本日(3月22日)付で「北総線運賃認可訴訟の行方」を掲載しましたが、その最後に記した住民訴訟の判決が、今日、千葉地方裁判所から出されました。朝日新聞社が今日の20時27分付で「北総線値下げの補助金『違法』 前白井市長の専決処分」(http://www.asahi.com/national/update/0322/TKY201303220363.html)として報じています。
この記事によると、前白井市長は、2010年に、北総鉄道への支援補助金を支出する旨の予算案を3回も市議会に提出したのですが、市議会は否決していました。そこで、2010年10月に、前市長は支援補助金の支出を内容とする専決処分を行いました。理由は、既に千葉県および北総線沿線6市で補助金を支出することにより、北総線の運賃を平均で4.6パーセント値下げすることに合意していた、というものです。
しかし、どうやら、前市長は3度目の予算案提出を突然、しかも議会最終日に提出したようです。これでは審議のしようがないでしょうし、瑕疵があったと言えないとしても、問題があったと言わざるをえないでしょう。また、廃案後に臨時議会の招集を求める動きがあったようですが、これにも応じていなかったということです。
首長が専決処分をなしうる場合については、地方自治法第179条および第180条の規定が存在しますが、今回の訴訟では第179条のほうの話となります。同条は次のように規定しています。
第1項:「普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第百六十二条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意については、この限りでない。」
第2項:「議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
第3項:「前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。」
第4項:「前項の場合において、条例の制定若しくは改廃又は予算に関する処置について承認を求める議案が否決されたときは、普通地方公共団体の長は、速やかに、当該処置に関して必要と認める措置を講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならない。」
千葉地方裁判所は、前白井市長の専決処分が第179条第1項にいう「議会において議決すべき事件を議決しないとき」という要件を満たしていないと判断しました。
あくまでも記事による限りではありますが、妥当な判決と評価すべきでしょう。
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