ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

川崎市バスも減便へ

2024年05月29日 13時00分00秒 | 社会・経済

 2023年から、このブログで2024年問題などとして、路線バスの減便問題を取り上げています。やはり、大阪府の金剛自動車が路線バス事業から撤退し、廃業するというニュースが最も衝撃的でしたが、減便は全国的な問題となっており、今年に入ってから横浜市営バスの減便が神奈川県内ではよく話題となっています。

 そして、私が住んでいる川崎市です。川崎市交通局も、5月28日に「鷲ヶ峰営業所管内における一部減便について(令和6年6月10日実施)」(以下、市バス記事と記します)を発表しました。また、朝日新聞2024年5月29日付朝刊17面14版神奈川・川崎版にも「川崎市バス 一部路線で減便へ 来月10日から 運転士不足に対応」という記事が掲載されていました。

 鷲ヶ峰営業所は宮前区にあり、宮前区はもとより、高津区、多摩区、麻生区にある路線を管轄しています。つまり、川崎市の北部に属する全区に路線網があるということです。さらに、僅かながら横浜市青葉区にも路線があります。もっとも、たまプラーザ駅を起点とする、東急バスとの共同運行の「た83」系統のみですが、横浜市交通局が撤退してしばらくしてからの参入で、少々驚きました。

 実際に足を運ぶとわかりますが、宮前区の向丘出張所が管轄する地域は、東急田園都市線と小田急小田原線の間にあっていずれの駅からも遠く、その意味では鉄道空白地帯と言ってもよいような場所です(武蔵野貨物線が通っていますが、旅客営業はありません)。かつては川崎市営地下鉄の計画もありましたが断念されました。そのため、長らく路線バスが頼りの地域です。鷲ヶ峰営業所と、その下部組織である菅生車庫(一時期は菅生営業所でした)は、こうしたエリアをカヴァーするバス路線を所轄しているのです。減便の影響は大きいものと思われます(ちなみに、東急バスおよび小田急バスの路線もあります)。

 市バス記事には、次のように書かれています。

 「市バスでは、これまで運行上の工夫や運転手の確保に努め、ダイヤを維持してきましたが、運転手の不足に対応するため、鷲ヶ峰営業所管内において平日95便、市バス全体の約2%、日中から夜間を中心に一部減便を実施します。/お客様にはご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りますようお願いします。」(/は原文改行箇所)

 この説明には書かれていませんが、同じページに示されている、減便となる路線、および減便されるバスの起点発車時刻の表によると、土曜日は25便、日曜日は24便が減らされます(上記朝日新聞社記事には書かれています)。

 上記朝日新聞社記事には「通勤・通学客が利用する朝の時間帯は極力避け、主に日中から夜間の時間帯で実施するという。可能な限り運行本数が多く、運行間隔が短い路線から減便し、『利用者の待ち時間が少なくなるようにした』と説明している」と書かれています(説明したのは川崎市交通局です)。

 ただ、市バス記事の表を見ると、平日の朝8時台や9時台の便もあります。溝18系統のうち、JR武蔵溝ノ口駅・東急溝の口駅の南口にあるバスターミナル(以下、溝の口駅南口バスターミナルと記します)から鷲ヶ峰営業所までの便です。この路線は、先に記した向丘出張所の管轄地域である神木本町、平、初山などを通り、本数もかなり多いほうですので、減便の本数を多くしたのでしょう。

 それでは、鷲ヶ峰営業所では運転手がどの程度不足しているのでしょうか。上記朝日新聞社記事によると、2024年4月1日現在で181人です。「多い」と思われるかもしれませんが、溝の口駅南口バスターミナルから発着する市バスの本数の多さ(溝18の他にも溝15など、複数の系統が運行されています)を考えると、むしろ少ないとも言えるでしょう。実際、定員より10人少ないそうです。さらに、川崎市のサイトには、2024年2月1日付で「川崎市交通局会計年度任用職員(市バス運転手)の採用選考案内【随時募集中】」というページもあります。

 川崎市交通局としては、正規職員の確保のために、採用選考の時期を前倒しする、あるいは複数回設けるということも検討するようです。さらに、試験科目などの見直しも検討するとのことです。ただ、どれだけ人員を確保できるかはわからない、というのが本当のところでしょう。

 今後、バスのダイヤがどうなるかはわかりません。6月10日に減便した後、年内に再度減便しないという保障もないでしょう。鷲ヶ峰営業所以外の営業所(例:井田、上平間)が所管する路線についても注目しておく必要があります。


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