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事業仕分け対象、約300件選定 3兆円の削減を目指す

2009年11月05日 10時05分54秒 | 予算・事業仕分け
行政刷新会議は、来年度の概算要求から無駄な事業を洗い出す「事業仕分け」を始め、約3000の事業の10分の1にあたる約300件を「仕分け」の対象に取り組んでいくことが明らかになった。代表的な事業の仕分け=判断の考え方は、類似する事業にも当てはめることになるため、最終的には、さらに多くの事業が仕分けられることになりそうである。

事業仕分け対象、約300件選定…刷新会議
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20091103-567-OYT1T01095.html

また、傍聴席を設けて透明性を高め、ネットで中継されるとのこと。事業仕分け会議は、11月の11~13日の3日間、16,17日の2日間、24~27日の4日間の計9日間の予定で開催される。

徹底公開「事業仕分け」傍聴席にネット中継も
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20091103-567-OYT1T00922.html

なお、事業仕分け候補の選定基準が明らかになっており、具体的には、
1.基金
2.官僚の天下り先への支出(独立行政法人、公益法人、随意契約、特別会計)
3.モデル事業
4.他省庁や地方自治体と重複する事業
5.広報・調査
6.情報技術(IT)調達
である。

このブログで何度か書いてきたように、「モデル事業×情報技術(IT)調達」は大胆に判断していただきたい。
なかでも医療IT化のモデル事業にはひどいものが多い。例えば、せっかく構築したITシステムも国が予算をつけている間は運用しているが、予算が切れたら「検証が終わった」と止めてしまう。運用に必要な費用を調達できないから仕方ないとのことだが、そもそも医療機関や患者などに必要性や何らかのメリットがあれば、運用に必要な費用はどこかから調達できるもの。それでも止めてしまっているし、誰からも苦情がでない。このような現状を総括して、それでも必要だと認められるモデル事業に絞り込むべきである。
なお、モデル事業は検証が目的というなら、得られた結果をもっとアピールすべきである。得られた知見が凝縮された「報告書」は誰でもみられるように広く公開するとともに、そこに記載された内容を制度・政策に反映させるべきである。例えば、「標準化が必要」と書かれていれば、それを国の「標準仕様」とすべきかを議論する、標準仕様を全国の医療機関に遵守するように求めるなど、実際の制度・政策につながったか否かでモデル事業を評価すべきだろう。わかりやすくいえば、マニフェストの実現に直接的に寄与するモデル事業を残して、それら以外は仕分けして本当に必要なモデル事業に絞り込む、事業終了後のアウトカム評価をしっかりする(事業に関係しない第三者が厳しく、複数年度に渡って。例えば、報告書に「全国展開する」と書かれていれば、年度ごとにその進捗を問うなど)ということである。

同じようなモデル事業を場所を変え、少しずつ内容を変えて何度も行っているようにみえる(やはり利権があるからか?)。これまでになされてきたモデル事業をきちんとレビューして、今回は何が違うのか、本当にモデル事業として取り組む意義があるのかを明確化する。すべての国民がその説明に納得できるか否かで仕分ける必要があるだろう(わかりやすく説明できなければ、もちろん駄目)。

医療のIT化は大きく遅れており、これまで政府のIT政策の重点分野として位置づけられてきた(最先端を行っているなどと思っていたら、大間違い)。そのため、事業名称に「医療のIT化」を入れておけば通るような雰囲気があったのではないか。また、厚生労働省と総務省、経済産業省などが同じようなモデル事業を重複して実施しているようにみえるので、思い切って整理すべきだろう。

マニフェストを実現するためには、いくら予算があっても足りない。不要不急の事業、民間でもできる事業は大胆に切って、年金納付記録の確認やハローワークのワンストップサービス(新規雇用の創出)など、本当に必要なところに予算を回してほしい。