遅ればせながら。
この本は、戦略キャンバスの活用方法に尽きる。しかも、このツールは有効に活用すればその効果も非常に高いと思われる。
新規ビジネス、あるいは新しいビジネスモデルというのは、見出すのも難しければ、それを実現するのも容易ではない。この本は、それを体系的に実施できるようにして、その成功確率を高めることを目指したものである。
本書で言うところのブルー・オーシャンとは、競争のない新しい市場。レッド・オーシャンとは代わり映えのない戦略を持つ企業が血みどろの争いを続ける市場である。
本書で最も重要なツールである戦略キャンバスとは、市場での競争環境に影響を与える要素を抽出し、それらに対する市場参加者のポジションを図示する。そこに描き出される形状により、各企業の戦略独自性 - ブルー・オーシャンにいるのか、レッド・オーシャンにいるのか - が露わにされる。日々が苦しければ、往々にして全ての市場参加者が同じような形状を描くものである。
本書は、戦略キャンバスには、以下の3つの効用があるとする。
- 業界の戦略プロフィールが一目瞭然となる。
- 競合他社の戦略プロフィールがわかる。
- 自社の戦略プロフィールがわかる。また何を目指すべきかのヒントが得られる。
ブルー・オーシャンを切り開くための道筋は以下の6つのパスを試みよと教える。
- 1.代替産業に学ぶ
- 業界内のほかの戦略グループから学ぶ
- 買い手グループに目を向ける
- 補完財や補完サービスを見渡す
- 機能志向と感性志向を切り替える
- 将来を見通す
このあたりは、新しい方法がいろいろとあるかもしれない。が、スタートポイントとしては、とても参考になる。また、優れた戦略は三つの特徴を持つという。
- メリハリ
- 高い独自性
- 訴求力のあるキャッチフレーズ
ユニークな戦略キャンバスが描かれれば、これらの特徴を備えることとなるだろう。
ポーターの戦略論では、コストと差別化をベースとしているが、もはや低コストかつ独自性が求められることが普通の時代、戦略キャンバスの持つ多面性は戦略策定において有用ではないかと思う。
ブルー・オーシャン戦略 - W・チャン・キム+レネ・モボルニュ
戦略と言いながら中身は完全にマーケティング戦略そのものでしたね。競争戦略とは一線を画すといいながら、純粋にpositioningだったりするところがなかなかお茶目です。Strategy Canvas MapはKevinに教わったフレームワークにも入ってたし、目新しいところは床屋さんのQBハウスが絶賛されていることかしら。日本にはこんなにすごい床屋があるぞ!と^^
この本の考え方はClayton M.ChristensenのInnovationをMarketingの視点から分かりやすく書いたもののような感じがしました。言っていることの本質は変わらない気がします。無消費層に訴えかける商品・サービスをValue propositionを工夫して、低価格であったり高価格で提供するという点で。QBハウスの方が分かりやすいという意味でイノベーションへの解よりもこの本の方が売れているのかもしれませんね。