制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

社会保障・税に関わる番号制度に関する第3回検討会で住民票コードの利用の可能性が高まる

2010年03月31日 23時26分39秒 | 情報化・IT化
春休みの間に、社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会の第3回会合が開催されていた(3月15日)。
議事録は公開されていないが、総務省と内閣官房IT担当室へのヒアリングのため、技術的な議論が多かったものと思われる。社会保障と税の共通番号を国民に付与するのかといった本質的な議論が待たれる。

第3回会合・配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokkasenryaku/image/20100315_syakaihosyou_3_haihu.pdf

総務省の資料から、いままで見落としていたことに気づいた。第2回会合の後に、このブログで外国人をどうするのかと書いたが、訂正しなければならない。
具体的には、昨年の7月に成立していた「住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成二十一年七月十五日法律第七十七号)」と「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」である(この頃は麻生政権の行く末が気になって、成立した法案を一つひとつチェックしている余裕はなかった)。

外国人住民に係る住民基本台帳制度について
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/zairyu.html

これらの法律は、従来の外国人登録の制度を見直して、外国人住民も住民基本台帳に登録しようというもの。2009年7月15日に公布されており、2012年7月までに施行されることになる。施行後は、日本に居住する外国人に空港などで在留カードが公布されるようになり、そのカードをもって居住する市町村に住民登録することになる。転入・転出などの手続きは、日本人と同様となるため、現行制度のようにいつの間にかどこかに行ってしまったということはなくなる。

住民票コードは、日本人に加えて日本に居住する外国人にも付与されることになり、2013年度には納税者番号として使うことができるようになると考えられる。内閣府IT担当室の資料にあるように、住民票コードから生成される一意の番号を「本人と関係行政機関以外の第三者も容易に知りうるような性格の番号」である納税者番号として使い、住民票コードを医療保険者・介護保険者・年金保険者などが名寄せなどの目的で使う「本人と関係行政機関のみが知りうるような性格の番号」として使えるということである。

巨大なネットワークシステムの構築が必要になるが、技術的な課題は、それほど苦もなく解決できるだろう(セキュリティを担当する技術者は別の見方をするだろうが)。
最大の課題は、これらの番号の必要性を国民が納得できるように説明することである。内閣府IT担当室の資料にあるような「引越しポータル」では納得できない(年中引っ越している人でもないかぎり、利便性を享受できない)。国民から社会保障制度への信頼を取り戻すために必要な「国として備えておくべき社会基盤=インフラ」だと説明しないと迫力はでないし、納税者番号を導入する目的においても民主党が掲げる様々な政策を実現するために必要になるものだと説明すべきだろう。

個人的な意見だが、社会保障番号は、国民にとって意識することのない番号になるだろう。この番号を使うのは行政機関であり、たとえば、子ども手当の支給額を一律にするのではなく世帯の所得に比例させたり、真に困っている人たちの給付に使ったり、医療と介護の自己負担額を世帯で合算できるようにする(所得に比例させた限度額を上回る分を償還する)といった説明をする。医療や介護、年金の番号は現行どおりとすれば、国民にとって「プライバシーの侵害」や「国による管理(国民総背番号制)」といった見え方にはならないのではないだろうか。

行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」、初会合が開催される

2010年03月30日 23時51分13秒 | 予算・事業仕分け
29日に、政府の行政刷新会議の下に設置された「規制・制度改革に関する分科会」の初会合が開催された。
枝野大臣は、「これまでの規制改革は、厚い壁に阻まれて緩和されていないところと、逆に緩和だけが進んで弊害が生じた両面があった」と指摘し、「消費者であるとか、患者さんであるとか利用者の観点で規制を見直していただきたい」と求めた。

規制改革分科会が初会合=鳩山政権で論議スタート
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100329X578.html

「消費者、患者の観点で規制見直しを」-行政刷新会議分科会が初会合
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-26981.html

規制の見直しには相当な抵抗が予想される。例えば、「混合診療の解禁」や「レセプト病名統一」などは、話題になるたびに大きな反発を招いてきた(いささか感情的で、これらを許せば「医療崩壊」につながるなどの脅しを加えて)。いくら枝野大臣が頑張って旗を振ったからといって、簡単に実現できるとは思えない。ゆえに、大塚分科会長が「委員でまとまらない場合は、関係者を集め、公開の場で『規制仕分け』をする」と述べるなど、「国民」を味方につけるしかない。この分科会においても「国民の声」を受け付けての開催だけに、ホームページに資料がアップされている。

