制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

支払基金、厚生労働省の省内事業仕分けの対象に

2010年04月07日 22時32分24秒 | 予算・事業仕分け
支払基金を取り巻く状況が厳しさを増している。
7日の報道発表で、厚生労働省が独自に行う事業仕分けの第1回の対象として、独立行政法人の「雇用・能力開発機構」と特別民間法人の「社会保険診療報酬支払基金」の2法人が発表された。いきなり「廃止」といった派手なパフォーマンスはないと思うが、仕分け人は、学識経験者・企業経営者・首長・一般市民ら25人なので、これまでのような「暗黙の了解」は通じないだろう。

厚労省、独自の省内事業仕分け…刷新会議に先行
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100407-567-OYT1T01097.html

厚生労働省省内事業仕分け(第1回)の実施について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000005kvm.html

事業仕分けの実施は4月12日(月)だが、それまでに大きな山を迎える。
明日の8日(木)には、厚生労働省で「審査支払機関の在り方に関する検討会」の第1回会合が開催される。昨年の事業仕分けでは、支払基金と国保連合会の統合やレセプト審査の適正化を行うなどの「見直しを行う」とされたことから、被用者保険の審査支払を行っている支払基金と国民健康保険の審査支払を行っている国保連合会で共通して持っている機能をどちらかに片寄せしたり、組織ごと統合したりといった方向に議論が進む可能性は否定できない。
支払基金を取り巻く環境がこれだけ厳しさを増しているということは、片寄せの先は国保連合会ではないかとも思われる(厚生労働省は「廃止」や「統合」に向けての既成事実の積み上げを図っている?)。

レセプト請求の審査の効率化も協議―厚労省が検討会
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-27049.html

検討会は4月中に2回開催の予定。省内事業仕分けを加えた3つの山を越えた先には、さらに注目を集める事業仕分け・第2弾が待っている。このブログでも取り上げているように、事業仕分けの後半戦(5月2日頃からの4日間)は公益法人・特別民間法人で、支払基金は特別民間法人の例として出されるほどの扱いとなっている。GW期間中に「民主党政権の成果」をアピールするネタ(シンボリックな存在)として扱われたりすると、この流れが加速するかもしれない。

7日には、事業仕分け・第2弾で対象となる独立行政法人の候補が明らかになった。11府省所管の54法人で事業数は100以上(厚生労働省が所管する法人は、福祉医療機構や高齢・障害者雇用支援機構など8つ)。官僚OBの天下り状況や事業執行の効率性、公益法人などに業務委託する「中抜き」構造の有無、民間への事業移管の可否など、このブログでも取り上げてきた観点から選定したもので、事業仕分けでは、各法人が実施している事業の内容を精査して廃止や見直し・民間への移管などの判定を下すことになる。

50法人超が対象=国民生活センターや住宅金融機構-事業仕分け第2弾
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100407X321.html

仕分け対象候補の独立行政法人
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201004/2010040700827&rel=m&g=pol

事業仕分け・第2弾 日程などが明らかに

2010年04月05日 09時09分34秒 | 予算・事業仕分け
事業仕分け・第2弾に向けての準備が整いつつある。
既に行政刷新会議が公費からの収入が多い公益法人を対象としたヒアリングを3月9日から実施(331法人)。独立行政法人は98の全てのヒアリングを実施している。
現時点でヒアリングを実施できていない公益法人は、872(絞り込み後の法人数)。これを民主党の「一年生議員」の95人(衆議院89人、参議院6人)が省庁ごとの10のグループに分かれて事前調査する。調査レポートを12日の地域主権・規制改革研究会(民主党)に報告、仕分け対象となる公益法人を絞り込む。最終的な選定は20日頃になる予定。

「仕分け調査員」に新人95人=民主
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100402X593.html

事業仕分け第2弾、23日から 新人95議員が事前調査
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2010040204840.html

