ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

買われる日本企業

2007年06月29日 00時18分08秒 | ビジネス
東京地裁、ブルドック買収防衛策でスティールの差し止め請求を却下(ロイター) - goo ニュース

今年の株主総会集中日は大きな混乱もなく終わったようだ。例年だと、自社の株主として株主総会に出席するのだが、今年はそうもいかない。

今年は、ブルドッグソースを初めとして、外資の投資ファンドが株主提案権を行使し経営陣が鋭く対立する例が目立ったが、投資ファンド側の連戦連敗に終わった。個人的には、投資ファンド側のロジックはよくわかる気がする。ただ、他の株主の共感を得られないのは、説明不足というのもあるだろうが、単純に外資だからというのも大きい気がする。

結局のところ、日本企業の経営者や投資家は、デイ・トレーダーのような人達を除き、会社を長期的に存続するものとしてみていて、買収したらすぐに転売するような外資の行動を冷ややかにみているのではあるまいか。

記録的な円安で、外国企業にとって日本企業はかつてないほどのお買い得に映っているはず。それなのに、社長記者会見を聞いていると、「外資に買収されたらどうするか」「うちは外資規制があるから心配ない」というようなナイーブなやりとりがまだされている。

先日の日経新聞社のシンポジウムで、UAE側の講師の誰かが、今後は日本からの投資を誘致するだけでなく、日本への投資も増やしたいと言っていた。なにしろ、油価の高騰のおかげで、UAEはかつてないほどの金を蓄えている。車、家電などの分野で日本メーカーのブランドは圧倒的な強さを誇っており、高度な生産技術を手に入れるため、会社ごと買ってしまうのが手っ取り早いと思ったとしても不思議はない。

かつて、ソニーが米国のパラマウント・ピクチャーを買収した時、米国で大騒ぎになったことを思い出す。外資から買収提案を受けた時、日本企業の経営者や他の株主はどう動くか。そして、裁判所は。今年の株主総会は、外資にとって大きな教訓を残したと思う。


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