規制・制度改革に関する分科会(第1回)議事次第
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/0329/agenda.html

今後の予定は、

4月
 ・3つのWGの立ち上げ、各WGでの関係者ヒアリングと論点整理など
5月
 ・各WGでの方向性の確認、各省での調整、分科会への報告
6月
 ・行政刷新会議への報告

となっている。
検討テーマは、規制改革会議の提言、「国民の声」の集中受付期間に寄せられた規制改革提案、新成長戦略関連重要検討テーマとしての提案のなかから抽出済で、WGは、ライフ・イノベーション、グリーン・イノベーション、農業の3つとなっている。
なお、ライフ・イノベーションの検討テーマは、

・保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の原則解禁
・一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和
・医行為の範囲の明確化(診療看護師資格の新設)
・医行為の範囲の明確化(介護職による痰の吸引、胃ろう処置の解禁)
・再生医療の推進(適用法令、臨床研究の在り方、PMDA審査体制)
・レセプト等医療データの利活用促進(傷病名統一、診療年月日記載など様式改善等)
・ICTの活用促進(遠隔医療、特定健診保健指導)
・医療ツーリズムに係る査証発給要件等の緩和(医療ビザ、外国人医師の国内診療)
・特別養護老人ホーム等への民間参入拡大(運営主体規制の見直し)
・介護施設の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃
・訪問看護ステーションの開業要件の緩和(一人開業の解禁)
・各種介護サービス類型における人員・設備に関する基準の緩和(サービス提供責任者の配置基準、ユニット型施設の入所定員比率目標等)
・高齢者用パーソナルモビリティの公道での使用
・EPAに基づく看護師、介護士候補への配慮(受験回数、試験問題の英語表記or漢字へのルビ等)

となっている。
このブログでも取り上げている項目がいくつか入っているし、ここ数日の間に動きが出てきている。
例えば、

介護福祉士の在留資格検討=歯科医師らの就労制限撤廃-出入国計画
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100330X765.html

<EPA>来日研修生、看護師に 254人中3人…超難関、日本語が壁
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20100327ddm041040144000c.html

で報じられているように、難しい漢字にルビを振ったり簡単な言葉に言い換えたりする、日本語の支援を充実させる、日本の大学を卒業して国家試験に合格した留学生には国籍にかかわらず介護福祉士として活動を認める、といった検討が進められている。

高度情報通信ネットワーク社会推進本部(IT戦略本部) 鳩山政権下で再始動

2010年03月20日 09時33分13秒 | 情報化・IT化
鳩山政権が発足して半年、ようやくIT戦略本部の会合が開かれた。
半年もの間、何の動きもなかったために、これまで民主党はITのことがよくわかっていないのではないかなどと噂されてきた。しかし、鳩山首相が「半年たつまで戦略的なことを決めていなかったが、やはり戦略性が重要だと認識し、遅ればせながら立ち上げた」と述べるなど、これから数ヶ月で大きく動きそうである。関係省庁の副大臣・政務官からなる企画委員会が新設され、「政治主導」で政策の立案が進められる。具体的なスケジュールは、

4月
・新IT戦略を決定
5月
・必要な法整備や予算措置、目標年次や担当省庁党を明記した工程表を策定
6月~
・新成長戦略に反映

で、ITの利活用を阻む既存制度などを徹底的に洗い出して抜本的に見直すとのこと。前政権との違いは、「政府・提供者主導から、国民主導の社会への転換のためにITを活用する」ことにあり、そのためにITが果たす役割が大きいとの認識。多少の焼き直し感はあるが、今後の詳細化に期待したい。
新IT戦略は、「国民主権」の観点から、次の3つの柱=重点戦略に絞り込むことになる。