一年生議員にとっては、実績のアピールになる。例えば、GW期間中に地元に帰って、「事業仕分けに関わった。実際に公益法人をみて改革を進めなければならないと感じた」などと演説できれば、支持率の回復や票の獲得につながると考えるだろう。1週間しかないが、これまでアピールする場が限られていた議員にとっては、またとないチャンス。全力で取り組むものと思われる。

枝野氏が「仕分け調査人」にエール
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20100403049.html

事業仕分けは、以下のスケジュールで実施される。

前半戦
 4月23日・26~28日の4日間
 独立行政法人

後半戦
 5月2日頃から4日間
 公益法人・特別民間法人

仕分け前半戦は独法 20日にも対象選定
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010040301000400.html

行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」、初会合が開催される

2010年03月30日 23時51分13秒 | 予算・事業仕分け
29日に、政府の行政刷新会議の下に設置された「規制・制度改革に関する分科会」の初会合が開催された。
枝野大臣は、「これまでの規制改革は、厚い壁に阻まれて緩和されていないところと、逆に緩和だけが進んで弊害が生じた両面があった」と指摘し、「消費者であるとか、患者さんであるとか利用者の観点で規制を見直していただきたい」と求めた。

規制改革分科会が初会合=鳩山政権で論議スタート
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100329X578.html

「消費者、患者の観点で規制見直しを」-行政刷新会議分科会が初会合
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-26981.html

規制の見直しには相当な抵抗が予想される。例えば、「混合診療の解禁」や「レセプト病名統一」などは、話題になるたびに大きな反発を招いてきた(いささか感情的で、これらを許せば「医療崩壊」につながるなどの脅しを加えて)。いくら枝野大臣が頑張って旗を振ったからといって、簡単に実現できるとは思えない。ゆえに、大塚分科会長が「委員でまとまらない場合は、関係者を集め、公開の場で『規制仕分け』をする」と述べるなど、「国民」を味方につけるしかない。この分科会においても「国民の声」を受け付けての開催だけに、ホームページに資料がアップされている。

規制・制度改革に関する分科会(第1回)議事次第
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/0329/agenda.html

今後の予定は、

4月
 ・3つのWGの立ち上げ、各WGでの関係者ヒアリングと論点整理など
5月
 ・各WGでの方向性の確認、各省での調整、分科会への報告
6月
 ・行政刷新会議への報告

となっている。
検討テーマは、規制改革会議の提言、「国民の声」の集中受付期間に寄せられた規制改革提案、新成長戦略関連重要検討テーマとしての提案のなかから抽出済で、WGは、ライフ・イノベーション、グリーン・イノベーション、農業の3つとなっている。
なお、ライフ・イノベーションの検討テーマは、

・保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の原則解禁
・一般用医薬品のインターネット等販売規制の緩和
・医行為の範囲の明確化(診療看護師資格の新設)
・医行為の範囲の明確化(介護職による痰の吸引、胃ろう処置の解禁)
・再生医療の推進(適用法令、臨床研究の在り方、PMDA審査体制)
・レセプト等医療データの利活用促進(傷病名統一、診療年月日記載など様式改善等)
・ICTの活用促進(遠隔医療、特定健診保健指導)
・医療ツーリズムに係る査証発給要件等の緩和(医療ビザ、外国人医師の国内診療)
・特別養護老人ホーム等への民間参入拡大(運営主体規制の見直し)
・介護施設の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃
・訪問看護ステーションの開業要件の緩和(一人開業の解禁)
・各種介護サービス類型における人員・設備に関する基準の緩和(サービス提供責任者の配置基準、ユニット型施設の入所定員比率目標等)
・高齢者用パーソナルモビリティの公道での使用
・EPAに基づく看護師、介護士候補への配慮(受験回数、試験問題の英語表記or漢字へのルビ等)

となっている。
このブログでも取り上げている項目がいくつか入っているし、ここ数日の間に動きが出てきている。
例えば、

介護福祉士の在留資格検討=歯科医師らの就労制限撤廃-出入国計画
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100330X765.html

