制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

事業仕分け前半終了 削減は約4000億円、「埋蔵金」は約9000億円

2009年11月18日 10時12分04秒 | 予算・事業仕分け
事業仕分けの5日目が終わった。

仕分け結果の詳細(11月17日分)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111701000935.html

前半の5日間で、満額が認められたのは1件。「廃止」は、地域イントラネットなど32事業で878億円。「予算計上見送り」は、社会保障カードなどの11事業で569億円。「半減」や「見直し」などの事業では、約4000億円が「無駄・不要不急」とされた(無駄があるとカットされても大丈夫な事業が選ばれている感もある。厚生労働省の説明しか聞いていないが、「どうしても無いと困る」との熱意が伝わってこない説明もあった)。また、こども未来財団や福祉医療機構などの基金、いわゆる「埋蔵金」のうち、返納するよう求められたのは、総額で9000億円。合計で1兆3千億円となっている。中間報告として取りまとめ、明日(19日)の行政刷新会議で確定する。

4日目には、地域イントラネットの「廃止」が決まった。これは、IT業界における「コンクリートから人へ」を象徴する判定といえる。
公開の場で必要性を問うことによって、国が手がける必要性が薄れたにも関わらず続いている事業から「無駄」をあぶり出し、断ち切ることができるという「事業仕分け」の成果である。今年度のみと言わず、毎年実施してほしい。

今日のIT業界において、「イントラネット」は誰も使わないような言葉になっている。この事業は、ネットワークを敷設することが目的であり、住民に提供するサービス=アプリケーションは添え物で、どこもよく似たことが掲げられている。ITベンダーが地方自治体に働きかけて(必要な書類を代筆したり、提案書のテンプレートを提供したりして)取りにいくようなこともあったらしい。地域イントラネットというと必ずといってよいほど、「保健・福祉・医療サービスの高度化」などがキーワードとして入っており(テンプレートに入っているのだろう)、厚生労働省などが手がけるべきことと「重複」している。「防災」や「救急」などは、国土交通省や消防庁などと重複する。しかも、今日、都市部では、公共施設を光ファイバーで結ばなくても、十分に安価で高速な回線を調達できる。もう「民間でもできる」ことである。「コンクリート(インフラ・箱もの)」「重複」「民間」の3つのキーワードが揃い、「地域情報化」といっていた頃から10年以上続いている事業なので、「廃止」は当然のように思える。

この調子で仕分けを続けると、2兆円少々。後半に予定されている省庁の担当者は前半のやりとりから対策を練ってくるだろうし、これでは3兆円の目標に届かないだろう。後半は、これまでよりも厳しく切り込み、仕分けていく必要がある。
加えて、次のような事情もある。景気=企業業績の回復が遅れているために税収が落ち込むことは確実である。しかも、発行できる国債にも限度があり、自民党を批判してきただけに「過去最大に」とは報じられたくない。
つまり、目標の3兆円に達したとしても、予算編成には十分でないということである。

そのため、並行して高速道路無料化などマニフェストに掲げられた事業の見直し・圧縮、先送りの検討も続けられているとのこと。まさしく「聖域なし」での事業仕分けが表でも裏でも進められているようである。