京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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教科書によく出るシリーズ 源氏物語 若紫 第一段落

2022-01-07 16:17:31 | 俳句
教科書によく出るシリーズ  『源氏物語』若紫

「源氏物語」若紫の状況
 光源氏・・三歳の時、母の桐壺更衣が亡くなる。父帝の配慮で、臣下の籍に下る。皇位争いから遠ざける配慮。ここで「源氏」を名乗る。
元服(成人式)後、左大臣(NO、1の大臣)の娘・葵の上と結婚。
 父の帝は、藤壺の宮と再婚。藤壺の宮は亡くなった桐壺更衣にそっくり。光源氏は藤壺の宮を慕うようになる。
 理想の女性=藤壺の宮。
 光源氏十八歳の時、熱病にかかる。その治療の祈祷のため、北山のお寺に行った。このお寺のモデルは、鞍馬寺とも。あるいは岩倉のお寺とも言われていますが、さてどうでしょう。
その地で、藤壺の宮によく似た少女=若紫と出会う。
 この場面は、若紫がいる家の垣根から、中をのぞき見(かいまみ)しているシーン。
光源氏の目には、少女(若紫)、若紫に仕えて遊び相手になっている子どもたち(犬君など)、若紫の保護者(祖母)である尼君、仕えている年配の女房たちが見えている。