(1)国民本位の電子政府の実現
・政府CIOを設置して、行政の効率化を推進するとともに業務を見直し、共通基盤を整備する
・行政が保有する統計情報を匿名化して、インターネットで容易に入手できるようにする
・行政が保有する情報の公開を進め、民間部門の新事業を創出する
・便益の高い行政サービスをオンライン/オフラインでいつでも利用できるようにする
・国民ID(共通番号)制度、自己の情報活用を本人が監視できる制度等を整備する

(2)地域の絆の再生
・市民メディア(地域SNS)の全国展開など、地域主権をITで実現する
・双方向でわかりやすい授業の実現など、21世紀にふさわしい学校教育の環境を整備する
・国民が自らの健康・医療情報を電子的に活用可能な全国レベルの情報サービスを創出する
・独居高齢者の安否確認や在宅医療・介護などでITを積極活用する

(3)新市場の創出と国際展開
・ITの研究開発を重点的に推進し、早期に市場に投入する
・デジタルネイティブの能力を活かし、新事業を創出する
・クラウドコンピューティングサービスを推進する
・スマートグリッドや人やモノの移動のグリーン化などにより低炭素社会を実現する
・戦略分野についてオールジャパン体制を整備し、国際標準を獲得する


診療情報活用、全国で受診可能に…IT戦略案
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100319-567-OYT1T01037.html

共通番号制のシステム整備 政府の新IT戦略骨子
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031901001004.html

政府のIT戦略本部が始動 企画委新設、5月に工程表
http://www.asahi.com/politics/update/0319/TKY201003190530.html?ref=goo

診療履歴をデータベース化=IT新戦略骨子を決定-政府
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100319X995.html



なお、政権交代後の初会合となった第52回の資料は、すでに公開されている。詳細は、配布資料をご覧いただきたい。

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(第52回)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai52/gijisidai.html

事業仕分け・第2弾の公益法人選定、最終フェーズに

2010年03月19日 21時16分41秒 | 予算・事業仕分け
4月下旬に実施予定の事業仕分け・第2弾の公益法人の選定が進められている。
9日から実施していた公益法人に関する省庁ヒアリングは18日には終わり、19日から独立行政法人に関するヒアリングが始まる。公益法人の数は331。独立行政法人の数は98。それらから100程度に絞り込む予定。

<事業仕分け>公益法人に関する省庁ヒアリング終了 第2弾
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100318-00000096-mai-pol

リストとして発表された50の法人では、常任役員186人のうち、天下りが128人で約7割。総務省・経済産業省の両省が所管する日本情報処理開発協会では天下りの常勤役人が5人で、年報は1380万円から1800万円(役員報酬規定)などと報じられていることからは、事業仕分けの場で、公益法人への天下りと高額な役員報酬を追及していくものと思われる。

「仕分け」候補の公益法人、常勤役員7割が天下り
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100313-567-OYT1T00057.html

天下り在籍法人、高額報酬は5倍 事業仕分けでも追及へ
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031901000577.html


枝野大臣は、閣議後の記者会見で、公益法人・独立行政法人に加えて、特別民間法人を仕分けの対象に加えることを発表した。特別民間法人は、日本消防検定協会や自動車安全運転センター、社会保険診療報酬支払基金など38。特別民間法人は、公的な業務にあたるために法律に基づいてされている法人で、公的な権限が与えられていたり補助金が支出されていたりする。

仕分け、特別民間法人も対象=枝野担当相
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100319X869.html

特別民間法人も仕分け対象に…刷新相
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100319-567-OYT1T00977.html

事業仕分けで「廃止」になったはずの事業が「看板」を付け替えて公募中

2010年03月18日 22時23分57秒 | 予算・事業仕分け
昨日、事業仕分けで「廃止」となった地域見守り支援システム実証事業を引き継ぐような調査研究事業「平成22年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業(地域見守り創出調査研究事業)」のコメントを頂いた。

地域見守り支援システム実証事業
http://www.nss-med.co.jp/mimamori/index.html

地域見守り支援システム実証事業は、3ヵ年計画の1年目で取りやめとなった。事業を推進するための基礎固めが終わってこれからというときに資金のパイプを締められたのだから、それまでに投じた資金などが無駄になる。そう考えれば、看板をつけかえて継続させるほうがよいとも思える。しかしながら、事業仕分けで、経済産業省が推進する理由がわからないと「廃止」の判断が出されているのだから、継続するなら国民に対して、きちんと説明する必要がある。経済産業省として成果を出すところまで継続させると判断したのだから、大臣自ら、記者会見の場などで正々堂々と取り組む意義を説明してはどうだろうか(コメントで頂いたように、説明できないのなら、自民党が「民主党の事業仕分けは、人気取りのパフォーマンスだったのではないか。枝野大臣が第2弾だといっても国民はもう騙されない」と追及すべき)。

