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社会保障・税に関わる番号制度に関する第3回検討会で住民票コードの利用の可能性が高まる

2010年03月31日 23時26分39秒 | 情報化・IT化
春休みの間に、社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会の第3回会合が開催されていた(3月15日)。
議事録は公開されていないが、総務省と内閣官房IT担当室へのヒアリングのため、技術的な議論が多かったものと思われる。社会保障と税の共通番号を国民に付与するのかといった本質的な議論が待たれる。

第3回会合・配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokkasenryaku/image/20100315_syakaihosyou_3_haihu.pdf

総務省の資料から、いままで見落としていたことに気づいた。第2回会合の後に、このブログで外国人をどうするのかと書いたが、訂正しなければならない。
具体的には、昨年の7月に成立していた「住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成二十一年七月十五日法律第七十七号)」と「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」である(この頃は麻生政権の行く末が気になって、成立した法案を一つひとつチェックしている余裕はなかった)。

外国人住民に係る住民基本台帳制度について
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/zairyu.html

これらの法律は、従来の外国人登録の制度を見直して、外国人住民も住民基本台帳に登録しようというもの。2009年7月15日に公布されており、2012年7月までに施行されることになる。施行後は、日本に居住する外国人に空港などで在留カードが公布されるようになり、そのカードをもって居住する市町村に住民登録することになる。転入・転出などの手続きは、日本人と同様となるため、現行制度のようにいつの間にかどこかに行ってしまったということはなくなる。

住民票コードは、日本人に加えて日本に居住する外国人にも付与されることになり、2013年度には納税者番号として使うことができるようになると考えられる。内閣府IT担当室の資料にあるように、住民票コードから生成される一意の番号を「本人と関係行政機関以外の第三者も容易に知りうるような性格の番号」である納税者番号として使い、住民票コードを医療保険者・介護保険者・年金保険者などが名寄せなどの目的で使う「本人と関係行政機関のみが知りうるような性格の番号」として使えるということである。

巨大なネットワークシステムの構築が必要になるが、技術的な課題は、それほど苦もなく解決できるだろう(セキュリティを担当する技術者は別の見方をするだろうが)。
最大の課題は、これらの番号の必要性を国民が納得できるように説明することである。内閣府IT担当室の資料にあるような「引越しポータル」では納得できない(年中引っ越している人でもないかぎり、利便性を享受できない)。国民から社会保障制度への信頼を取り戻すために必要な「国として備えておくべき社会基盤=インフラ」だと説明しないと迫力はでないし、納税者番号を導入する目的においても民主党が掲げる様々な政策を実現するために必要になるものだと説明すべきだろう。

個人的な意見だが、社会保障番号は、国民にとって意識することのない番号になるだろう。この番号を使うのは行政機関であり、たとえば、子ども手当の支給額を一律にするのではなく世帯の所得に比例させたり、真に困っている人たちの給付に使ったり、医療と介護の自己負担額を世帯で合算できるようにする(所得に比例させた限度額を上回る分を償還する)といった説明をする。医療や介護、年金の番号は現行どおりとすれば、国民にとって「プライバシーの侵害」や「国による管理(国民総背番号制)」といった見え方にはならないのではないだろうか。