江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

狐狸が鍼医を呼ぶ  「半日閑話」太田南畝 

2020-01-23 19:16:08 | キツネ、タヌキ、ムジナ、その他動物、霊獣
狐狸が鍼医を呼ぶ
                    2020.1
江戸の日本橋に、一人の鍼医いた。鍼が上手であった。
盲目の人であった。

ある時、駕籠を伴って来た人がいた。
駕籠に乗っていくと、立派な家に着いた。
老婆が出てきて、病人の部屋に案内された。
数十歩の長さの廊下を通っていった。
病人がいたので、診察のため、腹をさわったところ、剛毛が生えていた。
それで、驚いて、手を放した。
触って見ると、顔は先が尖った獣であった。
それで、初めて、人でない事を知った。
しかし、治療を請われたので、腹等に鍼をさして治療した。
鍼医は、恐ろしく思い、帰してくれるよう、頼んだ。
すぐに、家に送り帰してくれた。

それから後は、怪奇なことは、起こらなかった。

狐狸の類でも、鍼が病気によく効くのを知っていて、
鍼医を招いて、病を治してもらったのだ。

寛政七年の事である。

以上、「半日閑話」太田南畝 より。


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