平成22年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業
(地域見守り創出調査研究事業)
http://www.meti.go.jp/information_2/data/20100308094447.htm

そもそも、経済産業省が「地域見守りの仕組み」というものをわかっているとは、とうてい思えない。

地域社会において求められる「見守り」は、実に多様である。

例えば、障害者の自立生活を支えるための「見守り」は、一般の人たちの感覚では「サービス」にはみえないかもしれない。ずっと施設に入所していた障害者が、生まれて初めて施設を出て、アパートを借りて一人暮らし始めるといったときに必要な「見守り」とはどのようなものだろうか。見守りサービスを提供する支援者は、障害者とともに暮らしつつ、ずっと見守っている。ただ、それだけである(これはサービスの一つの例・あり方なので、誤解のないようにしていただきたい)。見守りサービスの利用者が困っているようにみえるからといって、支援者の判断で手を出すようなことはしない。支援者がそのように振舞ってしまうと、それは「見守り」ではなく、利用者がトラブルを起こさないための「監視」となってしまう。意思決定の主体はあくまで利用者であって、支援者ではない。ずっとそばにいることが安心感につながり、地域における自立した暮らしに向けた第一歩を踏み出すことができる。このような見守りサービスには、効率的・効果的という表現は馴染まない。

その一方で、効果的・効率的という表現を突き詰めていくべき領域もある。例えば、地域中核病院から退院して地域のリハビリ施設に移る、自宅に戻るといったときに、それぞれが管理している情報が引き継がれるようにする、在宅療養生活を支えるために医療・看護職と介護職、地域のボランティアなどが連携するといった場合である。多様な主体による多様なサービスを利用できる、それぞれが縦糸と横糸のように組み合わされて常に見守られているという安心感を与えるためには、システマチックなアプローチも必要となる。

これらは極端な例かもしれないが、「地域見守りの仕組み」のあり方は一つでないし、規制改革を考える前に取り組まなければならないことは山のようにあるはず。事業内容(仕様書)の「地域見守りの仕組み」と「産業の創出・活性化」という言葉があまりにも軽く思える。入札書・提案書の提出期限は、3月29日の12時。それほど時間はないが、せめて、推進委員会やワーキンググループの有識者の選定には慎重を期していただきたいと思う。

長妻大臣の指示1000件超 これからは情報のリークにも神経を尖らせる?

2010年03月17日 23時20分46秒 | その他
かねてから報道されていたことだが、長妻大臣からの指示がとうとう1000件を超えたとのこと。指示のなかには、大臣からとは思えないほどの細かいものや「箸の上げ下げまで...」とも受けとめられるようなものまであり、担当する役人らが困るものまであるという。しかし、逆にいえば、そのような細かいところまで指示しないと満足な仕事ができないということなのだろう。

細かすぎる? 長妻厚労相、指示1000件超
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20100317027.html

産経新聞の報道によると、「取材など報道の可能性を察知した場合には政務三役に報告すること」「記者に会った際には話した内容を報告」という指示もあるとのこと。この指示がいつのものかわからないが、先日の第4回高齢者医療制度改革会議では、その前日に共同通信社が「政府案」を決まったことかのごとく報道し、当日は(委員がそれぞれの立場や主張から意見をぶつけあう)議論らしい議論になっていなかった感もある。
意図的に情報を漏らして国民の反応をみたり、世論を「誘導」したりすることもあると思う。しかし、「政治主導」で進めたい政務三役が知らぬところで情報がリークされ、大事な場を白けさせるようなことは避けたいとの思いがあるのではないだろうか。

<長妻厚労相>年金事務所視察、改善要求を連発
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20100314ddm041010102000c.html

“ミスター年金”事務所視察で指示連発
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100313-567-OYT1T00702.html

