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日米FTA参院で可決&レーガン時代を思い出す

2019-12-04 16:01:25 | アジア情勢複雑怪奇

中身がなんだかはっきりしないだけでなく、日米FTAと呼ばず、日米貿易協定とも呼ばず、ついには「日米協定」とかいう、何の協定なのかさっぱりわからない名前になっている協定が参院で可決された。

※捕捉

立憲etc.のほとんどと
共産、れいわは反対。

ずらっと賛成しているのが、自民、公明、維新

参議院の票決
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/200/200-1204-v001.htm

 

しかも、なんだかさっぱりわからない協定は来年1月1日から発効するらしい。すごいスピード。

日米貿易協定承認案、参院で可決 異例のスピード発効へ

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191204-00000019-asahi-bus_all

 

どうしてこうなるのか。これはトランプの選挙対策なのでは? 中国との間の交渉も選挙戦中に使おうとしているけど、日本のも重要でしょう。なぜなら、米の選挙で決定打を持つ工場のある地帯における車メーカーの今後がかかってるから。

これで日本を追い込む、または状況によっては表面上日米関係は良好だ、すばらしい、グレートな同盟だとかなんとかいいながら、実質のところで日本の車メーカーと交渉するってのはこの戦略の中に入ってると思うな。そもそもメキシコで作ってアメリカで売るというスタイルを利益になるとして始めたNAFTAが不評な時点で日本の車メーカーはある種ターゲット化されてるといったようなものではなかろうか。日産問題もこれがらみではないのかと思ってた。

 

■ 1986年日米半導体協定

ということで、レーガン路線みたいなトランプにやられておるなぁって感じですね。

折しも中曽根が話題になったところで、嫌でもかつての半導体協定問題を思い出す。

1986年日米半導体協定については、コトバンクによればこんな感じ。

1986年7月、日米政府間で「日米半導体協定」が最終合意された。内容は非公表だが、概略は、(1)日本政府は国内ユーザーに対して外国製半導体の活用を奨励する、(2)日本政府はアメリカへ輸出される6品目の半導体のコストと価格を監視する、(3)アメリカ商務省はダンピング調査を中断する、(4)日本政府は第三国市場に輸出される3品目のコストと価格を監視する、(5)協定期間は5年、以上の5点である。
 1987年4月、アメリカ大統領レーガンは、日本の第三国向け輸出のダンピング、また日本市場でのアメリカ製品のシェアが拡大していないことの2点を理由に、日本の特定商品(パソコン、電動工具、カラーテレビなど)に対し関税を100%に引き上げる措置を発動した(同年6月に解除)。これに対して日本は「半導体ユーザー協議会」を設立するなど対日アクセス促進のための措置を取った。

https://kotobank.jp/word/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E5%8D%8A%E5%B0%8E%E4%BD%93%E5%8D%94%E5%AE%9A-858300

 

顛末についてはここらへんの記事が参考になる。タイトルで検索すると貼り付けてらっしゃるブロガーの方がいらっしゃいましたので今でも読めます。

世界を席巻した「日の丸半導体」 官民一体で追いかけた夢
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20130813507.html
2013年8月13日(火)09:00
(産経新聞)

【ニッポンの分岐点】日の丸半導体(1)

日の丸半導体の躍進にいらだち…米の圧力が生んだ“管理貿易”
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20130817520.html
2013年8月17日(土)11:17
(産経新聞)

 

で、この問題の横にあったのがこれ。

問題は構造的なのだと知るために大変良い本。読んだことのない方にはお奨めしますが、まったく簡単な本ではありません。

マネー敗戦 (文春新書)
吉川 元忠
文藝春秋

 

■ 思い返すにだにセキュリティ

いろいろ思い返すに、80年代後半の記憶がある人がもったアメリカに対する反感というのは今の若い人には想像もつかないのではなかろうか。

反感でもあり、失望でもあったんだよね、実際には。まさかこういう手で来るとはと思った、みたいな感じ。

で、すべてにおいて問題なのは、安全保障で絡めとられているため日本には大抵の場合逃げ場がなかったということだと思う。

別の意味でいえば、安全保障をちらつかされても、いいや構やしないという財界と世論があれば、いろいろ多少なりとも抵抗できただろうと思われる。

同時期に、ソ連との間で天然ガスのパイプラインを敷いた西ドイツは、安全保障に絡めとられているという明瞭な意識を持った人たちがいるということなのだろうな、と後から思えばそう思える。

