新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

桜姫東文章(8月18日昼の部;於 新橋演舞場)

2012-11-12 23:58:30 | 歌舞伎鑑賞雑記

 歌舞伎座建て替えのための新橋演舞場公演は座席数が少なくて,チケットの確保が大変です。
6,7月の猿之助襲名を観に行けなかったストレスで,8月は1等B席を取ってしまいました(これでも一般会員発売日に残っていた席をやっと購入)。
昼の部は1階後方花道の真横の席での観劇でした。


;桜姫に福助,清玄和尚に愛之助,釣り鐘権助に海老蔵。


福助の桜姫が因業深く堕ちていくさま,愛之助の高僧清玄が俗にまみれていくさまは写実的。
ゆえに悪人釣り鐘権助の海老蔵がファンタジーに見えてしまう。その海老蔵の声の悪さ。数年前から気にはなっていたものの,声の質のせいか劇場内にセリフが通らないほどでした。一過性のものであればと願います。


花道脇の席であったので,役者さんの重みで床がきしむ音まで聞こえました。そして衣装をつけて歩く人の存在感,筋肉が動き空気が震える感触まで感じられました。


しかし花道の動きは江戸であるのに,舞台の上の身体が平成の動きであるように思えたのはなぜでしょうか。回を重ねた福助の桜姫は随所に型のうつくしさがありましたが,権助との生々しい絡みはいただけない。愛之助の清玄和尚が破戒していくようすは哀れでおかしみもあるが,どうにも現代の身体を感じてしまいます。何でもありの南北作品でそう感じたのは初めてでした。


萬次郎が脇役の局長浦を好演,脇がここまで貫禄がある役者さんですと見るほうも落ち着いて観られます。松若丸の児太郎は成長過程,誰に似た役者さんに育つのか楽しみです。


 


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