大臣室には、国民から届いた声などが山積になっており、それぞれにどのように対応するかを指示した記録が付けられているとのこと。しかも、それらをきちんと管理しているので、半年間で1000件を超えたことや、期日までに達成できたか否かなどの進捗状況がわかるということなのだろう。
一国民としては、これからも大臣自らが情報を集め、考え、指示を出すことを続けていただきたいし、このブログで書いているようなことも情報源(国民から届いた声)の一つとして加えていただければと思う。

子ども手当法案が衆議院を通過 今月内に成立 6月に向けて追い込み開始

2010年03月16日 22時53分50秒 | 子ども手当・子育て
子ども手当法案が衆議院本会議を通過した。与党3党に加えて公明党と共産党が賛成、自民党とみんなの党などが反対。17日には、参議院本会議で審議入りする予定で、高校授業料の実質無償化法案とともに月内に成立する見通し。

子ども手当法案が衆院通過=公明、共産も賛成、月内成立へ
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100316X148.html

高校無償化法案が衆院通過=子ども手当法案も
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100316X141.html

子ども手当、満額時の財源不透明 参院であらためて争点に
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031601000916.html

また、昨日に取り上げたマイクロソフトの「事務処理支援システム」がダウンロードできるようになった。

プレスリリース
IT利活用による自治体の業務支援
自治体向けに「子ども手当」の事務作業支援ツールとしてExcelテンプレートを無償提供開始
~ 大規模なシステム改修や変更の費用をかけることが難しい自治体を対象にテンプレートを提供 ~
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3826

子ども手当給付に係る作業負担を軽減する自治体向けツール
子ども手当事務支援 Excel テンプレート
http://www.microsoft.com/japan/business/industry/gov/kodomo/default.mspx

プレスリリースの「対象」には、
・子ども手当の制度変更により大規模なシステム改修やシステム変更をかけることが難しい自治体
・子ども手当システムが平成22年6月支給開始に間に合わない自治体
・平成23年度前後に子ども手当システムを含む既存業務システム更改を予定されている自治体
・支給対象者が比較的に少ない人口1万人以下の自治体
と書かれているが、誰でも自由にダウンロードできる。
マイクロソフトのページに画面イメージが掲載されているので、それらをみれば、何ができそうかはだいたいわかる。「Excelテンプレート」の名称どおり、事務処理支援システムではなく、Excelのワークシートとマクロそのもので、窓口担当者1名・パソコン1台で何とか事務をまわそうという町村向け。実際に使う申請書などの様式に合わせて編集し、使ったほうが効率的になる業務にだけ使うようにすれば使えなくはないが、事務処理システムの代わりになるものではない。あくまで、6月支給開始に間に合わない・支給対象者が比較的に少ない町村向けの「緊急用のツール」である。対象に合わない市町村が過度に期待して必要な準備を怠ると大変な目にあうので、実際に使ってみてから採用の可否を判断したほうがよい。

マイクロソフトが子ども手当の事務処理支援システムを無償提供

2010年03月15日 23時24分18秒 | 子ども手当・子育て
マイクロソフトが人口1万人以下・職員100名以下の小規模自治体(町村)向けに、子ども手当の事務を支援するプログラムデータと運用マニュアルを無償提供することが明らかになった。
提供の開始は、明日の16日から。マイクロソフトのホームページからダウンロードできるようにする。

提供するプログラムデータは、マイクロソフトEXCELのワークシート。住民基本台帳データ(ファイル)を読み込み、対象者リストを作成したり、受取資格の有無や支払記録などを管理したり、国や都道府県への報告書作成などの事務に使うことができる。1万人以下の町村を対象としているので、子どもと世帯の数はパソコンと紙の台帳で処理できるレベル。しかも無償提供なので、外字の処理ができない、事務の一部しかできないといったことも許容されると思われる。

子ども手当事務を無料支援 マイクロソフト
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031501000641.html

人口1万人以下・職員100名以下の町村は、全国で約400。そのうち40以上の町村で採用されることを目指しているとのこと。1年間とはいえ、紙の台帳で事務処理をするのは大変。でも、情報システムを発注するだけの余裕はない(国からの補助金はあるが)という町村をターゲットにしたソリューションであり、パソコンとEXCELがあれば、自治体の事務処理支援システムが組めるというわけではないことに注意が必要である(今日のパソコンは、20年ほど前のホストコンピュータやミニコンよりもスペックが上だが)。