<EPA>来日研修生、看護師に 254人中3人…超難関、日本語が壁
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20100327ddm041040144000c.html

で報じられているように、難しい漢字にルビを振ったり簡単な言葉に言い換えたりする、日本語の支援を充実させる、日本の大学を卒業して国家試験に合格した留学生には国籍にかかわらず介護福祉士として活動を認める、といった検討が進められている。

事業仕分け・第2弾の公益法人選定、最終フェーズに

2010年03月19日 21時16分41秒 | 予算・事業仕分け
4月下旬に実施予定の事業仕分け・第2弾の公益法人の選定が進められている。
9日から実施していた公益法人に関する省庁ヒアリングは18日には終わり、19日から独立行政法人に関するヒアリングが始まる。公益法人の数は331。独立行政法人の数は98。それらから100程度に絞り込む予定。

<事業仕分け>公益法人に関する省庁ヒアリング終了 第2弾
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100318-00000096-mai-pol

リストとして発表された50の法人では、常任役員186人のうち、天下りが128人で約7割。総務省・経済産業省の両省が所管する日本情報処理開発協会では天下りの常勤役人が5人で、年報は1380万円から1800万円(役員報酬規定)などと報じられていることからは、事業仕分けの場で、公益法人への天下りと高額な役員報酬を追及していくものと思われる。

「仕分け」候補の公益法人、常勤役員7割が天下り
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100313-567-OYT1T00057.html

天下り在籍法人、高額報酬は5倍 事業仕分けでも追及へ
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010031901000577.html


枝野大臣は、閣議後の記者会見で、公益法人・独立行政法人に加えて、特別民間法人を仕分けの対象に加えることを発表した。特別民間法人は、日本消防検定協会や自動車安全運転センター、社会保険診療報酬支払基金など38。特別民間法人は、公的な業務にあたるために法律に基づいてされている法人で、公的な権限が与えられていたり補助金が支出されていたりする。

仕分け、特別民間法人も対象=枝野担当相
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100319X869.html

特別民間法人も仕分け対象に…刷新相
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100319-567-OYT1T00977.html

事業仕分けで「廃止」になったはずの事業が「看板」を付け替えて公募中

2010年03月18日 22時23分57秒 | 予算・事業仕分け
昨日、事業仕分けで「廃止」となった地域見守り支援システム実証事業を引き継ぐような調査研究事業「平成22年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業(地域見守り創出調査研究事業)」のコメントを頂いた。

地域見守り支援システム実証事業
http://www.nss-med.co.jp/mimamori/index.html

地域見守り支援システム実証事業は、3ヵ年計画の1年目で取りやめとなった。事業を推進するための基礎固めが終わってこれからというときに資金のパイプを締められたのだから、それまでに投じた資金などが無駄になる。そう考えれば、看板をつけかえて継続させるほうがよいとも思える。しかしながら、事業仕分けで、経済産業省が推進する理由がわからないと「廃止」の判断が出されているのだから、継続するなら国民に対して、きちんと説明する必要がある。経済産業省として成果を出すところまで継続させると判断したのだから、大臣自ら、記者会見の場などで正々堂々と取り組む意義を説明してはどうだろうか(コメントで頂いたように、説明できないのなら、自民党が「民主党の事業仕分けは、人気取りのパフォーマンスだったのではないか。枝野大臣が第2弾だといっても国民はもう騙されない」と追及すべき)。

平成22年度医療・介護等関連分野における規制改革・産業創出調査研究事業
(地域見守り創出調査研究事業)
http://www.meti.go.jp/information_2/data/20100308094447.htm

