今日9月17日はイスラエルで今年に入って2回目の総選挙。どうなるものかお楽しみ。
そんな中、サウジアラビアの大きな石油施設がフーシ派のドローンによる攻撃を受けて大炎上。いやぁ、もったいない。
ある意味当然、アメリカ勢はイランだ、イランだ、イランだ~の大合唱。
この人たちって馬鹿だよね。こんなふうに証拠があがる前に、既に西側が十分に悪魔化している誰かを名指しして騒ぎ出すというのは既に様式化してしまっている。
そして、それらはすべて嘘だった。
この実績からすると、こんな開け方をしたら、またかよ、と世界の多数の人々が思うのはむしろ普通。普通でないのは西側世界が深く洗脳しているところばかりとなるのもまた普通。
■ 原油&ドルかな、と
で、そこはもうどうでもいいんだが、現時点での私の感触としては、これは石油の値段問題なんじゃなかろうか。サウジもシェールを取り込んで膨らましたアメリカも採算ラインが高いので一定以上の水準じゃないと威張っていられなくなる。売らないとドルの量を確保できない、売るためには高値でなければならない、高値すぎると経済が壊れるというトリレンマに苦しむアメリカさん、みたいなものか。
他方で来年の石油価格はむしろ下がるだろうという読みがあって、ロシア中銀なんか来年は25ドルまであることを覚悟してるみたいなことを言い、つい1週間ぐらい前には米でも記事になっていた。
Russia Considers Possibility Of $25 Oil Next Year
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Russia-Considers-Possibility-Of-25-Oil-Next-Year.html
ロシアは国内ルーブル建てだから、建値ドルで原油価格が下がってもルーブル価格がそれに連動して下がると、ルーブル受取り額では、ルーブル値下落分が相殺してしまうのでドル建ての下がり分をまともには受けない。サウジはドルにペッグしてるからまともに受ける。
■ ロシア・トルコ・イランが会合
そんな中、昨日は、トルコのエルドアン大統領がホストしてアンカラにて、ロシア・トルコ・イランが会合していた。
Putin, Rouhani & Erdogan speak to media after Syria talks in Ankara
これはアスタナ会議のフォーマットなので、話題はシリア。
シリアの将来はシリア人が決めるもの、我々はシリアの主権の擁護者という聞きなれた立ち位置説明の他に、シリア憲法委員会の仕事は無事終了、シリアは戦争が続くいった状態ではもうなくて復興に向けて動いているといった話をしていた。
あと、イドリブはトルコが折れたので後は物理的な諸々といった感じになっているんじゃないかと思われる。さらに、アメリカが居座ってる北東部は2週間以内に何かがないと何かが起こる、みたいなことを言っていた。このへんは後でシリアものとしてフォローしたい。
で、もちろん、この時期にやってるので、シリアのみならず関心は、サウジ、イランといったところにも行く。ジャーナリストからの質問などはそっちに行っていた。
そして、ここでトルコ、イランという中東の古豪と、両方の隣国であるロシアが会合するということは、地域の大国が一致してこの地域の安全保障を考えておりますという強い意思の表明でもあるわけだから、自然必然、イスラエルとサウジを使ってぴーひゃらぴーひゃら馬鹿な行動を取り続けている西側全体に対する抵抗となる。
いや、2015年、16年ぐらいにロシアがシリアに出張った時の状況は、まさしく抵抗といった趣だったけど、そこから4年経って、既にこの古豪ががっちり組んでしまったので、すでに事態は、現地古豪による外来者に対する抗議であり、来るなら来いというプレッシャーでさえある。
変わったわけですよ、ほんと。
2015年9月の国連総会の「Do you realize what you have done? (あんたら何したかわかってますか)」演説は、ユーラシア古豪諸民族による反抗の狼煙でしたね。
国連総会70: プーチンのスピーチ
イランディールと2015年9月
■ サウジは守れなったわけだよな・・・