なお、2月25日に開催された「全国児童福祉主管課長」で配布された資料をみると、子ども手当の事務処理がかなり簡略化されていることがわかる。準備期間が短いこと、市町村の事務の負担を極力軽減しなければならないことを考えれば、児童手当の受給資格があるか否かを不問にしたことは評価できる。

全国児童福祉主管課長会議資料(平成22年2月25日開催)
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/vAdmPBigcategory60/3F5C1C57D7239EE0492576DD000A8D00?OpenDocument

【別冊】子ども手当について
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/f6910fb7bb416b38492576dd0009f98b/$FILE/20100305_1bessatsu1_all.pdf

上記の資料にて、検討中とのただし書きはあるものの、諸様式が公開されている。事務処理システムは、これらの諸様式の項目を管理できればよいので、それほど難しくないだろう。まだ子ども手当法案は成立していないが、ここまでくれば時間の問題。6月の支給開始に向けて、配布資料を読み込み、大急ぎで仕上げる必要があるだろう。

第4回高齢者医療制度改革会議 資料公開 保険者は都道府県か

2010年03月13日 10時13分37秒 | 高齢者医療・介護
8日に開催された第4回高齢者医療制度改革会議の資料が公開された。
以下のURLからご覧いただきたい。

第4回高齢者医療制度改革会議
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/s0308-10.html

17時20分から19時20分の3時間にわたる議論の様子はわからないが、基礎資料や参考資料などから厚生労働省が考える2013年度の姿がみえてくる。配布資料からの推測になるが、第5回目以降の揺り戻しがなければ、以下のようになるのではないだろうか。

新しい制度の骨格としては、市町村国保と高齢者医療を一体的に運営すること、財政基盤の安定化を図るために市町村国保を都道府県単位化すること、65歳の年齢到達により被用者保険の被保険者は市町村国保に加入すること、になるだろう。
これまでは4案が並列に扱われてきたが、「65歳以上は全員市町村国保に加入し、高齢者の医療給付費を公費・高齢者の保険料・若人の保険料で支える仕組みとした場合の財源構成(平成22年度予算案ベース)・宮武委員御依頼資料」に基づく議論が大きく報じられたり、「被用者保険の被保険者本人及び被扶養者の取扱いについて」の資料に「65歳以上の高齢者の医療制度と国保の一体的運用を図る場合、~」と書かれていたりすることを考えると、他の3案よりも宮武委員案が一歩先に出ている感がある。

そうすると気になるのは、市町村国保の都道府県単位化である。
都道府県が保険者になるのか、後期高齢者医療制度と同様に広域連合が保険者になるのかについての言及はない。しかし、「各委員の主な意見の概要」の「(3)運営主体のあり方」のまとめ方をみると、都道府県が一歩先に出ている感がある。例えば、「都道府県が担うべきとするご意見」には、都道府県はこれまで保険事務を担ってこなかったことに対して、「都道府県と市町村で人事交流をすればよい(安部委員)」、「広域連合は、市町村からの派遣職員で運営しており、人事異動は2年単位であることから、スキルの積み上げが困難(岡崎委員)」などとポジティブな意見が並ぶ。これらと比べて、「広域連合等が担うべきとするご意見」には、「現在の後期高齢者医療広域連合をベースに、運営主体を検討すべき(斉藤委員)」との1行はあるものの、ポジティブ・ネガティブともに取り上げられる意見が少ない(広域連合には、都道府県にはつかない「等」がついている)。

あくまで推測だが、「都道府県が運営主体となるのが理にかなっている(鎌田委員)」などの意見が並んでいることからも、都道府県が市町村国保を束ねる保険者となり、住民との接点を担うのは市町村。後期高齢者医療の広域連合は新制度への移行により解散となるのではないかと思えてくる。これだけ大きな保険制度の運営にはITシステムが欠かせないが、都道府県が住民の情報を管理するITシステムを運用するとはなかなか思えない。国保連合会に委託することになるのではないだろうか。