【若紫 第一段落本文】
①清げなる大人二人ばかり、さては童べぞ、出で入り遊ぶ。②中に、十ばかりにやあらむと見えて、白き衣、山吹などのなえたる着て、走り来たる女子、③あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひ先見えて、うつくしげなるかたちなり。④髪は、扇を広げたるやうにゆらゆらとして、顔は、いと赤くすりなして立てり。
⑤「何事ぞや。⑥童べと腹立ち給へるか。」とて、尼君の見上げたるに、⑦少しおぼえたるところあれば、⑧子なめりと見給ふ。⑨「雀の子を、犬君が逃がしつる。⑩伏籠の内にこめたりつるものを。」とて、いとくちをしと思へり。⑪このゐたる大人、「例の、心なしの、かかるわざをしてさいなまるるこそ、いと心づきなけれ。⑫いづ方へかまかりぬる。⑬いとをかしう、やうやうなりつるものを。⑭烏などもこそ見つくれ。」とて、立ちて行く。⑮髪ゆるるかにいと長く、めやすき人なめり。⑯少納言の乳母とぞ人言ふめるは、この子の後見なるべし。
【口語訳 第一段落】
①さっぱりとして美しい年配の女房が二人ぐらい、それからまた、姫君の遊び相手の女の子が、家を出入りして遊んでいる。②その中に、十歳ぐらいであろうかと見えて、白い単衣、山吹色のかさねなどでやわらかくなっている服を着て、走ってきた女の子は、③たくさん見えている子どもに似ているはずもなく、たいそう成人した時の美しさが思えて、かわいらしい顔の様子である。④髪は、扇を広げたようにゆらゆらと揺れて、顔は、とても赤く強くこすって立っている。
⑤「何事ですか。⑥遊び相手の子どもたちとけんかなさったのですか。」といって、尼君が見上げているのに、⑦少女は少し似ているところがあるので、⑧少女は尼君の子であるらしいと光源氏は見ていらっしゃる。⑨「雀の子を犬君が逃がしたのよ。⑩ふせご(かご)の中にとじこめていたのに。」と言って、若紫はとても残念だと思っている。
⑪この座っている年輩の女房が、「いつもの、うっかり者が、このようなしわざをして叱られるのは、とても不愉快だ。⑫雀はどこへ退出してしまったのでしょうか。⑬雀はとてもかわいらしく、しだいになっていたのに。⑭カラスなどが見つけたら大変だ。」と言って、立って行く。⑮髪はたっぷりとあってとても長く、感じが良い人であるらしい。⑯少納言の乳母と人が言っているようなのは、この子の後見人であるのだろう。
【語句説明 第一段落】
①清げなる・・さっぱりとして美しい  
・大人・・年配の女房 「女房」は高貴な女性に仕えている女性たち ・ばかり・・ぐらい
・さては・・それからまた  ・童べ(わらわべ)・・姫君の遊び相手の女の子
②・にやあらむ・・「に」断定助動詞「なり」連用形 「や」係助詞疑問 「あら」ラ変「あり」未然形 「む」推量助動詞「む」連体形(結び)
・衣(きぬ)・・単衣 かさねの下に着る服  ・山吹・・かさねの色目 重ね着をして、色を合成する。山吹は表が「薄い朽葉色」裏が「黄」。春用の色。
・「山吹などの」の「の」は同格、「で」の意味。
・「なえ」・・着慣れて柔らかくなっている
※この女の子が「若紫」である。
③・あまた・・たくさん 
・似るべうもあらず・・似ているはずもない。 「べう」は「べく」のウ音便 「べく」は
当然助動詞「べし」連用形  ・いみじう・・たいそう 
・生ひ先・・成人した時の美しさ 
・うつくしげなる(形容動詞 うつくしげなり)・・かわいらしい 
・かたち・・容貌 顔の様子
④・髪は・・髪が豊かであることは、「美人」の条件。若紫が美人であることを伝えている。
・すりなし・・強くこする  ・立てり・・「り」存続助動詞
⑤ぞや・・ですか
⑥・腹立ち・・けんかする  
・給へるか・・「給へ」、尊敬語  「る」、完了助動詞「り」連体形
⑦おぼえ・・似る
⑧・「給ふ」尊敬語を使う。主語は光源氏。
 ・なめり・・「な」、断定助動詞「なり」連体形「なる」の撥音便 「めり」、推定助動詞
⑨・犬君・・若紫の遊び相手の女の子。うっかり者として何度か登場する。
⑩・伏籠(ふせご)・・かご 香炉の上にかぶせ、衣類をかけて香のかおりをたきしめる
ために使った。
・こめ・・とじこめる ・たり・・存続助動詞 ・つる・・完了助動詞「つ」連体形 
・ものを・・なのに  ・くちをし・・残念だ
⑪・ゐ・・上一段動詞「ゐる」連用形 座っている  ・例の・・いつもの
・心なしの・・「心なし」、うっかり者 犬君をさす。「の」は主格、「が」と訳
・かかるわざ・・このようなしわざ  雀を逃がしたこと
・さいなまるる・・「さいなま」、叱る  「るる」、受身助動詞「る」連体形
・こそ(係助詞 強調) 
・心づきなけれ(形容詞 心づきなし 已然形 結び) 不愉快だ
⑫主語は「雀」 ・いづ方・・どこへ  
・まかり・・謙譲語 (紫の上の前から)退出する
・か(係助詞) ・ぬる(完了助動詞「ぬ」連体形 結び)
⑬・をかしう・・かわいらしく  ・やうやう・・しだいに
⑭・もこそ(係助詞)  ~したら困る。~したら大変だ。
・見つくれ(下二段動詞「見つく」已然形 結び)
⑮・ゆるるかに・・・たっぷりとあり  ・めやすき・・感じが良い
⑯・少納言の乳母(めのと)・・若紫の後見人であろうと推量されている年配の女房の名。
若紫が貴族社会で生きていく上では、後見人としては役不足。尼君も高齢で病気がちであり、若紫の将来は不安なものであった。そこに光源氏が現れて、まずは「親がわり」という形で、若紫を自分のものにしてゆく。
・「める」・・婉曲助動詞「めり」連体形  ・「べし」・・推量助動詞


雪の朝

2022-01-07 07:50:42 | 俳句
雪の朝
        金澤ひろあき
 12月27日、関西北部は大雪でした。
 桂も数センチ積もっていました。JR東海線が野洲以北、大雪で動かないので、すべて野洲行きになっています。彦根あたりも大雪なのでしょうね。
 今冬は12月より、よく降ります。
  雪の朝雪降るペースになる歩み ひろあき