制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

貧困・困窮者を支援するワンストップサービスのあり方

2009年11月04日 10時36分02秒 | 情報化・IT化
ハローワークのワンストップ化により、失業等がきっかけとなり生活に困った人たちが1ヶ所の窓口で様々な情報が得られ、必要に応じて、その場で手続きができるようになる。このようなサービスのあり方は、当然、求められることだが、まだ足りない機能があるように思える。

昨日に続いて、情報化の切り口から考えてみたい。

地域でばらばらに提供されている様々なサービスを一ヶ所に集めておき、支援のニーズがあれば、対応するサービスにつなぐ。これがワンストップ化の基本となる「サービスへの振り分け機能」である。最初にどのような支援のニーズがあるのかを聞き取り、利用できるサービスの情報を提供する。どのサービスを利用するのか、どうなりたいのかなどを明確にしてから、それぞれの窓口につなぐような機能である。この機能があれば、必要な支援やサービスへと効率的につなぐことができる。さらに、最初に支援のニーズを聞き取り、関連する情報を提供することから、「知らない」ことによる抜け・漏れがなくなる。手始めに整備すべき機能といえる。

まだ足りない機能とは、窓口の一本化・一括化に留まってよいのだろうか、ということである。
それぞれの窓口につないだので、その先は、それぞれの機関に任せる。後は知らない(支援が得られなければ、また窓口にやってくるだろう)。これでは、十分に支援したとはいえない。つないだ先でどのような対応がなされたのかをしっかりみて、(うまく説明できなければ、本人の気持ちを代弁するなど)必要に応じて、その窓口で支援する。それぞれの機関が提供するサービスの利用が始まってからも、「横の連携」をはかって「総合的・継続的に支援する機能」である。

さらに、必要となるのは、既存のサービスで足りないニーズ、「制度の谷間」のニーズへの支援である。
例えば、失業等により、職探しをしている。また、生活費に困るようになった。この2つにサービスをつなぐことはできるが、失業につながったのはなぜかに向き合い、どうすれば貧困・困窮した生活から抜け出せばよいか、諦めそうになった心をいかに支えられるか、といった「福祉的に支援する機能」である。

これらの機能を提供するには、高度な専門性が必要になる。相談者の生活を広くみなければらないし、地域のさまざまな機関とのネットワーク化も進めなければならない。相談者一人ひとりを「チーム」として支える体制もつくらなければならない。既存のサービスでは足りない場合には、つくり出さなければならない。業務の量は多くなるし、高度な専門性を求められる。それなら基本の「サービスへの振り分け機能」に集中したほうがよい、とも考えられる。

全国のハローワークで簡単に実践できることではないけれども、「あるべき姿」として3都府県の1ヶ所でもよいから取り組み、全国展開するにあたってのモデル=ゴールの姿として提示すべきだろう。このようなモデル事業ならば、取り組む意義はある(実証事業・モデル事業は多くなされているが、ほとんどが役に立っていない)。
厚生省と労働省が一緒になってもうすぐ10年。「厚生労働省」なのだから、厚生行政と労働行政が一体となって取り組むべきだろう。