そもそも、経済産業省が「地域見守りの仕組み」というものをわかっているとは、とうてい思えない。

地域社会において求められる「見守り」は、実に多様である。

例えば、障害者の自立生活を支えるための「見守り」は、一般の人たちの感覚では「サービス」にはみえないかもしれない。ずっと施設に入所していた障害者が、生まれて初めて施設を出て、アパートを借りて一人暮らし始めるといったときに必要な「見守り」とはどのようなものだろうか。見守りサービスを提供する支援者は、障害者とともに暮らしつつ、ずっと見守っている。ただ、それだけである(これはサービスの一つの例・あり方なので、誤解のないようにしていただきたい)。見守りサービスの利用者が困っているようにみえるからといって、支援者の判断で手を出すようなことはしない。支援者がそのように振舞ってしまうと、それは「見守り」ではなく、利用者がトラブルを起こさないための「監視」となってしまう。意思決定の主体はあくまで利用者であって、支援者ではない。ずっとそばにいることが安心感につながり、地域における自立した暮らしに向けた第一歩を踏み出すことができる。このような見守りサービスには、効率的・効果的という表現は馴染まない。

その一方で、効果的・効率的という表現を突き詰めていくべき領域もある。例えば、地域中核病院から退院して地域のリハビリ施設に移る、自宅に戻るといったときに、それぞれが管理している情報が引き継がれるようにする、在宅療養生活を支えるために医療・看護職と介護職、地域のボランティアなどが連携するといった場合である。多様な主体による多様なサービスを利用できる、それぞれが縦糸と横糸のように組み合わされて常に見守られているという安心感を与えるためには、システマチックなアプローチも必要となる。

これらは極端な例かもしれないが、「地域見守りの仕組み」のあり方は一つでないし、規制改革を考える前に取り組まなければならないことは山のようにあるはず。事業内容(仕様書)の「地域見守りの仕組み」と「産業の創出・活性化」という言葉があまりにも軽く思える。入札書・提案書の提出期限は、3月29日の12時。それほど時間はないが、せめて、推進委員会やワーキンググループの有識者の選定には慎重を期していただきたいと思う。

事業仕分け・第2弾 詳細が明らかに 「公益法人の事業仕分け+行政事業レビュー」

2010年03月12日 08時50分17秒 | 予算・事業仕分け
11日の行政刷新会議で、公益法人の事業仕分けと各省庁が2009年度予算の事業を検証する「行政事業レビュー」の実施が決まった。
スケジュールは、

・3月中
 省庁からヒアリング
・4月上旬
 公益法人からヒアリング、仕分け対象事業の現地視察
 仕分け対象事業の選定
・4月下旬
 事業仕分け(公益法人の事業仕分け)
・5月上旬
 2009年度予算の点検
・5月下旬
 事業仕分け(行政事業レビュー)
・6月~
 独立行政法人のあり方に関する提言など

となっている。

省庁からのヒアリングは9日から実施中。国会審議や会計検査院から問題があるとの指摘を受けた50の法人を公表済で、それらを含む290の法人の事業の内容や補助金を出している理由などを省庁の担当者からヒアリングしている。50の法人は、時事通信の記事をご覧いただきたい。日本森林技術協会(農水省)の他に、地方自治情報センター(総務省)などが入っている。

仕分け対象候補の50公益法人
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201003/2010030900370&rel=m&g=pol

これらの公益法人の事業仕分けで削減できる予算はそれほど大きくない。第2弾での対象となる法人への支出は、最大でも3兆円少々。補助金をカットすると立ち行かなくなる法人もあり、心情的にも大胆に切り込むことは難しい。予算削減よりも「天下りポスト」の廃止に向けた動きと捉えておいたほうが良さそうである。
国が所管する6625の法人のうち、官僚OBが理事を務めているのは、3305法人で8519人。事務次官クラスが天下っていると、省庁側が無駄な予算や事業だと考えていてもカットすることはできない。公益法人側もそれを見越して天下りを受け入れている(理事ポストを用意する)のだから、構造的なものといえる。公開の場で事業仕分けをすることで、この構造を崩していこうというものだが、役人にとっては不安が募るだけだろう(将来の天下り先が糾弾され、ポストが消えていくのだから、当然)。
事業仕分けの具体的な内容は、公益法人が行う事業の徹底的な見直し、類似事業の横断的な見直し、制度・規制などの見直しの3本柱。第1弾と同じように国会議員と民間の評価者によって公開の場で実施される。

