中東方面に気を取られている私なのだが、昨日はしかし、get away with murderでひとしきりブログ界隈が賑わっていたようだった。
そして今朝、櫻井ジャーナルさんの記事を読んだら、ちょっと来し方を振り返る趣だった。
戦後、1964年に中国が初めて核実験を実施すると、佐藤栄作政権は核武装への道を模索(Seymour M. Hersh, “The Price of Power”, Summit Books, 1983)、65年に佐藤首相がアメリカを訪問してリンドン・ジョンソン大統領と会談した際、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えている。(NHK「“核”を求めた日本」2010年10月3日)
CIAなどが核兵器開発の中心になっていると疑っていた「動力炉・核燃料開発事業団(現在は日本原子力研究開発機構)」が設立されたのは1967年のこと。1969年に日本政府は西ドイツ政府と核兵器に関して秘密裏に協議、この年に成立したリチャード・ニクソン政権で大統領補佐官に就任したヘンリー・キッシンジャーは彼のスタッフに対し、日本もイスラエルと同じように核武装をすべきだと語っていたという。(Seymour M. Hersh, “The Samson Option,” Random House, 1991)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802150000/
そして、結果的には、日本は大量のプルトニウムをため込み、ロケット技術開発もすんでるわけだから、勝手に「準核保有国」状態になった。
こっちの方が、get away with murderだろう、と思う人がいても不思議ではないんじゃないだろうか。
もちろん日本には日本の理屈や感情はあるわけだけど、疑いもなく国際関係としては、アメリカが良いと言ったから良いのだ、というフレームを出られない関係でOKになってる。別の言い方をすれば国際関係的にはまったく後ろめたい。
一方、北朝鮮は核とミサイル開発を罪として世界各国から責められ、国民を餓死させろと周辺の某国などは言っているのだが、世の中には例外がある。
単純にいって、例外になれるかどうかは、「組」の手先になるかどうかで決せられる。手先になった場合の主導権は当然組の頭にあるわけだから、それはつまり組のもの。だから許されるという話ですね。
そして、この手先の証として重要な手形のようなものが、日米原子力協定。
これはつい先ごろ「自動延長」が決まった。延長だ、万歳、安定だ、とかいう声を誰もきかなかったと思うが、それは実はこれは不安定な状態だから。自動延長は、そのまま同じ年月を繰り返すという協定ではないんだそうだ。通告すれば半年後に契約解除可能な状態であるらしい。
日米原子力協定の延長決定
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201801/CK2018011702000137.html
日米関係は離れようがないのだと日本側が言い募るにはそれなりの理由はあるわけっしょ。
この実は一皮むけば不安定な状態でトランプがあえて挑発的な言い方をしている点は、本当はちゃんと読み取るべきなんでしょう。
■ 慣用句と強意
と、それはともかく、昨日からいろんな人が、get away with murderは慣用句だから、殺人には意味がないんだってなことを言っているけど、私はそういう読み方はあまり賛成できない。
慣用句なのは、get away with~であって、これだけで「持ち逃げする」、転じて、「悪いことをしてもお咎めなしですましてる」、という意味になる。あくまで基幹部分なのはget away(離れる、逃げる)。
だからそこにmurder(殺人)が付くのは、強烈な例をあげて意味を強めていると考えるべきでしょう。まぁ使う人多いですが。
この場合は、例えば、
they do whatever they want and get away with it
彼らはなんでも好きなことをやって、そして、それで逃げちゃう(すましちゃう、お咎めなしだ)
というシンプルで、むしろ使用頻度の高い言い方で十分足りるのに、それをget away with murderと余計な1つをくっつけた方を取ってるんだから、それはそれなりに、俺は怒ってる、とか、俺は絶対許さんからな、と侮蔑の念を持っていると考えるべきではなかろうか? 少なくとも気に留めておくべき言われ方だと思う。
murderって決して軽い語ではない。
■ いろいろフリーな世の中なのか
get away with murderも問題だったろうけど、中国、韓国、日本と並べて批判されているという点も日本にとっては結構問題でしょうね。だって、同盟国だろうがなんだろうが知らないが、みたいな入り方をしているわけでしょ。
あと、上の貿易問題の一つとして、アメは韓国とのFTAを見直すとか言ってるらしいんだが、これってつまり、韓国がユーラシア側に傾く確率を上げることになるんじゃなかろうか。
ユーラシア連合とFTAを考えるという話が出ていたことを思い出す。
韓国、ユーラシア経済連合とのFTA交渉に向かっている模様
参考