以上は、前政権下の「高齢者医療制度に関する検討会」でも議論されてきたこと。自民・民主の2つの政権下の検討資料を読み合わせてみれば、厚生労働省が思い描く姿はほとんど変わっていないとわかるだろう。

「高齢者医療制度に関する検討会」議論の整理について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/s0324-13.html

事業仕分け・第2弾 詳細が明らかに 「公益法人の事業仕分け+行政事業レビュー」

2010年03月12日 08時50分17秒 | 予算・事業仕分け
11日の行政刷新会議で、公益法人の事業仕分けと各省庁が2009年度予算の事業を検証する「行政事業レビュー」の実施が決まった。
スケジュールは、

・3月中
 省庁からヒアリング
・4月上旬
 公益法人からヒアリング、仕分け対象事業の現地視察
 仕分け対象事業の選定
・4月下旬
 事業仕分け(公益法人の事業仕分け)
・5月上旬
 2009年度予算の点検
・5月下旬
 事業仕分け(行政事業レビュー)
・6月~
 独立行政法人のあり方に関する提言など

となっている。

省庁からのヒアリングは9日から実施中。国会審議や会計検査院から問題があるとの指摘を受けた50の法人を公表済で、それらを含む290の法人の事業の内容や補助金を出している理由などを省庁の担当者からヒアリングしている。50の法人は、時事通信の記事をご覧いただきたい。日本森林技術協会(農水省)の他に、地方自治情報センター(総務省)などが入っている。

仕分け対象候補の50公益法人
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201003/2010030900370&rel=m&g=pol

これらの公益法人の事業仕分けで削減できる予算はそれほど大きくない。第2弾での対象となる法人への支出は、最大でも3兆円少々。補助金をカットすると立ち行かなくなる法人もあり、心情的にも大胆に切り込むことは難しい。予算削減よりも「天下りポスト」の廃止に向けた動きと捉えておいたほうが良さそうである。
国が所管する6625の法人のうち、官僚OBが理事を務めているのは、3305法人で8519人。事務次官クラスが天下っていると、省庁側が無駄な予算や事業だと考えていてもカットすることはできない。公益法人側もそれを見越して天下りを受け入れている(理事ポストを用意する)のだから、構造的なものといえる。公開の場で事業仕分けをすることで、この構造を崩していこうというものだが、役人にとっては不安が募るだけだろう(将来の天下り先が糾弾され、ポストが消えていくのだから、当然)。
事業仕分けの具体的な内容は、公益法人が行う事業の徹底的な見直し、類似事業の横断的な見直し、制度・規制などの見直しの3本柱。第1弾と同じように国会議員と民間の評価者によって公開の場で実施される。

「仕分け」第2弾来月から、自・公予算の検証も
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100311-567-OYT1T00909.html

5月には、行政事業レビューが行われる。これは、2009年度予算の執行状況を確認するもので、各省庁ごとに副大臣をトップとする「予算監視・効率化チーム」を立ち上げて予算の無駄遣いを徹底的にあぶりだすもの。「府省版の事業仕分け」であり、2011年度予算の概算要求に反映させる。予算要求にあたっての仕分けに加えて、予算執行後の評価=仕分けを実施することで、InputとOutput+Outcomeの一連の評価ができるようになる。これまでの「大きな予算をとるまでが仕事」で「とった予算を使い切り、来年度も同額を確保する」といった役人の行動様式をどこまで変えられるかに注目していきたい(中長期的な取り組みが必要か)。

行政事業レビューの実施決定 無駄削減アピールも
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010031101000886.html

09年度予算、各省で「仕分け」=概算要求に反映-刷新会議
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100311X308.html

行政事業レビューは、予算を使って実施したことや得られた効果などを公開の場でヒアリングする事業仕分けと同じスタイル。もし、実施したことが予算要求時の説明と違ったり、効果が上がっていないと判断されたら、その事業の継続を認めない=「廃止」となることもありうる。うまく説明すれば何とかなった事業仕分け・第1弾とは異なり、実施したことがベースになるだけに説明でカバーできる範囲は限られる。役人にとって、客観的な事実を突きつけられる事後評価=レビューのほうがきついだろう(工事が年度末に集中しているのはなぜですか?本当は不要だったんじゃないんですか?などと指摘しやすい)。