昨日から騒いでいる通り、日中韓の首脳（一人はトップではないわけだが）が東京で会った。
twitterをちょっとのぞいたら、日中韓で会えるんだから安倍さん孤立してないじゃん、というのがあった。まぁその手の人たち向けにわざわざ開いているわけですよ、って話でしょう。
前にも書いたけど、日本の政治の恐ろしいところは国際関係を国内事情のために平気で消費すること。プーチンの一件がまさにそうだった。全然合意できるものなんか何一つない、そんなつもりなんかさらさらない事情は明白だったのに、国内だけで、北方領土が帰って来るんですっての大騒ぎを作って、プーチンが帰ったらさっさと、予定通り、やはりロシアは信用できないと落としてた。
でもってこういう策略に国民もまたやたらにひっかかる。
ということで、ともあれ安倍ちゃんが言ったらしいことをNHKが拾ってたのでメモ。
この中で、安倍総理大臣は「現下の朝鮮半島情勢への対応を、３人で綿密に話し合った。今週、北朝鮮のキム・ジョンウン（金正恩）朝鮮労働党委員長が再び訪中した。朝鮮半島の完全な非核化と北東アジアの平和と安定に向けた機運を、国際社会と一層協力して、北朝鮮の具体的な行動へつなげていかなければならない」と述べました。そのうえで「累次の国連安全保障理事会の決議を完全に履行する。これは、日中韓３か国共通の立場だ。諸課題の解決に向けて、今後とも、３か国で協調して行動していく」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180509/k10011431721000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
どう読んでいいか困難を抱えるほど、まったくのバラバラですよね、これ。
- 現下の朝鮮半島情勢への対応を、３人で綿密に話し合った。
- 今週、北朝鮮のキム・ジョンウン（金正恩）朝鮮労働党委員長が再び訪中した。
- 朝鮮半島の完全な非核化と北東アジアの平和と安定に向けた機運を、国際社会と一層協力して、北朝鮮の具体的な行動へつなげていかなければならない
文脈なし。ただなんかそれっぽいことを言ってみただけ。これは戦後70年談話を思い出させる。キーワードをはめ込んだけど、論旨なし。何が言いたいのかさっぱりわからない凄まじい代物だった。
北朝鮮に具体的な行動をというけど、具体的に北とどう関係するんだという考えがわかったようなわからないような恰好でぐじゃぐじゃにしているのは日本でしょう。まずそこをどうする気なんだ、国交ってものがあってだな、と具体的で透明な考えを求められているのはお前だっちゅーの、と思って他の二人は付き合ってくれたことでしょう。
ちなみに、中国の李首相は、「日中韓＋X」の協力モデルを提案したと環球時報では書いている。
Chinese premier proposes "China-Japan-S. Korea+X" cooperation mode
http://www.globaltimes.cn/content/1101386.shtml
China, Japan and South Korea should carry out joint projects in such areas as capacity cooperation, poverty reduction, disaster management and energy saving through a new cooperation mode of "China-Japan-South Korea+X," said Chinese Premier Li Keqiang on Wednesday.
北朝鮮を含めたプロジェクトを作って、そこから日本の北朝鮮への曖昧な態度を決定させるということだろうか？
結局、90年代にロシアと中国が韓国を承認した、いわゆるクロス承認の時に日本もアメリカも乗らずにいたことがすべての失策の原因。
どんな策略があってこんなことをしたのか当時の担当者には是非述懐していただきたいものだ。
■ 中身が何なのかわからない協力
で、前から書いている通り、問題はこれなんだが今回も誰もいないようだ。
日本は北朝鮮という国家を認めるのか
という問いを日本国内で発してくれそうな人たちは、自民党にもいないが、民主党にもいなかったし、今もいそうにないということなんでしょう。
ポスト安倍が見えない日本(4)：嘘の証言・偽の連帯
