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タッカー・カールソンが止めたんだよ^^;

2019-06-22 18:17:39 | アジア情勢複雑怪奇

後に続く出来事を想定してトランプを止めた人がいたんだろうと昨日書いたけど、今日になったら、トランプが最も耳を傾けたのはFox Newsのタッカー・カールソンだという話が出回ってる。

Urged to Launch an Attack, Trump Listened to the Skeptics Who Said It Would Be a Costly Mistake

https://www.nytimes.com/2019/06/21/us/politics/trump-iran-strike.html

 

タッカー・カールソンはこの局でそんなことがあっていいのかと思う人もいるだろうけど、実はずっと冷静派。というかほとんどアンチウォーになってる。つまりこれ以上乱行をしてくれるな、という趣旨。

19日あたりに放映された動画がこれ。

Tucker: Washington is war-hungry

 

この中で、911をきっかけにアメリカは何兆ドルも使ってアメリカ兵を何千人も死なせて中東を自分の好みに変えようとしたが失敗した。

トランプはこの失敗を失敗だと言った珍しいリパブリカン。そして選挙に当選した。

さて今イランが云々、と説き起こしている。

 

これはもう、タッカーの見解というより、リパブリカンの中の「孤立派」とかリアリスト系統が言い続けていることの代表ってところ。

「孤立派」系統では、たびたび書いているけどThe American Conservativeという集団なんかが代表例。ここでも、イランと戦争とかアホなことやってんじゃないという主張がずっと強い。反ネオコン集団といってもいい。

だから、ウクライナの頃は、ロシアが悪いとだけ言えないだろうと、微妙にアメリカを庇いつつ、そして雑誌だからいろんな意見を配置しつつも、基本は悪いのはNATOという主張が見え隠れしていた。

その前には、パット・ブキャナンが2008年のグルジア紛争の時、アメリカを大戦争に引き込もうとしている奴らがいる、これは危険だと大騒ぎを始めたのが有名。その頃ちょうど出ていたのが、この本。

チャーチル、ヒットラー、「不必要な戦争」。

Churchill, Hitler, and "The Unnecessary War": How Britain Lost Its Empire and the West Lost the World (English Edition)
Patrick J. Buchanan
Crown Forum

 

ヒットラーの話というより、チャーチルをはじめとするブリテンのエリートたちの判断がどれだけアホだったか、という話。そして、同盟を作ってどこかで紛争を起こして大国を引きずって大戦争にしていく構造がよく見える。だからこそ、グルジア紛争の時に、アメリカをロシアとの大戦争に引きずり出そうとしている奴らがいる!というのがものすごくリアルだった。

 

■ カタストロフィになる by プーチン

で、さり気なく米主要紙のいくつかがプーチンの発言を出していたのも興味深い。

Russia's Putin says a war between the U.S. and Iran 'would be a catastrophe'

https://www.nbcnews.com/news/world/putin-sides-china-over-u-s-huawei-russia-s-relations-n1019581

 

米がイランを攻撃したらどうなるのかという質問にこう答えた。

カタストロフィ―になるでしょう。最も小さく見積もってもその地域にとって。暴力の増大を引き起こしますし、その地域からの難民の増加の可能性もあるからです。

しかしまた、そういうことを試みる人たちにとって、これは悲しい結果となるかもしれません

“It would be a catastrophe, for the region at the very minimum, because it will lead to an increase of violence, and potential increase in refugees from the region,” the Russian president said. “But also, for those who would attempt it, it could have possibly sad consequences.”

https://www.nbcnews.com/news/world/putin-sides-china-over-u-s-huawei-russia-s-relations-n1019581

 

これはロシアの首長が言っているから、単なる評論には終わらないってところがミソなわけだよね。また、第三次世界大戦になりますよぉ、みたいな煽りじゃなくて、「この地域にとって」と言っていることも冷静に見れば実は、ネオコン以外にとっては非常に問題。

