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奇妙なことを言い出したNYT

2019-07-23 07:43:10 | 太平洋情勢乱雑怪奇

IAEAの天野さんが亡くなったという。

数日前に体調が悪いという記事を読んだのでご病気だったようなのだけど、こういう重職の人が死ぬほどの状態だったらもっと早くに何かできなかったのだろうかとちょっと不可解な気持ちを持ったことを書いておきたい。

 

それはそれとして、日本が選挙で明け暮れる中、ニューヨークタイムスが不可解な記事を出しはじめた。

1つは、16日。アポロ11号の「偉業」達成を記念する多数の記事の中で今日的に異彩を放った。

「ソビエトはどうやって平等のための宇宙開発レースに勝利したか」

How the Soviets Won the Space Race for Equality

https://www.nytimes.com/2019/07/16/us/how-the-soviets-won-the-space-race-for-equality.html?smtyp=cur&smid=tw-nytimes

だそうですよ。

つまり、女性を先に宇宙空間に出したのも、アジア系を出したのも黒人を出したのもソビエトが先でした、というお話。

これは事実。でもって異なるアイデンティティ―を持った集団をうまくまとめていたという点でも、実際のところソ連の方がアメリカよりずっとうまかったんじゃなかろうか。

アメリカの場合は、たとえ黒人は虐め放題、移民は馬鹿にしほうだいで酷い状態があっても、メディアが、我々は素晴らしいと書いておしまいという仕様をずっとやってるだけで、あんまり進歩しそうな感じもない。むしろマイノリティーを政治に利用しすぎて分断化が止まらなくなってnationを失ってる趣。

 

さらに21日付けのopt-ed。これはNYTの編集委員会が書き手なので、個人の投稿ではない。

「ロシアが中国カードを使ったらアメリカはどうやって勝つのか」

What’s America’s Winning Hand if Russia Plays the China Card?

https://www.nytimes.com/2019/07/21/opinion/russia-china-trump.html

 

どうも気になるらしい。

有料記事なのでほとんど読めないんだが、RTがおどけつつ書いているところによれば、

「ロシアとの健全な関係を確立し、中国からロシアを引き離そうとするトランプ大統領は正しい」という1文があるそうだ。

“President Trump is correct to try to establish a sounder relationship with Russia and peel it away from China”

 

さらに、ロシアとの協力を強化可能な分野として、宇宙探査、北極海、

新しい軍管理の条約がその一歩となるかもしれない、とか抜かしてる。

The board then suggested that the US could strengthen its cooperation with Russia in space exploration and Arctic cleanup – areas untainted by ‘Russiagate’. In addition, new arms control treaties could be a step towards geopolitical cooperation between the two rival superpowers. 

 

要するに、自分勝手に、ABM条約を脱退し(ブッシュ)、INF条約を脱退し(トランプ)、残ってる巨大な条約はSTARTしかなくなって、それがなくなったら要するにノーガードの軍事競争になる。

そこで、ロシアと中国が本格的に組んだら、アメリカはちょっと・・・になっちゃうからって話でしょう。

また、北極海というのは、前にも書いた通り、私はこれは潜水艦問題でもあると思ってる。つまり、南シナ海を紛争化してチャイナの航路を侵害して行こうと思ったら、ロシアと組んで北極海を開発しますとチャイナが言い出した。これがもたらす影響は、ロシア軍の警備によって北極海ルートが成り立つということ。

それはつまり、日本は中国の弱みが潜水艦にあるとみなして南シナ海に火をつけたからではないのか、など思ってしまう私がいる。

それに対してロシアが中国の支援にまわり、とりわけ、北極海航路をロシア軍の見張り付きで開けた、というのが大変に大きな出来事だった、というべきじゃなかろうか、など推測したい私もいる。

再び歴史的なモメントを迎えた中露 by 習

 

アメリカとその子分である日本がしばしば「シーレーン防衛」とかいうけど、防衛というのはロシア/ソ連、中国の側の問題であって、アメ+がやってるのは、大陸の国に対する海上封鎖機会の確保。防衛じゃない。妨害。

 

さてしかし、NYTは、ひたすらロシアとの関係を悪化させることに邁進し続けたというのにどうしたことなんでしょうね。

先ごろペンタゴンから出たペーパーでは、欧州各国に核兵器を配備していた様が如実に出ていて、それをそのままにするみたいな作戦だそうなので、これってつまり、核戦争も辞さずの勢いを示したわけで、日本の維新なんじゃ大喜びしそうですが(笑)、脳みその入った人たちなら、それはつまりアメリカも撃たれるに決まってる話だと…ようやく気付いたんだろうか?

