状によって、ほかの誰かが参加することができるかを含めることもできます。

・カウンセラーの心がけ
 ・あなたが信頼でき、ものごとをオープンにできるようにつとめること
 ・あなたの話を真剣に、そして感受性を持って聞くこと
 ・批判的になり、問題のためだけに攻めるようなことはしないこと
 ・あなたの視点からその心配事や問題を見るようにつとめること
 ・あなたが自分自身の決断をするのを助けること
 ・あなたが変えていこうと決めたことを、あなたが実行していくのを助けること
 ・ほかのサポートや助けが必要なときは、可能な限り、ほかの人にそのサポートや助けを求めること
(ニュージーランドカウンセリング協会による「スクール・カウンセリング」からの抜粋)

・カウンセリングはどのようにして役立つの?
 ・自分自身に対する考え方を改善すること
 ・新しい見方でものごとを考えるようになること
 ・ちょっと違ったやり方を行うようになること
 ・ストレスを軽減すること
 ・自分自身の新しい選択肢や方向を見出すこと
 ・プランを立て、ゴールを据えること
 ・自分自身の考え、気持ち、行動をもっと探求できること
 ・もっと自分自身を理解できること
 ・あなたの友人、家族などとの改善すること
(ニュージーランドカウンセリング協会による「スクール・カウンセリング」からの抜粋)



感想
 この本は、実際の事例の対話が紹介されています。
具体的な事例からナラティブ・セラピーがどういうものかが伝わってきました。

 カウンセラーの返す言葉で、クライアントの話す内容が左右されるのです。

 ”ディスコース”の意味は分かりにくいのですが、社会の規範みたいなものというか、こうあるべきというそれまでの思い込みに、私たちは縛られています。
そのディスコースから脱却することで、新しい考え方や生き方を見つけていくこともナラティブ・セラピーの目指す方向のように感じました。
ディスコースは”人惑”と同じように感じました。
親や先生から「~しないといけない」と教えられたことが、自分の考えになっています。そしてその考えに自分が縛られて苦しんでいるのです。
その考えは正しいかどうか、疑う必要があります。
その縛りから抜け出すと生きやすくなるのではないでしょうか。
 
 気持ちを聴いてもらうことは心の負担を軽くしますが、もっと積極的に抱えている問題を解決していく対話です。
その問題は「私が悪い」から起きているのでは、「私」とは関係なく、問題が発生し、それに苦しめられているのです。

 薬が助けてくれるのは、気持ちを落ち着かせたり、寝られないと寝られるようにしてくれますが、悩んでいる問題はそのまま残っているのです。
カウンセリングでも話すことで気持ちが楽になりますが、必ずしも問題はそのままの場合があります。
 
 オープンダイアローグ、ナラティブ・セラピーも問題解決のために本人とカウンセラーが一緒に考えていくことで、本人が見つけていくというか、気づいていくようです。



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