「仕分け」第2弾来月から、自・公予算の検証も
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100311-567-OYT1T00909.html

5月には、行政事業レビューが行われる。これは、2009年度予算の執行状況を確認するもので、各省庁ごとに副大臣をトップとする「予算監視・効率化チーム」を立ち上げて予算の無駄遣いを徹底的にあぶりだすもの。「府省版の事業仕分け」であり、2011年度予算の概算要求に反映させる。予算要求にあたっての仕分けに加えて、予算執行後の評価=仕分けを実施することで、InputとOutput+Outcomeの一連の評価ができるようになる。これまでの「大きな予算をとるまでが仕事」で「とった予算を使い切り、来年度も同額を確保する」といった役人の行動様式をどこまで変えられるかに注目していきたい(中長期的な取り組みが必要か)。

行政事業レビューの実施決定 無駄削減アピールも
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010031101000886.html

09年度予算、各省で「仕分け」=概算要求に反映-刷新会議
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100311X308.html

行政事業レビューは、予算を使って実施したことや得られた効果などを公開の場でヒアリングする事業仕分けと同じスタイル。もし、実施したことが予算要求時の説明と違ったり、効果が上がっていないと判断されたら、その事業の継続を認めない=「廃止」となることもありうる。うまく説明すれば何とかなった事業仕分け・第1弾とは異なり、実施したことがベースになるだけに説明でカバーできる範囲は限られる。役人にとって、客観的な事実を突きつけられる事後評価=レビューのほうがきついだろう(工事が年度末に集中しているのはなぜですか?本当は不要だったんじゃないんですか?などと指摘しやすい)。

事業仕分け・第2弾 7基準に該当する公益法人数が明らかに

2010年03月03日 09時27分15秒 | 予算・事業仕分け
枝野大臣が記者会見で、先日明らかにした事業仕分けの対象とする7つの基準に該当する法人数を明らかにした。

・2007年度時点で国または独立行政法人から1000万円以上の公費支出を受けたこと
 → 1306
・法令で国から権限を付与されていること
 → 598
・収入に占める公費からの支出が5割以上あること
 → 365
・天下り(官僚OB)を受け入れていること
 → 2353
・財産が10億円を超えていること
 → 1448
・地方自治体から支出を受けていること
 → 825
・国からの公費支出を受けた法人のうち、その事業をさらに外部に委託していること
 → 24

調査対象の公益法人数は、6625。
7つの基準のすべてに該当する法人数は0だったが、6つに該当する法人数は6、5つに該当する法人数は52となっている。なお、いずれかに該当する法人数は3852と半数を超えている。
なお、事業仕分け・第2弾に向けて、複数の基準に該当する法人300~400に絞り込み、所管省庁へのヒアリング(事業の内容や天下りの必要性などを中心に)を実施。その結果を踏まえ、仕分け対象とする法人を絞り込むことも合わせて明らかになった。
枝野大臣が天下り(官僚OB)を受け入れている公益法人が2353(35%)に関して「率が高すぎる。どの程度少なくできるのかが問われる」と述べるなど、所管する省庁からの不透明な補助金の流れ(随意契約など)が事業仕分けの中心になるものと思われる。

週内にもヒアリング開始=300~400の公益法人-行政刷新相
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100302X449.html

公益法人300超をヒアリングへ 事業仕分け第2弾
http://www.asahi.com/politics/update/0302/TKY201003020178.html?ref=goo


先月末には、事業仕分けの実施後に、独立行政法人の廃止を含む抜本的な改革案をまとめる意向が示されている。
28日のさいたま市での講演会にて、「収入の9割が国からの仕事で成り立っている公益法人がいくつかある」と指摘し、「収入の半分以上が税金という公益法人はそもそも認めないルールを作ってもいいのではないか」と、認定基準を見直す考えを明らかにしている。
事業仕分け・第2弾では、無駄な事業の廃止やいわゆる「埋蔵金」の国庫返納などのわかりやすい成果はあまり期待できない(何百億も出てくるものではない)。その分、24776もある(2007年度。内訳は、国所管:6720、都道府県所管:18056)とされる公益法人を整理・統合する、廃止するといった「演出」が必要になるだろう。

