GSOMIA、駐留経費問題、中露ロードマップ

アメリカの上院が全員一致で香港人権法たらいうものを通過させ、香港の自治が守られているかをチェックすることにしたらしい。

明らかにこれは他国の主権侵害行為なわけですが、これこそアメリカの人権外交なので、まぁそうかといったところ。アメリカの大統領は誰であれみんな同じ、とプーチンが言っていたことを思い出す。

この様子は、日本で、アメリカが絶対失いたくない横須賀とか佐世保に、人権問題を作って自治権持たせて、日本政府のやり方を非難し、圧力をかけ、恫喝するといったやり方なわけだが、日本人の大多数は上下左右関係なく、この手の法案を当然だと思ってるらしくみえ、驚く。

東インド会社は健在だな、みたいな感じを持ちますね。

設計としては、日本、オーストラリアを中心に、香港、台湾、シンガポールを組み合わせて21世紀に生きる東インド会社を作るってのが現在の構想っぽい。つまり、アメリカというより英グループ色が濃い。どういう将来性があるのかさっぱりわかりません。

 

そんな中、朝鮮半島方面は、GSOMIA破棄まで数日となったところで、どうなったかなと思ったら、

「愚かな決定」「偏狭なミス」米専門家らが韓国批判の大合唱

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13424.php

とかいう記事が目についた。高ナントカさんという人の記事は読んでも意味がないので読んでないのだが、アメリカはここ数日弾劾問題の糞すぎる公聴会に腹を立てている人たちと、よかったよかったと思ってる人たちに2分され、ここが和解できる感じは一切ない。

その上に香港人権法だそうなので、その分朝鮮への関心は低かったと思う。だから「大合唱」はない。

大合唱してるとしたら、まぁ東アジアで飯食ってるシンクタンクとかでしょう。ウクライナもそう、香港もそう。本当に戦略考えている人たちがやっているというより、飯食ってるシンクタンクや各種団体が勝手に動く。

 

そもそも、GSOMIAって韓国の方向性を示唆する１つのマークにはなるだろうけど、それ以上の意味はあんまりないと思う。なぜなら、もし米軍が北朝鮮を攻めると本気で思うのなら、あらゆる条約を飛び越えて米軍が主導し、日本、韓国の軍はついていくという設計になるだろうから。

米軍はNATOもあんまり信じてない。

だから、むしろ、アメリカが日韓の駐留経費を劇的に増加しろと言っているという話の方が本質的に重要って気がする。なぜなら、そっちの方が駐留そのもののの問題だから。

米韓、在韓米軍駐留費巡る協議決裂　韓国世論の反発強く

https://jp.reuters.com/article/southkorea-usa-talks-idJPKBN1XT0KB

韓国メディアによると、米韓の交渉官は終日続ける予定だった協議をわずか１時間で終了したという。

トランプ大統領は以前から、同盟国の防衛費負担が不十分と不満を述べてきた。今月、韓国の国会議員が米当局者から来年の在韓米軍駐留経費の負担を今年の５倍超となる５０億ドルに増額するよう要請されたと明らかにし、韓国国内に衝撃が走った。

 

それだけ払っても俺たちに価値があるというのなら俺たちはいてやってもいいぜ、というオファーでしょうね。

 

他方、北の方はこのところ、アメリカを糞みそに言っている。ネナラの日本語版の2019-11-14のところ。

 われわれは、何の代償もなく米大統領が自慢できる種を与えたが、米国側はそれに何の相応措置も取らなかったし、われわれが米国側から受けたのは背信感だけである。

米国は、新しい解法で「北の核問題」を取り扱うとした大統領の公式の立場まで覆し、既存の妥当でない方式を引き続き固執しながら、朝米関係の改善と敵対関係の清算を妨げる障害物だけを引き続き積み重ねている。

今年だけでも、３月には「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル」合同軍事演習を「同盟１９」なる名称に変えて行い、８月には「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」合同軍事演習を「戦時作戦権転換点検訓練」という名をつけて強行した。そうかとすれば、いろいろな契機に特殊作戦訓練をはじめ隠ぺいされた形式の危険な敵対的軍事行動を数多く繰り広げた。 

 

ということで、基本的に現地の米軍はあいかわらずの態勢を捨ててないし、トランプ政権はちゃんとした返事もしない。であれば、対話する意味ねーよ、と。

これが概ね正式になったのは、今月前半にロシアで行われた会合で、アメリカと北朝鮮の代表が会うチャンスがあったが対話方向に向かう動きにはならなかったこと。これがだから、ダメっすのサインみたいな感じだったと思う。

