ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

鉄道会社の運転士不足

2024年02月04日 00時00分00秒 | 社会・経済

 2023年から急にクローズアップされ、むしろ前倒しされた感すらある2024年問題は、既に各地方の公共交通機関に深刻な影響を与えています。

 これまで、このブログでも運転士不足問題を取り上げてきました。最も極端な形で現れたのが、金剛自動車の路線バス事業撤退でした。近鉄バスや南海バスが引き継いだものの、減便や路線廃止を免れることはできなかったのです。

 運転士不足による減便は、鉄道でも行われています。その一部については、やはりこのブログでも取り上げました。実のところどうなのであろうかと思うのですが、国土交通省が2023年の10月に調査をしていたようです。朝日新聞社のサイトに、2024年2月2日15時30分付で「全国地方鉄道の半数が『運転士不足』、低賃金など背景に 国交省調査」(https://www.asahi.com/articles/ASS2252KZS22UTIL00Z.html)という記事が掲載されています。

 国土交通省が調査の対象としたのは172の鉄道事業者です。この記事の書き方がおかしいと言うべきか、少々わかりにくいと言うべきか、「大手を含む全国172の鉄道事業者」、「地方鉄道140事業者」と書かれています。大手というのはJRグループ7社(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州、貨物)、大手私鉄16社(東急、東京メトロ、東武、西武、京成、京王、小田急、京浜急行、相鉄、名鉄、近鉄、阪急、阪神、京阪、南海、西鉄)のことでしょうか。

 「JRなど大手を含む32事業者では、『不足あり』と答えたのは7事業者(22%)に留まった」と書かれています。この32事業者の範囲がわからないのですが、JRグループと大手私鉄を足しても23しかないので、公営鉄道(東京都交通局、京都市交通局などが運営する鉄道)を含むのでしょうか。

 一方、「地方鉄道140事業者」は中小私鉄、準大手私鉄、第三セクター鉄道を指すものと思われますが、これもよくわかりません。その上で続けるならば、調査の結果、半数の70事業者で不足があり、27事業者では過不足がなく、43事業者では余裕があるとのことでした。私が思っていたよりも良い結果とは思います。過不足がない、あるいは余裕がある事業者はどういう会社であるかを知りたいものです。少なくとも、地方別で。

 ただ、半数の事業者で運転士不足が問題となっていることは見逃せないと判断されたのでしょう。これらの全てかどうかわかりませんが、鉄道でも現在ではワンマン運転が当たり前となりつつあります。大手私鉄でもそうです。私が通勤などに利用している東急田園都市線および東急大井町線では車掌も乗務しますが、東急東横線でも2023年からワンマン運転となっているくらいです。東京メトロでは丸ノ内線、有楽町線、副都心線、南北線などで行われています。

 既に、国土交通省は鉄道運転士の免許を取得することができる年齢の引き下げ(20歳→18歳)を方針としています。これは一つの方法ではありますが、それだけでは問題が解消しないでしょう。給与水準、労働時間などの面を検討し、改善することも求められてきます。勿論、このようになれば運賃の見直しなども必要になってきますから、消費者(つまり鉄道の利用者)にとっては困ったことになるかもしれません。

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