Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

俺の時制は「現在形」

2009-08-09 | ◆釣りバカ
釣師で知られた開高健によると、釣師の時制には「過去」と「未来」しかなく、「現在」欠けているのだという。つまり、過去の釣果自慢と明日への期待は滔々と語るが、その年の、あるいは釣をしているその日その時を語ることは無い。要は、めったに釣れないのである。

ちなみに、私の場合には「未来」はあっても「過去」は怪しく、「過去」が怪しいと「未来」も霞むのである。もちろん最初から「現在」はない。特に、前々回の「ワカメ持ってけ」そして前回の「何かくれ」という状況を振返ると、もはや他者をこの時空の欠落した世界へ巻き込むことへの罪悪感に苛まれ、ついに単独釣行へ踏み切ることとなった。基本へ立ち返るべく、走水のアジ、海福丸である。

夏の暑さのせいか、釣師の数はそれほど多くない。しかし、大潮から中潮への変わり目で潮流が早いせいか、二隻出船となり余裕のある釣座の確保が出来た。最初は水深20メートルからスタートするが、いきなりなんかがぐっと引っ張る。あきらかにアジとは違う重い引きこみであるが、これがイシモチであった。本命ではないが、これが数匹釣れると、とりあえず土産が出来たと安心してしまう。これで安心するあたり、既に釣りに関する達成レベルが自分の中で大いに低下していることが実感されるのだ。

その後2度ほど移動を繰り返すが、全く当たりが無いか、イシモチがぽつぽつ釣れる程度。またしても、いつもと同じまったりとしたいやな空気が船を覆い始める。「未来」がますます濃い霧に包まれる。

そして3度目の移動で、かなり潮の早い水深40メートルの地点。ここで船の最後尾に陣取る常連が、なんだ「サバだなこりゃ」と言いながら糸を巻き上げ始める。するとこちらも竿がグイグイと強く引きこまれるが、常連の言葉から「サバか」と思い定める。まぁそれでも土産が増えるなら良しとするかと。

しかし、何と上がってきたのは尺アジである。これは驚いた。そこからが怒涛のオオアジ連発で、何故か自分だけえらい食いがいい。結局、尺アジ5尾を含めてアジ28尾で竿頭。これに加えてイシモチが5尾である。久々に「現在形」の男となったが、明日はあるのか。とはいえ、人をこの時空に巻き込む自信はまだない。なぜなら私の「現在」は非常に短いからである。



最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おぉぉぉ!? (ゆきお)
2009-08-09 15:51:22
有言実行ときましたか!!!
返信する
できる男 (いけだ(@_@)
2009-08-10 10:20:50
「できる男」ですな。
アジ、おいしそう・・・
返信する
Unknown ()
2009-08-10 12:23:13
謙虚(慎重)になると釣れるのには理由があるのでしょうか。
返信する