Russia may have failed to broker US-N.Korea talks

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20191110_06/

 

総じていえば、今年2月に北朝鮮が今年一杯と区切ったアメリカ側からの返事の問題はワヤになったということらしくはある。まだ終わってないけど。

今年の夏前からここまでというのは、米英を中心に東アジアに作っていた体制を維持したい派が、反共体制の地場勢力みたいなのを使って盛り返してた時期なんじゃなかろうか。盛り返すというのは、要するに北東アジアでの和解を拒むって意味でしょうね。

4月末にプーチンと金ちゃんが会ったところで1ラウンド終了。そこからの現地は、和解拒否の路線以外になかった。

プーチン・金会談から一夜明けて

 

そんな中、北朝鮮の崔善姫外務次官がモスクワ入り。

優秀な外交官のおばさん。

North Korean vice foreign minister sets out on visit to Russia 

https://tass.com/world/1089755

 

ロシアの外務次官のモルグレフさんは、朝鮮半島の安定のための新しいプランをロシアと中国が考えてるので、北の崔さんの訪露に合わせて見せようと思う、と言っている。

Russia, China coordinate new plan on settlement on Korean Peninsula — diplomat 

https://tass.com/world/1090677

 他の部品に比べて口が小さすぎるイゴール・モルグロフ外務次官。

 

で、その中では、国連安保理でのプラットフォームを含め、北の制裁についての話し合いを開始してもいいんじゃないかな、と言ってる。つまり、段階的な制裁解除の問題ですね。

これは、オバマ以前まで戻すというところまでは各国合意できる可能性はあるのではなかろうかと思ってみたりもする。

オバマ政権は、他国に制裁を課すという点でみて、ちょっと異常な制裁をかけて北朝鮮がどことも交易できないようにした。これでは交渉にならない。

まぁ、要するにオバマは、イラクの子ども50万人が死ぬような制裁でさえやる価値があったと言ってしまうマデリン・オルブライトと同類。

一体全体、そんな制裁にどんな意味があるものなの？　それは相手を粉砕する、虐殺する、全滅させる、といった発想を持つ人にとってしか意味はないでしょう。まさに異常。

そしてアメリカを含めたカナダ、オーストラリアという英語圏といのは、共存型ではなくて、先住民を虐殺して新しく秩序を立てて暮らしてる人々です by チョムスキーというのを思い出す。

 

■ オマケ

北朝鮮はアメリカに対して糞みそなだけでなく、日本の安倍についても糞みそなのは言うまでもない。

9月21日には、ネナラ日本語版に

白日の下にさらけ出された「拉致」という
決まり文句の欺まん性 

という記事が出ていて、

二言目には「拉致問題」をけん伝する日本反動層を嘲弄するかのように、列島内で「特定失踪者」が次々と発見されている。

最近、警察庁は1983年に失踪して「北朝鮮の拉致可能性」を排除できないとされていた山形県出身の男性が昨年の4月、国内で死体で発見され、1990年に行方不明となった女性も今年の6月、無事のまま発見されたと発表した。

去る5月と8月にも、数十年前にいなくなった住民らの所在が国内で確認され、「北による拉致可能性を排除する」と公式に認めたことがある。

警察当局の頻繁な発表が立証するように、日本政府があれほど騒ぎ立てる「拉致問題」とは結局、自国内行方不明者問題として、政治化、国際化する何の名分もない稚拙な欺まん劇にすぎない。

と書いていた。

北朝鮮に言われるまでもなく、実際ウチの政府のやっていること、言っていることはどこまでどうなのか国民も疑問に思うことだらけ。

でも、北朝鮮のこの記事は、日本がやたらに追加で、この人もこの人も拉致、拉致、拉致の可能性があると積み上げた部分であって、70年代後半の人たちとは違うのではなかろうか。ということは北は北で一定の日朝間の暗黙の了解みたいなものをホールドしているってことなのではないかと考える。

北の態度は別として、むしろ日本人にこそこの特定の時期の「拉致問題」というのは一体何なのかを知る権利があるよね、実際。小泉訪朝の頃なんかもう、狂ったように北朝鮮は悪の国ぃいいいいい、みたいな集団的発狂状態になっていたものだった。

いやいやしかし、総じていえば、北朝鮮との国交樹立というものがこれほど「タブー」であったとは、ほんと驚き桃の木欺まんの20世紀、みたいな日本史ですね、これは。

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