制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

事業仕分け初日 レセプトオンライン導入の補助費を「見送り」

2009年11月12日 09時34分52秒 | 予算・事業仕分け
事業仕分けの初日がようやく終わった。10事業が「廃止」で、合計501億5800万円の削減。「見送り」が215億1800万円。「見直し」の削減額がどれほどになるか不明だが、目標の3兆円までまだまだ足りない(初めての試みとしては、順調な滑り出しか)。
ネット中継は、構築ベンダーの準備もあり、つながりにくく、途切れがちな時間帯はあったものの、問題なく聞き取ることができた。
全国に公開されていることから、「仕分け人」から厳しい質問が相次ぎ、密室でなされてきたこれまでとは違うということを国民にアピールできたと思う。この調子で、徹底的に事業の「無駄」を追及していっていただきたい。

注目の「レセプトオンライン導入のための機器の整備などの補助」は、「来年度の予算計上見送り」が決まった(見送り:7人、廃止:5人、民間委託:1人)。レセコン導入費などの2分の1を補助する事業だが、昨日も書いたように「所得が高い開業医を補助する必要はない」というのが国民的な感覚だろう。この結果を受けて、この事業=215億1800万円は、見送られることになるが、だからといって、レセプトオンライン化の原則化を後退させるようなことがあってはならない。
開業医よりもずっと所得が低く経営が厳しい福祉・介護の事業者ですら、しっかりIT投資をしている。経営努力もしている。補助金がないからIT投資ができないなどと、これまでどおりに紙のレセプトを出し続けようとする医師を「容認」するようでは、医療のIT化はさらに遅れ、ますます時代に取り残されてしまう。IT化・効率化が後退しないように、厳しくチェックしていきたい。

次に、「後発品のある先発品などの薬価の見直し」は、「見直し」が決まった(全員一致)。具体的な見直し方にまでは踏み込んでいないが、ジェネリック医薬品がある薬(長期収載品)は、後発薬に合わせて薬価を引き下げる方向で検討が進められるようである。また、市販品類似薬を保険適用外とすることは決まったが、その場では、具体的なところまでは踏み込めなかった。診療報酬改定の議論に場を移し、この方針を受けて、専門家がきちんと議論すること、目の届かぬところで「骨抜き」にされないように、厳しくチェックしていく必要がある。

同じく、「国保連・支払基金の統合」も「見直し」が決まった。2つの組織を1つにするだけでは何ら変わりはないが、ITシステムを一本化したり、国保中央会から47都道府県の国保連合会に補助金をばらまくルートを断ち切るだけでも大幅な見直しが期待できる。レセプトのオンライン化を推進し、審査支払もITシステムを全面的に駆使したものに変えていく必要があるだろう。技術的には問題なくできるので、後は、支払基金や国保連合会の業務を規定している法律などを見直すだけでよい。さらに余剰人員を吐き出すことができれば、手数料を大幅に引き下げることもできるし、遅れている医療のIT化を(少なくとも他の分野の程度まで)推進することで、多くの無駄を省くことができるだろう。見直し=補助金を減額することで、国保連・支払基金が自ら変わる(変わらないと生き残れない)ような環境に変えていく必要があるだろう。

仕分け結果の詳細は、以下のURLを参照していただきたい。

仕分け結果の詳細(11月11日分)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111101000954.html

また、当日の配布資料は、既に以下のURLで公開されている。「電子政府」もこれぐらいの迅速さがあれば、国民から支持されるものになったのでは... と思う。

行政刷新会議ワーキンググループ・資料集
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/shiryo.html
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/nov11.html

2日目は、午後の「社会保障カード」に着目したい。