南北朝鮮問題：日本はなんだかふらふら

昨日、

軍事力でも制裁でも解決できないのは自明ってのは、そりゃそうでしょう。で、この路線はもちろん中国も同じで、中国はどうやってアメリカとその子分たる日本を席につかせたもんかと思っていたところにトランプが拳を振り上げたので、むしろやり易くなったと考えているのではないのか、などとも思える。

とか書いてたら、それから幾何もなくモスクワではプーチンが、話し合いを求めます、と言い、安倍ちゃんは何かもちゃもちゃ言ったらしい。

Russia's Putin, Japan's Abe call for talks, calm with North Korea
http://www.reuters.com/article/us-russia-japan-northkorea-idUSKBN17T2CF

ロイターは、プーチンの一言を引用している。

私たちはこの地域問題に関係する全政府に好戦的なレトリックを使うのをやめて、平和的で建設的な対話のために努力することを求めます。

"We call on all governments involved in regional matters to refrain from using belligerent rhetoric and to strive for peaceful constructive dialogue."

 

でもこれが日本の記事になると、微妙にニュアンスが違ってくる。

日ロ首脳、北朝鮮に自制要求＝プーチン氏「対話継続を」
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017042800208&g=prk

 

北朝鮮にだけ自制を要求したんじゃなくて、関係者全部に自制しましょうとプーチンは言って、安倍ぽんも別に、そうじゃないと力んだという点は確認されてない。

つか、モスクワに行ったらこうなることは自明でしょう。にもかかわらず、日本の中の報道だけ日本の側のなんだかよくわからない事情を勘案して曲げて書く、ってのが常態化してる。ほとんど平安貴族だな、って感じもする。そのようなことはあり得ないことだ、っていう意図が現実に優先するのね。でも平安貴族は結局現実を飲むんだけど（笑）。

中国はこのあたりは黙ってみているだろうと思う。どのみち話しあいしかないことは自明だし、日本の発言はまったく信用ならないと思っているだろうから。

だから、安倍ちゃんがテーブルについたような感じがする、少なくとも国際社会的にはそう見える、少なくともモスクワはそう受け取って言質取ってる、というのが今回の重要事項のようにも思う。日本の立ち位置は、トランプの武力行使も辞さずを容認しているってところだから。

そもそも、容認してどうするねん、なわけですけどね。

容認して、北が報復として横須賀だの横田だのにミサイル攻撃したら、私たちって一体何？って感じだと思うんですけどね（笑）。

そもそもの原因が敵が日本列島内の一部を奪取しようとして、それが故に揉めて直接的に攻撃されそうだ、というので踏ん張って言い争いして、敵が先制攻撃した、結果的に撃ち合いになったら、そりゃ国内の都市が2つ3つ大打撃を受けても踏ん張る意味はあるだろうし、周囲も頑張れよとは言ってくれるだろうけど、そもそも自国が北朝鮮の存続を認めないことを因果として、何を相手に求めているのかもわからない状態でもちゃもちゃしてた果てに国内の都市が爆撃を受けるって、それって戦略意図とリスクは釣り合うか？？？

バカでしょう、これ、って感じなの。ほんと。

 

で、さしもの日本政府もそれはわかっているので、モスクワまで行って、なんだか理屈の通りそうなことをプーチンに言ってもらって、そうそう、とか相槌うってみたりしてるが、しかし、続いてロンドンで、西側対策本部に「どうしたらいいものかと思いまして」とか言って、強硬路線だ、決まってるだろう、とか言われるとまたまた、はいはい、と返って来る、みたいな感じ？

中国から見たら、一喜一憂する価値もない、ってことでニュース扱いしていないものとみえる。

 

■ 韓国、THAADは俺のじゃない、と言わんばかり

韓国、トランプ氏の「THAAD配備費10億ドル」負担要求を拒否
2017年04月28日 15:12　
http://www.afpbb.com/articles/-/3126729?cx_part=txt_topstory

 これに対し韓国国防省は、米韓地位協定（Status of Forces Agreement）に基づいて韓国はTHAADの配備場所を提供するが、配備・運用費を負担するのは米国だと反論。「この基本姿勢に変わりはない」との声明を発表した。(c)AFP

 

そりゃそうでしょう。北が南を攻撃するのにミサイルなんて不要だとみんな知ってるんだから、THAADは北向けではなくて、中露対策。

要するに、バルト海、黒海側でミサイル防衛網だとかいってロシア向けに防衛網こさえたのがえらく儲かるもんで、同じことを朝鮮半島でもやりたい。まずそれ。

 

■ 結局これは何なのか

結局これは、南朝鮮と取り分け日本をアメリカの子分に縛り付けるために、NATOの東アジア版をこさえよう、という話でしょうね。そのために北朝鮮は利用されたってこと。

10年前と現在の日本の装備のデカさ、やたらに金かかってる状態みたら一目瞭然じゃないですかね。あと、防衛産業も武器輸出ができるようになったわけでしょ。中東あたりに売り込んだら俺らも儲かる、という考えから、これを餌に国内のコングロマリット的な巨大産業を味方に引き入れたんだと思う。

サウジに武器売ってもうけてるイギリスとかドイツを見て、おいしそうだなぁとか思ったんじゃないですかね。

その理屈として、日本製の武器がないと、モンキーモデルを抱かされるのでダメなんです、とかいう理屈を使いまくって、頭の軽いネトウヨを大量に支持させたってのも見逃せないですね。

