カイン 自分の「弱さ」に悩むきみへ(中島義道)を読んで(最終回)
創世記 / 4章 15節
主はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。」主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。
本書には、次のような文章もある。
「きみが膨大な数の他人に迷惑をかけていることを自認しよう。きみはすでに、相当の悪人であることを自認しよう。そして、それでも、きみは生きていかねばならないこと、その残酷さを学ぼう。抽象的なことでは駄目だ。体感的に学ぼう。それには具体的に目の前の他人に迷惑をかける訓練をする以外にはない。」
「何も悪いことをしていない」と思っている人々が多い中、迷惑をかけて、かつ、悪人であるという自覚を持ちつつ、それでも、生きていかねばならないという残酷さを体感することはとても大切である。
あなたは、十分、迷惑をかけて生きているのだ。申し訳ないだろう?そうではないのか?ならば、自分のことや周りは全て自分で作り出したものなのか?否、それでは生きていけない。よって、様々な人々に迷惑をかけて生きているのだ。自覚せよ。善人ぶるな。善人であるわけないだろう、貴様なんか。
そして、私たちはそれでも生きていかねばならない。死んではいけない。
「絶対的不幸」である「死」はいずれ訪れるのだから。その日まで、迷惑をかけていることを自認しながら生き続けよう。