参議院の代表質問が始まり、政権の交代によって止まっていた議論がようやく動き始めた。
30日には、公明党からの代表質問に対して、「全国民が(月額)7万円以上支給されるよう最低保障年金を創設し、財源に消費税を充てることを民主党として約束している」、「今後4年間で公平、透明で新しい時代に合った年金制度の創設に励む」と答弁。その後の長妻大臣の記者会見で、「政権の一番最後の年、4年後の通常国会に提出する」との表明がなされた。
長妻厚労相、新年金制度法案「13年の通常国会に」
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20091030-567-OYT1T01111.html
このブログでも書いてきた、ベーシックインカムが(限定的だが)現実になりそうである。
国民年金を組み替えて実現することになるが、不足分は、消費税を目的税化して充てることになる。例えば、税率が10%になれば、年金制度を支える世代の負担が増すことになる。その分は、社会保険料や所得税を引き下げることで、ある程度は相殺できるかもしれないが、所得が少なく、それらを納めていない場合には、消費税率の引き上げが生活を直撃する。最低保障年金を創設するために所得税を引き上げるなら、最低保障年金の額=月額7万円以下で生活している人たちのことも考えなければならない。「老後の安心」に限らず、全国民の「最低生活」を何らかのかたちで保障するために広く負担を求めるとすれば、社会保障制度のあり方が次の選挙の大きな争点の一つになる。
最低保障年金は、3階建ての年金制度の土台の部分を置き換えて、その財源を消費税に求めるとなると制度を根底から覆す=つくり直すことになる。年金保険料は、2階より上のみとなり、国民に加入を強制する社会保険制度でなくても構わないのではないか、とも考えられる。
問題は、これまで真面目に国民年金保険料を納めてきた人たち、これまで「保険料など払わない」とその分を貯金にまわして、未加入・未納を続けてきた人たち、生活保護覚悟で浪費してきた人たちの全てが、年金制度の「リセット」に伴い、支給額が同じ7万円になってしまう不公平さをどう説明するか、である。
どうしても心情的に割り切れなさが残るため、これまでの納付額に比例した額を最低保障年金に上乗せして給付するなど、制度を「接木」して「獲得した権利」を保障することになるだろう。これまでパッチワーク的に制度に手を入れ、かなり複雑化しているので、これだけの「大手術」ができるかどうか。新年金制度の設計は大変そうである。
しかも、4年後も民主党政権とは限らない。政権が交代する度に制度に手を入れていたら、訳がわからなくなる。年金は、国民の生活設計に直結する制度なので、政権がどのように交代しても根幹は揺るがないようにして欲しい。
また、最低保障年金が創設されると、民間保険会社にも影響が及ぶ。国が最低限の生活を保障してくれるのだから、いざというときのために保険に加入するぐらいなら、貯金しておこうとか、運用して増やそうと考えるだろう。最低保障額では足りない人たちには、既に厚生年金が上乗せされているので、民間の保険に加入しなくてもよいと考えるかもしれない。
そのため、「老後の生活資金」を一時金で渡すような商品の魅力は半減することになるだろう。医療保険(保障)は、公的保険でカバーされない入院費や収入減をターゲットにした商品として成り立っている。生命保険会社がどのような手を打ってくるか。楽しみである(そもそも、生保各社は、最低保障年金をどのように受けとめているのだろうか)。
30日には、公明党からの代表質問に対して、「全国民が(月額)7万円以上支給されるよう最低保障年金を創設し、財源に消費税を充てることを民主党として約束している」、「今後4年間で公平、透明で新しい時代に合った年金制度の創設に励む」と答弁。その後の長妻大臣の記者会見で、「政権の一番最後の年、4年後の通常国会に提出する」との表明がなされた。
長妻厚労相、新年金制度法案「13年の通常国会に」
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20091030-567-OYT1T01111.html
このブログでも書いてきた、ベーシックインカムが(限定的だが)現実になりそうである。
国民年金を組み替えて実現することになるが、不足分は、消費税を目的税化して充てることになる。例えば、税率が10%になれば、年金制度を支える世代の負担が増すことになる。その分は、社会保険料や所得税を引き下げることで、ある程度は相殺できるかもしれないが、所得が少なく、それらを納めていない場合には、消費税率の引き上げが生活を直撃する。最低保障年金を創設するために所得税を引き上げるなら、最低保障年金の額=月額7万円以下で生活している人たちのことも考えなければならない。「老後の安心」に限らず、全国民の「最低生活」を何らかのかたちで保障するために広く負担を求めるとすれば、社会保障制度のあり方が次の選挙の大きな争点の一つになる。
最低保障年金は、3階建ての年金制度の土台の部分を置き換えて、その財源を消費税に求めるとなると制度を根底から覆す=つくり直すことになる。年金保険料は、2階より上のみとなり、国民に加入を強制する社会保険制度でなくても構わないのではないか、とも考えられる。
問題は、これまで真面目に国民年金保険料を納めてきた人たち、これまで「保険料など払わない」とその分を貯金にまわして、未加入・未納を続けてきた人たち、生活保護覚悟で浪費してきた人たちの全てが、年金制度の「リセット」に伴い、支給額が同じ7万円になってしまう不公平さをどう説明するか、である。
どうしても心情的に割り切れなさが残るため、これまでの納付額に比例した額を最低保障年金に上乗せして給付するなど、制度を「接木」して「獲得した権利」を保障することになるだろう。これまでパッチワーク的に制度に手を入れ、かなり複雑化しているので、これだけの「大手術」ができるかどうか。新年金制度の設計は大変そうである。
しかも、4年後も民主党政権とは限らない。政権が交代する度に制度に手を入れていたら、訳がわからなくなる。年金は、国民の生活設計に直結する制度なので、政権がどのように交代しても根幹は揺るがないようにして欲しい。
また、最低保障年金が創設されると、民間保険会社にも影響が及ぶ。国が最低限の生活を保障してくれるのだから、いざというときのために保険に加入するぐらいなら、貯金しておこうとか、運用して増やそうと考えるだろう。最低保障額では足りない人たちには、既に厚生年金が上乗せされているので、民間の保険に加入しなくてもよいと考えるかもしれない。
そのため、「老後の生活資金」を一時金で渡すような商品の魅力は半減することになるだろう。医療保険(保障)は、公的保険でカバーされない入院費や収入減をターゲットにした商品として成り立っている。生命保険会社がどのような手を打ってくるか。楽しみである(そもそも、生保各社は、最低保障年金をどのように受けとめているのだろうか)。