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愚か者どもが夢の後といった趣き

2018-12-31 22:57:22 | アジア情勢複雑怪奇

12月30日のTPPの発効を見ながら思ったのは、TPPを巡る話はいつの間にかスローガンが小さくなっていること。3年前にはこんなことを言っていた。

首相「国家百年の計」…TPP対策本部設置へ
http://news.goo.ne.jp/picture/politics/20151006-567-OYT1T50040.html

TPP交渉の大筋合意を受け、記者会見する安倍首相(6日午前10時9分、首相官邸で)=中村光一撮影 【読売新聞社】

国家百年の計がTPPだそうですよ

2015-10-06 18:17:46
 

アメリカを含めた12カ国で世界のGDPの40%だ、これに入ってない中国は不利だとかいう話がウリだったのだが、冷静に考えれば実におかしい。なぜなら、その巨大ブロックの中の国の人たちはみんな中国、インドという巨大市場に執着しているんだから、集まったからといって、かつてのソ連相手のコメコンみたいに、あっちと付き合うな、とか言えない。最初っから内側でタコの足を食い合う競争みたいなものしか見えない。

だから、どうしてTPPが国家100年の計などと言えたのか今でも謎だが、この枠組みを作ろうとした人たちの最初の問題は、私が思うに、他にあったのではなかろうか。

それは多分、ユーラシアの団結、就中、リスボンからウラジオストックまでのEUとユーラシア連合(EEU。ロシアとその周辺国)を阻止したかった、のではなかろうか。

前にこんなことを書いた。

こうやって考えると、ロシアのEEUと欧州EUが統合されたら、やっぱりすごいインパクトだったんだわなぁ~とかあらためて思う。地続き、歴史続きで、域内には農業が強いところもあるし、資源大国がじゃーんと存在しているし、文化もテクノロジーもあるしってんで最強ブロック疑いなし。その上でチャイナ、インド、イランとそれぞれ良好な関係が期待できるとなったらどうするよ、なんだよね。

そこで、ロシアEEU+欧州EUを潰すために、欧州NATO(つまりEU)と極東NATO(つまり日本とオーストラリア・NZ)で対抗しようとしたのではなかろうか。

もちろんその中で、ラチェット条項だのなんだの入れて、大企業、大資本にとって都合のいい餌を振りまくことで、支援者、賛同者を集めた。

こうすることで、かつてのコメコン相手みたいに、何か事件を作って、ロシアと付き合うなと言い出し、そうすることで周辺国にロシアと付き合うと不利であることを徹底させ、ロシアを孤立させ、住民の不満を誘い、クーデターもどきをロシアで発生させ、再びプーチン以前の体制に持って行く、と。

これがウクライナだったのかどうか、悩ましいところではあるのだが、しかし、あの2014年2月に起こった事件はその時の最後のプッシュは確かにアメリカのヌランド一派だが、ず~っとウクライナをぐずぐずにしていたのはEU。特にメルケル政権。

 

結果は、クリミアのロシア系住民の機転が利いた行動を端緒に、クリミア住民の住民投票によってクリミアの住民は、ネオナチ支配のウクライナからの分離を決定し、その後直ちにロシアへの帰属を願って、無事ソ連解体後からの一環した願いであったロシアへの帰還が達成さえた。

怒ったEUとアメリカのオバマ政権は、ロシアに制裁をかけて、ロシアと付き合うな、ロシアは孤児だ、世界の孤児だ、野蛮だ、バカだ、国のつもりしているがガソリンスタンドのようなものだ、石油しかない国だ云々カンヌンの大騒ぎが始まる。

それをしのぎなら、ロシアは翌年2015年5月8日、ビクトリーデー(対ナチス戦勝記念日)の前日にロシア訪問中の習とプーチンが協力の合意に調印。

Russia and China Sign Cooperation Pacts

https://www.nytimes.com/2015/05/09/world/europe/russia-and-china-sign-cooperation-pacts.html

 

結果的にユーラシア連合と一帯一路構想がドッキング。

欧州NATO(つまりEU)と極東NATO(つまり日本とオーストラリア・NZ)は、同盟よ同盟、私たちは同盟、みたいにして団結させることができたが、中露が結託してはロシアを孤立させ、中国を最低でもニュートラル、実質的に西側主導体制に入れるという枠組みはできなくなった。

さらに、2015年9月末にはロシアのプーチンが国連で演説して、名高い「あんたたち自分が何をやったのかわかっているのか」という叱責が来て、その数日後に、シリア国からの正式な要請を受けてロシア軍がシリアに登場。

ロシア軍が入ってみたら、あるわあるわの西側が勝手に他国に作った施設の山。要するにシリア東部の石油地帯を勝手に占領して、道路引いて、施設作って、トルコまで運んで売りさばくという商売をしていた。