去年の3月に、ロシアが強制MADを宣言して、今年の3月には具体的にアメリカのどこを狙うかまで言い出し、6月にはサンクトペテルブルクでは、プーチンが西側ジャーナリストを前に、何がどうなってどうしてこういうことが大事なのかの、ほとんど講義を行っていた。

プーチンが言ってるのは、核大国が角を突き合わせて地域紛争を起こしっぱなしにしてたら、偶発的事態を含めて、いつか核の打ち合いになるオッズは上がるんですよ、あなたがた危険だと思いませんかという、馬鹿みたいに簡単な話なんだが、西側上層部は納得してなかったものと思える。

要するに、プーチンにこういう時に招かれるジャーナリストというのは、ジャーナリストじゃなくてディープステートのお使いなんだと思うんだな。

そして、NYTとワシントンポストはその広報誌。だから各国の外交、情報機関は特にNYTを読む。いつも立派な記事が書いてるからじゃなくて、基本方針めいたいものがぽつっと出てくるからウォッチしてるんだと思う。

誰なの、アメリカは民主主義とか言ってた人は?って感じよ。

 

ということで、クリミアも盗めなかったし、ドンバス地方の軍事関係、特殊技術関係の工場をまるごと奪えなかったし、残りのウクライナをマネージしたところでウクライナ住民が奴隷化してみても統治の方に金がかかりそうだし、マレーシア航空機という民間機を撃墜して民間人殺しをして制裁スキームを作ったはいいけど、ロシアは倒れないどころか中国との貿易ボリュームを急拡大させ、むしろ欧州各国が損ばっかりしてるし、ということでロシアを潰せ大作戦の失敗がただ判明しつつあるといった趣ですね。

対処療法的嘘の限界というか戦後秩序ワヤですわ

 

とはいえ、今度ロシアがどう出るかは、もちろんロシア次第だし、これによって中国とロシアの関係が壊れることももはやありそうにない。

というか、アメリカによる「急激な変心」を見越して、今年中国はこれまで以上に、ロシアとの関係を良好にしようという意思を見せつけたのかもしれないとも思う。

再び歴史的なモメントを迎えた中露 by 習

のあたりで書いたけど、中国当局は、冗談でやってないからな、皆の衆、とチャイニーズの一般人に呼びかけてる感じが非常にした。

また、この間のラブロフの発言は一種の予防線。

米露の関係改善は近い将来には予想できません by ラブロフ

 

どうなるのかわからないけど、戦略兵器削減交渉の枠組みを捨てることの危険性にようやくディープステートが納得したらしい兆候がちらっと見えたのは、人類にとっては喜ばしい。しかし、この人たちを信頼することはできないので、中露は頑張ってくださいと申し上げたい。もはや、西側ディープステートに対する信頼は、私には、そして地球上の多くの民にはありません。

 

■ オマケ

上では軍事のことを書いたけど、軍事とIMF/世銀を通した金融支配は同じ人たちが統括しているんだろう、というのをこの間書いた。

MMT・国家主権・IMF/世銀体制

で、これこそがいわゆる戦後体制で、この体制にスターリン率いるソ連が入りたくないとなったところから冷戦だったんじゃなかろうかと思われる。

この体制というのは、要するに、国家主権を取り上げて、後ろからステルスで各国民を奴隷化するような体制ですからね。

各国の共産党を排除しようというのもここに淵源があったようにも見える。というのは、マイケル・ハドソンによれば、初期の世銀がフランスに融資する時の条件として、フランス共産党を連立に入れないというのがあったらしい。

要するに共産党というのはどこもたいてい「民族派」だってことでしょ。ステルスで支配されることを望まないからこそ農業を重要視して、貧乏人なら死ねという体制でいいのか、という話が出てくる。こういう人たちがいるとステルス支配はやりづらい。

西側先進諸国に関していえば、ソ連との関係はむしろ後付け。(だって、もっと前から社会主義運動は存在してるんだから)

そこで、そうならないように各国に宗教グループを作って、インチキだろうがなんだろうが、共産主義を憎ませることに異常な情熱を燃やさせた。そして、やりすぎて、西側各国は訳がわからない、妄想の歴史修正主義者ばっかりになっちゃって、社会が壊れちゃってるどころか、nationの一体性すら危うい。どうするのこれ?って感じなのが今だと思う。

 

戦後のアングロ・シオニストの覇権というのは、要するに、後期ナチ体制だったみたいなもの。だからこそ、東西ドイツの話が微妙にインチキ臭いストーリーしか配布されていないんでしょう。

混乱を無視して進むドイツ流

ソ連にはソ連の過ちはあったにせよ、それでも後期ナチスが宣伝しまくるほど酷くはなかったとしか思えないし(そもそも中の人たちの過半数以上はソ連解体を望んでいなかった)、後期ナチがあれほど殺人的に攻撃的でなかったら互いに異なるシステムとして影響しあうこともできただろう。

それに気が付き、それをこと挙げできた数少ない大統領が、要するにケネディーですね。

有名なアメリカン大学での1963年のスピーチでのソ連への言及を見ると、その後のアメリカがどれほど狂っていったかがわかるというものだろうと思う。

どのような政府や社会制度であっても、そこで暮らす人々を徳のない人々だと見なさなければならないほど、有害ではありません。アメリカ国民であるわれわれは、個人の自由と尊厳を否定するものとして、共産主義を深く嫌悪しています。それでも、科学や宇宙の進歩、経済や工業の発展、文化、いくつかの勇敢な行動でソ連の人々が見せた多くの偉業を讃えることはできます。

https://www.jfklibrary.org/learn/about-jfk/historic-speeches/american-university-commencement-address

 

要するに、体制が異なるから憎しみあって殺し合えとかいう発想を否定してる。民主主義でないから潰せ、レジームチェンジしろといった、ネオコンとかヒラリーリベラルに至る道はここにはない。

 

■ 参考

資料:USSR、中国、ベトナムを核攻撃しようとしてた米

ダレス兄弟の半世紀


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