ポーランドからの報告

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ワルシャワで教育関係者のデモ行進が行われる

2007年03月17日 | 政治・経済

今日3月17日の土曜日、首都ワルシャワにて、教育関係者らのデモンストレーションが行われました。教師ら学校教育関係者の給料UPと、教育相で副首相であるロマン・ギェルティフ(Roman Giertych)氏の退陣を求め、学校教師や児童の保護者らが、教育省や国会議事堂前で、デモ行進を行いました。

ポーランドの学校教師の給料は手取り800~1000zl(約4万円前後)と、他の公務員同様非常に少なく、仕事は非常にきついのにこんなスズメの涙ほどの給料ではおよそ割りにあいません。教師の職を捨てて、外国で皿洗いや掃除婦、タクシー運転手をしたほうが、まだ稼ぎになるのです。そのため定期的に賃金値上げ要求が行われていますが、一向に解決されていません。先日クラクフでは、放課後に路上で男娼をして稼ぎの足しにしていた女性教師の存在が発覚し、問題となったのも記憶に新しいところです。

またロマン・ギィエルティフ教育相・副首相は、与党第一党「法と正義(PiS)」とともに連立与党を組んでいる、「ポーランド家族連盟(LPR)」の党首で、非常に過激な右派カトリックで知られ、その支離滅裂な政策により、ポーランドの教育現場は非常に混乱しています。昨年の高校卒業資格試験・マトゥーラ(Matura)では、不合格の人を皆合格扱いに繰り上げて、大問題となりました。日本の公立小学校でも、運動会の徒競走で、順位が付かないように、皆で手をつないで走るところがある、という話をきいたことがありますが、それに匹敵するトンチンカンな政策です。

このギィエルティフ教育相は、二世政治家なのですが、親子ともに極右カトリックで知られています。先だってはその父親であるマチェイ・ギィエルティフ(Maciej Giertych)氏が、「ユダヤ人がヨーロッパを破滅させる」という趣旨の著作を書いており、今まさにヨーロッパ中を震撼させるスキャンダルとなっています。このような経緯から、ギィエルティフ教育相とLPRの独走ぶりは、ヒットラーとナチス党にも例えられており、実際にLPR党員内にネオ・ナチ勢力もいるらしいことから、以前から何度にもわたって退陣要求が各方面からでているのですが、本人は一向に応じるそぶりはありません。

ポーランドの政治のすごいところは、どんなに人気や実力のある政治家でも、カチンスキ双子兄弟の勘に触れば、簡単に退陣させられ、逆に双子兄弟に取り入られば、実力や政策とはまったく関係なしに、永久に政界に居座ることができるところです。有権者の声は、まったく届きません。これでは国民の怒りが爆発するのも無理のないことです。

というわけで、今後気候が暖かくなるにつれ、また高校卒業資格試験のシーズンが近づくにつれ、このようなデモがたびたび開催されると予想されますので、旅行者の方はデモ隊に遭遇しても、どうかびっくりなさらないでください!(ワジェンキ公園や日本大使館近辺は、国会議事堂や教育省に近いので、デモに遭遇する確率が高くなります。)


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