1980年代、レーガン政権時代にドイツとソ連が西シベリアのウレンゴイから欧州向けパイプラインを敷く計画をした時、レーガン政権は大反対で米の技術も金も使わせないという態度を取り、さらにドイツ企業は制裁も受けた。しかしそのまま決行し1983年に完成。

A Soviet stamp of 1983, dedicated to the Urengoy-Uzhhorod transcontinental export pipeline(1983年の数字が見えるソ連の切手)

https://en.wikipedia.org/wiki/Urengoy%E2%80%93Pomary%E2%80%93Uzhgorod_pipeline

 

この成り行きは、今まさに開通しようとしているノードストリーム2と全く同じで、いやしかし、歴史はマジで繰り返す。

いやしかし、繰り返すとなると、平和的な平面を作ろうという努力が

ベルリンの壁の崩壊:ナチ・リベ勃興の日

といったような、無秩序への道になっていって、さらにまたNATO騒動が出てくることになっちゃう。

NATO東方拡大:ゴルバチョフはマジで約束されていた

 

そこで、トルコストリーム、シベリアの力(中国)のパイプラインを組み、利害関係者を拡大して、ナチの夢覚めやらぬ人々にとって仕事をしにくくしている、といった感じだろうか。

こうしていくうちに、NATOを拡大してロシアの周辺を万遍なく西側にするといずれロシアが崩れ、それによって世界制覇が成り立つという妄想の追及が、いかにも高くつくことが各地で理解されるようになる、と。(最初からそうなんだが、相手が反攻する構えを見せないと気づかないアホが世の中多数だから)

 

ということで、これはまさに至言。

ロシアの脅威なんて金儲けのための戯言 by プーチン

 

だがしかし、日本にはこの声はまったく響かない。受信機がないから。

そして、「ネオコンの世界制覇戦争を信じちゃった」状態から修正できる機運が全然ない。

ネオコンの世界制覇戦争を信じちゃった

どうしたものか。

 

■ オマケ

香港人権法とかウィグル人権法って、基本的にこれって日本向けなんじゃないのか?

つまり、やってますアピール。中国という安全保障の懸念があるから、我々は団結しているのだ、という構図を作ってる。日本人はアメリカもやっと本気になったな、などとほくそ笑む。FTAや潜在的な自動車メーカーの問題で日本は押し込まれているというのに、アメリカ様!となっちゃう。

80年代には、むやみやたらにソ連を悪の帝国呼ばわりしていたものだったことを思い出すべきなんじゃなかろか。だけど、そうすると、そうだ、それでソ連は倒れた!!と喜んじゃう人が出ちゃうのかしら。だけどあれは倒れたというより自分で座り込んだようなもの。で、その後どうなった? ロシアは消えてないっすよ。

つまり、どうあれチャイニーズは存在し続け、そのチャイニーズ集団は1910年やら20年、30年代のチャイニーズより遥かに頭も良けりゃ、インフラもあり、工場もある。

ぬか喜びの3手先を考えて対応すべき。


 


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4 コメント

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Unknown (ローレライ)
2019-12-04 19:03:28
内容を隠したポツダム宣言受諾!経済敗戦を日本国民に隠す政府と野党!
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立憲etc+共産+れいわは反対 (ブログ主)
2019-12-04 19:42:11
一応、立憲etc.のほとんどと
共産、れいわは反対。

ずらっと賛成しているのが、自民、公明、維新

参議院の票決
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/200/200-1204-v001.htm
返信する
公明は昔から…… (仁徳尊)
2019-12-04 22:05:20
1970年代、公明党は教科書の無償化と引き換えに広域採択を許してしまった前科がある。
 これは、文部省(当時)が教育現場に手を突っ込む大きなターニングポイントであったと思う。

 ……。
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Bully (セコイアの娘)
2019-12-05 05:14:51
Will be subject to further negotiations、言い換えれば車に関する関税撤廃はないということでしょう。合意できないから、先送りのセンテンスを入れただけで、この一文では、何も拘束力がない。
排ガス規制で偽装するためのソフトを搭載していた問題で、フォルクスワーゲンがアメリカに叩かれまくっていた時、これは政治だなと思っていたのだけど、なるほど、日産もそうかも。今思い起こすとゴーン逮捕時に、うさんくさい在米社員が出てきたましたよね。トヨタも、レキサスのブレーキ不具合に端を発した激しいバッシングにあい、豊田社長自ら公聴会で謝罪しました。
もうここまでくると、Bullyですよ。今のアメリカ、やることなすこと、どこでも嫌われる。
在日米軍駐留費の問題もどうするの?このまま、このBullyの言いなりになっていていいの?


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