それをロシア軍にぼこぼこにぶち壊されたので、これまた西側の「有志連合」たらいう強盗連合が怒る、怒る(笑)。

 

■ トランプ:繋ぎ直し作戦へ

という流れから考えるに、トランプの登場というのは、事件を起こして侵略していく作戦(特にオバマのアラブの春などが顕著)が機能不全に陥ったのみならず、ユーラシアのロシアと中国が背中合わせでくっつくという事態を前にしたアメリカの戦略を背負っていると考えるべきなんでしょう。

で、前にも書いているけど、シリアではアメリカもフランスもイギリスもドイツもその他トルコを含むNATO諸国も、全部、まったくの侵略者なわけですよ。

その前に、アフガンもイラクもリビアもセルビアもみんなそうだが、とりあえず直近の事件であるシリアは笑っちゃうほどの強盗作戦。

ウクライナは、外国勢力によるクーデター作戦なので、これはロシア革命パート2みたいなものでしょう。ロシア本体でもクーデターを画策していたが、できなかった。駐ロシアのアメリカ大使マックフォールがこの首謀者だったんでしょう。ウクライナ危機後ロシアから追い出されたわけだが。

 

■ ウクライナを背負わないとならないEU

で、ウクライナ問題の最後のフェーズでクーデターの立役者だったオバマ政権はいない。トランプは、オバマ政権に入り込んでいた異常な反ロシアグループを今のところ登用していない。

ウクライナへの支援という名の軍事協力はしているが具体的に何を目的としているのかは不明。

なにか日本の中の国際関係がらみの記事を書いている人は、アメリカは世界中から引き上げる~みたいなことを言ったりするけど、不要不急なところを整理しているだけで世界中に大きいものだけで800カ所、連絡用みたいなのを入れると3000カ所持っていると言われる基地がそう簡単になくなるわけないでしょう。

それどころか欧州方面では増えてる。バルト三国に兵を駐留させ、ポーランドに基地作るとかいう話は止まってないと思うので。これは、巨大な負担になります。

 

で、これをEUに負担させるとなったらEUは負担するんだろうか? また、ウクライナはオリガルヒとバンデラ主義者がくっついた状態でそこが「政権」なんていう名でよばれてるわけで、まったく国民のために行動することなどということは最初から考えられていない。

それを4年放置した結果、4000万の人口のうちの何百万人かがウクライナから脱出してる。誰もはっきりした統計を持っていないらしい。行き先は主にロシアとポーランド。で、ウクライナのこの腐ったキエフ政権が徴兵しようとしても、知らん顔して逃げたままになってる人たちが多数いることが1ヶ月ぐらいロシアのテレビで報道されていたそうだ。

それをみんなロシアのせいだ、ロシアのせいだ、と言ってすましているのがドイツとフランスなわけだが、アメリカにオバマがいなくなったら、この2国(+ポーランド)はどうするつもりなのだろうか? 4000万が3000万になっても相当な人数ですが、食わせるんでしょうか?

さらにいえば、バルト三国の経済的、社会的苦境もシャレになってない。というか、ロシアと喧嘩することによって西側に頭を撫でてもらって自尊心を満足させ、一部オリガルヒを儲けさせるという設定を永遠に続けるとすると、その間ずっとEUは補助金を支払っていかないとEU内の国としての水準を見た目だけでも保つことは難しいと思われる。3国ともにソ連崩壊後人口が25%前後減って、若者がヨーロッパに出たまま帰らない。

何が問題といって、3つのうちの2つは特に、大きなロシア帝国(又はソ連)を背後に背負った港湾として欧州に向いている、というのがウリな場所なわけですよ。豊かさもそこから来る。それがロシアと敵対することとなったため、ロシアは自前の港湾整備をしてしまってもうバルト三国を利用しなくてもやってける。つまり、豊かさの源泉が失われてる。

 

■ 化けの皮がはがれてるドイツとフランス

で、ドイツとフランス、特にメルケルのドイツは、ヒトラーもできなかったウクライナ略奪に成功したわけだから喜んだらどうだろうかと思うが、喜んでもいないですね(笑)。

喜んでないどころか、戦々恐々なのではないのか、という考えも成り立つでしょう。インド人の元外交官Bhadrakumarさんはその線を指摘してる。

米国がシリアから撤退すると、フランス、ドイツもまた、国際法に違反し、なんの正統性もないのにシリアに軍を出していたことがあからさまになる。

ドイツとフランスは注意深く、リベラルな国際秩序の担い手というイメージを作ってきたわけだが、ドイツとフランスのシリアに送った兵が勝手に他国で人殺ししているということは戦争犯罪。