で、上の3古豪会談の中で、ドローンについて、イエメンの状況はカタストロフィーというべき状況、これを関係者が集まって解決するのが重要だとひとしきり厳しい顔で語った後、プーチンが面白いことを言っていた。
ここはトルコ、ムスリムがマジョリティーのところなわけで、私としてはコーランの一説を思い出さないわけにはいきません、ときて(唐突なフリをしていることを自覚しているのか既に顔が半分笑ってるプーチン)、
コーランでは、自分の人々を守るため以外のあらゆる暴力は容認しない
Any kind of violence is unacceptable except when protecting your people'
というじゃないですか。
私たちはサウジアラビアがサウジアラビアの人々を守るのをヘルプする用意があります。
そのためには彼らは1つの懸命な決断をする必要があります。
それはイランが私たちのS-300を買ったように、トルコがS-400という最高度の防衛システムを買ったようにすることです。
これらのシステムはサウジアラビアのあらゆる施設を防衛する能力があります。
だそうですよ。(ロシア語→英語の同時通訳を聞きながら書いたので概略ということ)
そして、こうプーチンが済ました顔で語っている間、ローハニ大統領とかザリーフ外相がプーチンが何を言い出すのか興味を持ってしっかり聞いて愉快そうに笑ってる。こういうの、いいわ、ほんと。
このtwitterにこの部分の超短い動画が入っているので見ると雰囲気がわかると思います。gooブログはblockquoteのスクリプトを受け付けない仕様になっているっぽいのでそのまま貼れないのが残念。
で、まぁ、つまるところ、サウジアラビアは防衛のために、米国、中国に次いで世界第3位ぐらいの金を使ってることが知られているが、しかし、それであれなの?ということでしょう。
プーチン、済ました顔してものすごく強烈な皮肉を言ってる。(ホントは誰がやったのかを知っていたとしても、尚この議論は有効)
西側メディアは、イラン叩きに大忙しですが、日本の国家予算ぐらい使ってるアメリカの軍事・諜報予算って何、って話だわなぁという方向からは誰も突っ込まない。
でも西側でないところではそんな制限はないわけで、自由にいろんなことを語り、その示唆を巡って笑ってみたりする、と。
古豪復活万歳と言いたいと思います。自由真理教という強烈な新興宗教団体こそ西側の姿ですわ、ほんと。
■ 礎(いしずえ)
ことこうなるためにはロシアとイランの関係の改善が無茶苦茶重要で、それとトルコをイスラエル、サウジを現地とした西側のシリア侵略集団から外して行ったプーチン政権の手腕は見事だった。
このへんは6月に、ロシアの安全保障会議書記のパトルシェフが言った、
イランは常に私たちの同盟者でありパートナーですし、そうあり続けています。これに伴い私たちは二国間ベースでも複数の国のフォーマットにおいても関係を一貫して育ているわけです。
イランは一人ではないからね by パトルシェフ
というのが静かな大手といったところだったと後世言われるかもしれないですね。
そしてトルコ関係では、不安定な関係を肉体を持って固めたと言っても言い過ぎではないのではないかと思われるのが、殺害された駐トルコのロシア大使でしょう。
ロシアの大使の死はまったく無駄でないどころか、トルコを後戻りさせないための漆喰となった。大使は間違いなく、これでいいと言うでしょう。
アンカラのロシア大使館のある通りは、亡くなった大使の名前を付けることになったそうだ。
アンカラの通り、ロシア大使の名に改称へ
https://jp.sputniknews.com/incidents/201612203158843/
宴の始末(25) ロシア・イラン・トルコの3国による共同対応
大きな展開には必ずそうしていった人々の取り組み、礎となるものがあるもの。それを忘れないために、名前を残したり、銅像やらレリーフやらを作ったりしてきたのが人の歴史。
サダムフセインとかレーニン、スターリン、その他ソ連の将軍たちの銅像を懸命に倒して喜んでいる西側というのは、マジで、根のない集団だわなといったところ。石に刻んだら来週嘘をつくってわけにいかないもん。