新・桜部屋

主に伝統芸能観劇記。
その他鑑賞日記

寿初春大歌舞伎 (於:新橋演舞場)2013/01/25 

2013-01-31 00:52:24 | 歌舞伎鑑賞雑記
團十郎休演につき幸四郎祭り。
夜の部は逆櫓と大星由良之助の大役を続けて演じた幸四郎,前回にも感じたとおり幸四郎の役作りの大きさと男の魅力が際だっていました。
ひらかな盛衰記 逆櫓:前段は,設定を確かめるためのくどい台詞が続いて,睡魔との戦い(そして負けた)。後段は派手な立ち回りの連続。幸四郎の着る蛸模様の肩から手に握った綱をつたって舞台から花道全てを使い一本の線でつながる造形美。空想の世界であり虚構の出来事である事件が,幸四郎の大きさで壮大な物語に昇華されておりました。女房に高麗蔵,女官でお筆に福助は地味に説明役。漁師に錦吾,説得力のある爺役。

仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の段:初めて歌舞伎を観たのが高校の観劇会,西宮市民会館にてこの演目でした。あれから幾星霜,両の手で足りないほど観た芝居です。
大星由良之助・團十郎の代役は幸四郎。一力茶屋で飲み惚けている由良之助は紫色のちりめんに朽ち葉色の裾ふきには綿がたっぷりと入っていて,腰まわりから落ちる布の質感がたまらない。練りに練られて完成された一力茶屋の段は完璧な型の上で俳優がのびのびと演じている円熟の舞台でした。お軽に芝雀,お軽兄の平右衛門には吉右衛門。どちらもきっちり,愁嘆場は品良し。由良之助にあまりに色気があるので,お軽の助太刀で斧九太夫を刺す場面がケーキ入刀に見えてしまうほどでした。

釣女
長者に橋之助,美女に七之助の叔父甥コンビ。太郎冠者に又五郎,醜娘に三津五郎。
まだこの舞踊には勘三郎の空気が濃く残っていて,みな舞台上の亡霊と踊っているようでした。やはり最後は涙で前が見えない・・・。

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