で、皮肉なことだが、これを見過ごすかいなかは、ロシアの腹一つともいえるだろう、と。

For both Germany and French, a piquant situation also arises because the US withdrawal from Syria will expose their own covert military intervention in Syria without any UN mandate, lacking legitimacy under international law. Ironically, there is danger that without Russian acquiescence, a cover-up of the war crimes committed by the German and French forces in Syria may get exposed in the coming period, causing huge discomfort to their carefully cultivated image as the paragon of the liberal international order. Reports in the Russian press have hinted that Moscow is in a position to expose the German and French war crimes in Syria.

https://indianpunchline.com/germany-france-struggle-with-resurgent-russia/

 

私はこれ、もっともだと思うなぁ。

マスコミが書くことは何の根拠もないことだらけだし、twitterなんかはネトウヨ、ネトサヨの各国版が活況を呈するけど、外交官はどうしたって事実関係を迫られることが多々あるわけでしょ。そうすると、ロシアとの間で嘘の上を歩き続けられないでしょう。そして、周辺各国も実はそれを知ってる。

ということは、ドイツ外務省は嘘の上を歩きつつ、常に妥協しつつ、外向きには空威張りするみたいな方法しかない。

 

で、シリアがらみでは、ロシアからはつい最近こんな記事が出て来た。

シリアからの米の軍事力の撤退は、有志連合の軍事行動に関する犯罪が明らかにされるかもしれない、と。

Withdrawal of US forces from Syria may unveil coalition's military crimes — source

http://tass.com/world/1038469

 

あら不思議、表れてくるかもしれないわ~とかいう自然現象の話じゃなくて、(ロシア&シリアは)露呈させてやることもできる、でしょ。

 

2017年には、オデッサ虐殺事件をメルケルの目の前でプーチンが語るという一件もあった。

 
■ オデッサ虐殺事件をメルケルの目の前で語ったプーチン
 

で、プーチンは、この間ドイツのメルケル首相がソチに来た時の会見の後の記者会見で、2014年5月にウクライナ南部のオデッサで起きた事件について、世界にはこれを忘れる権利はない、という言い方でこの事件を次のように語った。

あなたは覚えていらっしゃるかもしれませんが、3年前、オデッサでとてつもない悲劇が起こりました。ウクライナの過激なナショナリストたちが無防備な人々をオデッサのトレードユニオンビルに追いやり、そこで生きたまま焼きました。未だに誰に責任があるのか判明していません。グローバルコミュニティには、これを忘れる権利はありません。同じようなことが将来二度と起こらないようにするためです。

ケルチ海峡事件

2018-11-27 19:32:54 

 

■ 博打のツケ

それらこれらを考えてみるに、西側勢はオバマ政権と共に、非常に大きな博打を打ったといいうことが重要なんだと思うな。TPPとTPIP(欧州側)の話も同じ文脈で見るべきではなかろうか。

あれだけ国を潰していったことを、今もって世界の主流メディアが問題にしていないことが、非常に異常。

もちろんこれは911という、穴だらけの事件を放置していることと同様。

そしてオバマの博打は当たらず、ただ混乱が残った。

ということで、ここから先は、西側勢、特にリベラルなどと称していた、ナチ直系みたいな人たちの一群が信用を失い、侮蔑されているにもかかわわらず、犯罪を認めようともせず、暴れまわる一方で、おかしいだろうと反発してくる人たちが別の政権、政府、方針を望んでいく、ということになるんでしょう。

リベラル勢が全力で応援しているのがこういう人たちだということを、主流メディアが認めないとしても、

 

これ以上こういう人たちを野放しにすることのデメリットが見えてくるということ。

例えば、移民の流入もその一つでしょう。既にポーランドの都市の中には多数のウクライナ住民を抱えるとことがでてきているようだが、安い労働力だわ、と喜んでる水準を超えていくとどうなるのかというのが懸念される。

この際、上のような人たちをドイツが引き取ったらどうだろう? ベルリンの真ん中で「自由の戦士」的に持ち上げて、メルケルが彼らに勲章でも出したらいいじゃないか。自由の戦士のための年金を作るとか。ドイツ人が自分たちの置かれた立場をどう判断するのか知りませんが。

いずれにしてもEUが今以上に混乱することは間違いなしといった趣。


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1 コメント

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放射能汚染の寒村を手にした西側 (ローレライ)
2019-01-01 09:13:16
放射能漏れで汚染された寒村を手にした西側が唖然としているのがウクライナ、シンガポールを沖縄化した漁港にしたのがバルト三国。地政学的勝利を求めて経済学的に失敗した西側と言う話。
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