そして、この手の発言を改変せず引用できるところが、どれだけ腐っていようとも、アメリカの方がイギリスよりドイツより最低でも1000倍ぐらいは将来性のある国だよな、とも言っておきたい。

 

ここで、昨日も書いた通り、イランと事を構えれば、中露が米批判の急先鋒となり、英仏独がぐずぐず躊躇し、結果として、米中央軍はサウジとイスラエルとUAEだけとなる。政治的にとっても不利。

 

そして、軍事的に考えても、米は陸上の大戦争をするような構えを作っていないわけだし、イランみたいなデカい国を相手にするならどこかの国をまるまる貸し切らないとできないだろうけど、それはすなわちイランに敵基地として撃たれることを覚悟しないとならない。

結局、攻撃は空がメインとなる。ところで、イランは防空システムもあるし、米ロからすれば落ちるとしても、十分なミサイル攻撃&迎撃が可能な国。つまり、上と同様、例えばサウジから地対空ミサイルを飛ばせば、サウジはイランからサウジ国内に仕返しされる。UAEでもどこでも同じ。そして、空母はこういう場合、文字通り座ったカモ状態。

ではインド洋から飛行機飛ばして空対地ミサイルで攻撃してみる? そこだけ見ればいいけど、その間ペルシャ湾に展開する空母が攻撃されるどころかサウジの石油施設を攻撃されたりしたら、経済問題をどう処理できるわけ?という難問になるんじゃなかろうか。

 

また、ロシアは、表だってイラン側で参戦しないとしても、カスピ海を通ってイラン領を通過して航空戦力を向かわせることが可能な立ち位置になっているというだけで、パワーが投影されてるし、そして、装備の補充を第三国領空通過とかいう鬱陶しいことをしないでもできる位置にいる。

欧州勢は、欧州各国を万遍なくNATOに入れることでロシアを空から排除してる。とりわけ、デンマークとトルコのところでロシア軍が自由に空を飛べないよう区切ってる。しかし、イランとロシアが同じ敵に向かう場合に、イランはロシア機の領空通過を許す、というのはシリア戦で達成された。この2国は決して仲がいいわけではないことを考えれば、大きかったねこれは。

 

こういう感じのところで爆撃だけに頼って相手をやり込めるって、なんかものすごく大変なんじゃないでしょうか。おすすめできない(笑)

なんか前にも書いた気がする。

イラン:基地があっても思うに任せないの by 米

 

いずれにしても、とにかく、タッカーだろうがタッパーだろうが、誰を使ってもいいけど、トランプを引き留めているのはネオコン病にかかってない軍とその支援者たちだろうと私は思う。

 

■ オマケ

結局何を見ているのかというと、空爆とかミサイル攻撃だけで一つの集団、nationを打倒するとか跪かせるなどということは不可能だという話だと思う。

にもかかわらず、何かできちゃいそうな感じをハリウッドと共に売り込んじゃったのがアメリカさんでしたというお話。

 

■ オマケ2

アメリカがペルシャ湾で何をしたいのかといえば、要するに石油・天然ガス資源を一手にコントロールできるようになりたい、というのがまず第一でしょ? 特に、カスピ海資源が理解されてからは尚一層イランが重要になった。つまり、イランをシャーの時代にしたいのに、できない、できないと40年ぐらいかけてなんとかしようとしている。

欧州と日本がイランとは仲良し、イランとは仲良しと呪文のように擦り込まれているのは、いずれイランを西側に引き込むために頑張ってるんだと思う。

おそらくUK&一部ユダヤ系などを中心とした「リベラル」系統の狙いは、イランを落として(「民主化」して)、トルコ、トルクメニスタンから中央アジア方面を落として「民主化」して、ソ連南部を全部削って、もってロシアを弱体化させ最後は分割する、という構想でしょう。ところが、SCOができちゃったし、ロシアとイランに親密さが出てきた。これは困る、と思ってると思う。日本の孫崎さんなんかはこっち方面の人だと思う。

 


 


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