6月に独法廃止提言も 事業仕分け第2弾
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010030102000079.html

事業仕分けの次は「規制仕分け」 公開の場で規制のあり方を議論

2010年02月28日 10時01分09秒 | 予算・事業仕分け
3月上旬にも、行政刷新会議の下に「規制・制度改革分科会」が設置され、環境・医療・農業などの規制改革の議論を本格的にスタート、6月までに一定の結論を出すことが明らかになった。
内閣府の規制改革会議の設置は、平成22年(2010年)3月31日までとなっていることから、この組織の後継と位置づけられる。

内閣府本府組織令(抄)
附則(規制改革会議の設置期間の特例)
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/about/rules/organization.html

時事通信によると、規制の改革への省庁や業界団体の抵抗が強ければ、「事業仕分け」と同じように、公開の場で規制のあり方を議論し、見直しを求める「規制仕分け」を実施することも検討しているとのこと。

「規制仕分け」も検討=行政刷新分科会、来月スタート
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100227X045.html


このブログに関係する分野は、「医療」だろう。これまでも混合診療のあり方について議論されてきたが、日本医師会と一体となった厚生労働省にことごとく潰されてきた。その他の分野においても同様である。例えば、厚生労働省がモデル事業を実施しようとしている「特定看護師」に関しても、日本医師会は「日医のすべてを懸けて反対ということを申し上げてまいりたい」と、断固として創設を阻止する考えを表明している。

「日医のすべてを懸けて反対」―「特定看護師」創設に羽生田常任理事
https://www.cabrain.net/news/regist.do;jsessionid=2ACB16B01ACB865A62547AA64AD39119

このブログでも取り上げたが、日本医師会は、医師法第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない」を根拠とする規制に関しては、いかに社会的に必要とされているとしても、絶対に譲らないと思われる(どう出てくるか、とてもわかりやすいともいえる)。例えば、救急車で急病人を運んでいる間にできる医学的な処置は限定されている。なぜなら、救急車には医師が乗っておらず、いかに緊急を要していたとしても医師でない者が医学的な措置をしてはならないからである。人命を左右しかねないこのような規制は数多くある。医療分野における究極の「規制仕分け」は、医師法第17条の見直しだろう。

医師にとって、自らが独占している領域が崩れることは絶対に避けなければならないことである。国民の前に出して「規制仕分け」しなければ、厚生労働省と日本医師会(省庁と業界団体)の抵抗を崩すことはできないだろう。ぜひとも実現してほしい。

事業仕分け・第2弾、仕分け対象の7基準が明らかに

2010年02月27日 09時58分31秒 | 予算・事業仕分け
枝野大臣が26日の記者会見で、4月にも始める予定の「事業仕分け・第2弾」で対象となる公益法人の「絞り込み基準」を明らかにした。公益法人の実態は良くわからないが、2008年12月の時点で6625もあるとのこと。このすべてを仕分けようとすると、大変な時間と労力が必要になるため、以下の7つの基準であらかじめ絞り込む。
7つの基準は、

・2007年度時点で国または独立行政法人から1000万円以上の公費支出を受けたこと
・法令で国から権限を付与されていること
・収入に占める公費からの支出が5割以上あること
・天下り(官僚OB)を受け入れていること
・財産が10億円を超えていること
・地方自治体から支出を受けていること
・国からの公費支出を受けた法人のうち、その事業をさらに外部に委託していること

で、これらのいずれかに該当する公益法人は数千にのぼるとの見通しが明らかにされた。絞り込み作業のステップは、(1)7基準による機械的な抽出、(2)事業内容の調査、(3)事業仕分け対象の選定となり、4月までにここまで終えるとのこと。事業仕分けの場では公費の支出の是非を議論する。
会計検査院によると、公費支出を受けた公益法人は、1848。総額は8263億円。
昨年の事業仕分けで指摘が相次いだ「丸投げ」や「中抜き」の排除、溜め込まれた公費の返還を目的とする。

