ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

一本の木には

2021年05月03日 12時00分00秒 | 社会・経済

 目下の状況で東京オリンピックの開催を強行しようとする動きがあります。

 COVID-19の感染が拡大する一方で、しかも変異株まで猛威を振るっている中で、どう考えても無理だろうと思うのですが、組織委員会は看護師や医師を集めています。交通費以外は1円も支払わないというのはふざけた話ですが、招集する・招集されるのが当たり前という感覚でしょうか。

 重症患者、死者も増えています。医療崩壊状況も変わりません。しかし、国民の命より東京オリンピックの開催が大事なのでしょう。

 こういう動きを見ていると、高校時代から何度も読み返していた、安藤正士・太田勝洪・辻康吾『文化大革命と現代中国』(岩波新書)に書かれていたことを思い出しました。

 中国で大躍進政策が行われていた頃の話です。科学も何も無視した精神論のおかげで、多くの人民が餓死するなど、中国は大損失を蒙りました。このことは、当然、時の国家主席である毛沢東にも報告されていたのですが、彼は次のように言って激怒したといいます(同書からの正確な引用ではありません)。

 「一本の木には2,3枚の枯れ葉がある。だからと言って木を切り倒す訳にはいかない。大局を見ろ。」

 この後、毛は国家主席を辞任しますが、政治権力が劉少奇や鄧小平に移行していくのを見て奪権を決意し、プロレタリア文化大革命を引き起こします。

 舞台などは違いますが、以上のようなエピソードは現在の日本にも当てはまるような気がしてなりません。権力を持つとこういう精神構造になるのかもしれません。


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