幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「いやや」母は刃を腹に 赤ちゃん「職権保護」の瞬間 ”責任と誇りを持って”

2016-11-18 12:38:38 | 社会
http://digital.asahi.com/articles/ASJC31CP8JC2UTIL073.html?rm=3592016年11月18日
■小さないのち 児相の現場で
特集「小さないのち」
 「どうかこのまま泣かないで」。西日本にある児童相談所(児相)の30代の女性ワーカー(児童福祉司)は祈るような気持ちでいた。腕の中に、母親から引き離して保護しようとしている赤ちゃんがいる。
 女性ワーカーたちはこの日午前9時ごろ、20代の母親と赤ちゃんが暮らす家を訪れた。「おじゃまします」。2人で部屋に上がって母親と話をしながら、さりげなく赤ちゃんを抱かせてもらった。ニコニコと笑い、かわいいと感じた。
 もう一人の職員が母親と話し込むすきをみて、女性ワーカーは赤ちゃんを抱いたまま玄関に向かい、外で待機していた別の職員に赤ちゃんを手渡した。その職員がその場を離れたのを確認してから、こう告げた。
 「○○ちゃんを職権保護しました」
 母親は叫んだ。
 「いやや、いやや、いややあ~!」
 母親は台所に走って包丁を取り出し、刃を自らの腹に向けたという。
 「キャー」。今度は女性ワーカーが悲鳴を上げた。暴れる母親の腕を必死でつかむと、近くで待機していた警察官が飛び込んできて、母親を取り押さえた。幸い母親は無傷で済んだ。
親の同意なくても
 この母親をめぐっては、虐待が疑われる情報が数カ月前から児相に来ていた。結婚はしておらず、生活保護を受けていた。愛情がないわけではないが、精神的に不安定で、赤ちゃんを死なせてしまう危険があるとの具体的な情報が保健師から寄せられ、児相は一時保護に踏み切った。
 全国で虐待を受けて死亡した子どもの約6割は0歳児(2014年度)。虐待の対応チームに入って4年目の女性ワーカーは「0歳児は亡くなる可能性が高いので、保護するまでの数カ月はあまり眠れず、怖かった」と振り返る。
 親の同意を得て一時保護するケースもあれば、今回のように、子どもが危険な状況だと児相が判断した時に、親の同意がなくても強制的に子を引き離す「職権保護」のケースもある。
 子どもの安全を確認しなかったり、一時保護しなかったりして子どもが虐待死するケースは全国で後を絶たない。女性ワーカーは「母子が一緒にいる際に職権保護するのは本当に大変で、いやなんですけど、子どもの命を守るために必要です」と話す。この児相は人口比でワーカーの配置数が全国でも多いが、虐待対応に日々奔走している。
■「君を守るため、お泊まり」
 別の日、午後3時すぎ。小学2年の男の子の顔にあざができたとの虐待通報が児相にあった。同居している母親の恋人にたたかれたという。通報があると、児相は48時間以内に子どもの安全を確認するよう求められている。虐待対応1年目の20代の女性ワーカーらが学校に向かった。
 女性ワーカーは男の子の傷を確かめ、笑顔で語りかけた。「人を殴ったりたたいたりするのは良くないことだから、家族と話したいと思います。君を守るためにお泊まりしてもらうことになるけど、いいかな?」
 男の子は「はい」と素直にうなずいた。担任の先生にアレルギーの有無を聞き、男の子を連れて車で病院に向かった。心身に異常がないか、医師に全身を診てもらうためだ。
 男の子は車中で自分の宝物や家族のことをしゃべり続けた後、「お母さんに電話できる?」と聞いてきた。「今日はできないの。お母さんにはちゃんと連絡しておくからね」と女性ワーカーは答えたという。
 そのころ児相は、男の子を職権保護したことを保護者に電話で伝えていた。
 連絡を受け、母親と、同居の男性が児相に来た。ほかのワーカー2人が保護した理由を伝えると、同居の男性はたたいたことを認めた。「宿題やっても覚えが悪い。イライラして」
 母親らは「子どもを連れて帰りたい」と粘ったが、対応したワーカーは「顔や頭部にけがをさせるような暴力は極めて危険。今後のことは話し合いを重ねて一緒に考えていきましょう」と応じなかった。1時間ほどで母親らは引き揚げた。
 午後7時すぎ、病院での診察を終えた男の子が児相に到着した。男の子はこの日から、児相に併設される一時保護所に寝泊まりすることになる。
 一時保護所の男性職員が、とっておいた夕食を男の子に運んだ。とりのソテー、酢の物、スパゲティサラダ――。男の子はおいしそうに食べた。一時保護所がどんなところかを職員が説明すると、男の子は「遊べる?」「ビデオとかあるの?」と聞き返した。「ドラえもんもあるよ」と言われると、「やったー」と腕を突き上げた。
 保護にあたった女性ワーカーは「今日は子どもが素直で、順調でした」。翌日からは親や子との面談、家庭調査など、やるべきことが山のように待つ。一時保護は始まりでしかない。
     ◇
〈児童相談所(児相)〉都道府県と政令指定市に設置が義務づけられ、全国に210カ所ある。不登校や非行への対応のほか、父母の不在や虐待などにより養育が困難な子どもを一時保護する権限を持つ。ワーカーとよばれる児童福祉司が対応の中心を担う。
 2014年度に行われた一時保護は全国で3万5174件あり、47・8%は虐待が理由だった。一時保護所は全国に136カ所あるが、乳児院や児童養護施設、里親に委託されることもあり、それらは全体の4割弱を占める。一時保護の期間は原則2カ月までとされ、その後は家庭に戻したり、児童養護施設などに入所させたりする。

感想
日本では子ども虐待や子ども道連れの自殺などが多い。
子どもは親の責任との考えによると思われます。
米国では、チャイルド・アビューズ(子どもの虐待)は社会の責任としての視点が大きかったように思いました。
前に、「告発 児童相談所が子供を殺す」 山脇由貴子著 の本を紹介しましたが、まさに児童相談所で働く人がどれだけ意識を高めて、子どもの命を守ろうとしているかだと思います。
その仕事に責任だけでなく、誇りを持って行うかどうか。
その決心が、結果として大きな違いがでるのではないでしょうか。