政府系公益法人の「仕分け」公費支出額など基準
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100226-567-OYT1T00410.html

枝野氏、公益法人仕分けに7基準 天下りの有無など
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/politics/CO2010022601000377.html

仕分け対象で7基準=天下り受け入れなど-公益法人
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100226X844.html

また、この作業に並行して、内閣府のホームページにある「ハトミミ.com」で、職員や国民から問題や見直し策などの意見を募集する(3月23日まで)。

仕分け第2弾へ意見募集
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-100223X112.html


ハトミミ.com
独立行政法人及び政府関連公益法人の事業仕分けのための意見募集
http://www.cao.go.jp/sasshin/hatomimi/doppou-koueki.html

(1)独立行政法人の抜本的な見直し
・事務・事業の見直しについてのご意見・ご提案
・組織・管理運営の見直しについてのご意見・ご提案
・独法制度そのものに関する横断的見直しについてのご意見・ご提案

(2)政府関連公益法人の徹底的な見直し
・行政が実施させている事務・事業の徹底的な見直しについてのご意見・ご提案
(行政から政府関連公益法人への無駄な支出、不透明な権限付与など)

中医協、再診料の一本化で集中審議 結論出ずに持ち越し

2010年02月09日 09時36分46秒 | 予算・事業仕分け
基本的な方針として合意できていたと思われた「再診料」で、中央社会保険医療協議会(中医協)が緊迫している。
再診料は、200床未満の中小病院が600円であるのに対して、診療所は710円。再診料には様々な加算があることに加えて、医療機関で価格が違うことへのわかりづらさもあることから、基礎となる再診料を統一しようということで合意が得られていた。しかし、その合意ができたのは、診療所の再診料を引き下げて600円に統一する、中小病院の再診料を引き上げて710円にする、二者の間をとって650円程度で揃えるのいずれなのかについては曖昧なままになっていたため。
再診料を10円引き上げると、医療費は100億円ほど増えることになる。今回の診療報酬の引き上げ幅は、0.19%(約700億円)と小さく、再診料の引き上げに使える財源は限られている。確保できる財源を眺めつつ、600円と710円の間のどれぐらいで決着させるかというせめぎ合いになると思われる。

日経新聞が報じたのは、再診料を680~690円にするという方針。診療所の再診料は引き下げになるが、時間外対応などの加算により収入減を補うことができるようにするという。

中小病院の再診料680~690円 厚労省方針、診療所と同水準
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100207ATFS0601H06022010.html

診療所の再診料、原則引き下げを検討 厚労省
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100120ATFS1902N19012010.html

5日に厚生労働省が示した「外来に関する財源」の粗い試算によると、外来部分の改定率の引き上げによる400億円と検査実施料などの適正化による400億円。800億円から新規技術などの評価に650億円をまわすために、再診料の統一に使うことができる財源は150億円程度。これでは、再診料の引き上げにはとうてい足りない。かといって、他を引き下げて財源を持ってくるのも難しいだろう。

【中医協】再診料統一、診療側と支払側の溝埋まらず
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-26243.html

これらを前提として、8日の中医協で集中審議がなされたが、双方とも譲ることなく結論を出すことができなかった。そのため、公益委員が裁定案を提出して10日に決着を図ることになった。しかし、開業医を代表する委員からは、「現在の再診料でも低い。裁定の内容によっては、大きく非難することもありうる」と述べるなど、簡単には合意することはできないだろう。開業医にとって、再診料の引き下げは経営=収入に直結する。開業医の月収は205万円、病院勤務医は123万円。このような情報が流されているので、世論は「診療所の再診料を引き下げるのは当然」だろう。

中医協、再診料一本化の結論出ず 公益委員が裁定案提出へ
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020801000776.html