ってことで、10年かかって、日本を完全属国というか、完全な基地にしたので、米からしたら、後は成り行き次第では朝鮮からは引き上げてもいいかな、という判断があっても不思議ではない。

日本列島さえ手に入れば攻撃拠点はあるから。まさに不沈空母状態。いやぁ、不吉な男でしたね、中曽根じーさんは。

で、日本には南シナ海の紛争をネタに、インドネシア、ベトナム、フィリピンあたりに金ださせて、できればオーストラリアと協力してもらおう、みたいな。

ある意味で、これはアメリカというよりイギリスのコモンウェルスの番兵になる、みたいな感じもする。だから、ここ数年妙にイギリスと絡んでるんだと思うんだな。米軍基地にイギリス軍の乗り入れを許可してたりしてるし。

でもなんか、これってつまり、北進論に失敗したので、南進論を取ってるとも見える。

 

■ イランと同じく厚遇されていた

そんなことより私の目を引いたのは、おおお、安倍ちゃん一行はモスクワで良いお部屋で歓待されてる！ってところ。これはこの間イランのローハニ大統領がモスクワに行った時と同じお部屋かどうかは不明だけど、多分同じ。少なくとも同じ棟だと思う。クレムリンの豪華だけど日頃使ってる事務っぽい方じゃなくて、宮殿側にあるお部屋。

 

で、イランの大統領との会合にここを使ったという意味は、ロシアはあなたがたをこうするにふさわしい立派な国だと認めてます、という意味だろうなぁとロシア草の根ブロガーたちが話していたのだが、その伝で行くと日本もそのように扱われた、となるんでしょう。

が、しかし、日本はプーチン大統領を東京で迎えられず、遠足みたいな待遇しかできなかったチキンな国でもあるわけで、これはつまり、陰画的に日本のチキンブリを表現したとも言えるかも。

いや、そんな悪意に取らなくてもいいともいえるけど、だけどあのチキンぶりはないでしょう、ってのはありますよ、やっぱり。しかも、プーチン訪日の2週間ぐらい前には、カザフスタンの大統領を正式な手順で迎えてるわですからね、日本は。この差は、歴然。ここ

要するに、カザフスタンは、西側勢がロシア圏から引き離そうと努力して、特にフランスがとても顕著な動きをしているので、日本も西側チームの一員として、つか、ガーター勲章もらってる国として頑張ってユーラシアの中央部に穴をあけるためにまい進しています、みたいな感じ？

ロマノフ家のプリンスからガーター勲章まで

で、ロシア当局はそれを分かった上で、いいえ私たちはあなたたちを北東アジアの責任ある大国だと考えていますという態度を取る、と。意図するところは、しっかりしろよ、でしょうね。あはは。

しかし大方の日本人はこうは読まない。ロシアは金が欲しいのだ、日本の金が欲しいのだ、金だ金だ、金だ～でしょう。きっと早晩そういう記事が出てくると思うので楽しみにしておく。多分、中国との間が良好といっても貿易高がうんちゃらかんちゃらで、ヨーロッパ側では制裁の影響でうんちゃらかんちゃら、という感じ。飽きた、それ。しかもどれも正しくないし。

そういえば、2019年にはロシアは財政破綻するといっていた森永卓郎はその後見解を修正しているんでしょうか？ 再来年破綻するようには思えないんですが。

ロシア破壊願望をやめられない日本

 

■ いろいろ考えてみるに

で、ここ10年ぐらい北朝鮮が～という盛り上がりでここまで来たわけだけど、トータルで見て日本にとって何かいいことあったんだろうか？ 米の意図は上で書いた通りだけど。

日本にとっての意味がまったく不明であるのとは対照的に、南北合わせた朝鮮にとってはそう悪い進展ではなかったのではなかろうか。なにせ、北はそうこうするうちにフルセットで外交能力を試す機会を得たわけで、これは願ってもない機会といえないこともない。これって独立国の証ですから。ついでに、ミサイル、核の追及もできた。このへんはイランと同様のパス。

核の放棄と米軍撤退がバーターになる可能性まで来たって感じがするんですけど。これって結構すごくないですかね。手品みたいだ。少なくとも90年代に尾羽打ち枯らして国家認証してもらうより、なんか得したって気がするんですけど・・・。

結果として、半島部分じゃなくて付け根部分は、結局日本にもアメリカにも取られていないってのは、朝鮮にとっては言ってみれば100年頑張った甲斐があった、みたいな感じではなかろうか？　高句麗万歳みたいな。

日本は、再度、再再度、再々再再度半島部に拘って、労多くして実りなしとなる見込みのような気がする。

どうしてこうなった？　

自分から進んで戦後処理しなかったから、でしょうね。

で、なんでそうなったかというと、多分、いつか中国（中共の体制）を崩せるはずだ、という思い込みが非常に強かったからではなかろうか？

で、そもそも朝鮮戦争というも中国の革命政権樹立～！とかいう騒ぎに対する反動じゃないんですかね。そこから、台湾に蒋介石を入れてしまうという日本にしたらほとんど修復不可能な致命的な地政学的誤りをした（と私は思ってる）のも、共産中国がここまで来るとは考えてなかったからではないの？　で、50年代からず～っと、日本と在日米軍は準戦闘態勢のままにいる、ということ。

一般にそれは朝鮮戦争が終わっていないからだ、とまでは多くの人が気がつくんだけど、私はもうひとこえ、中国破壊願望こそ遠因ではなかろうか、と言ってみたい。

 

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