今年の2月に
そしてプロパガンダが残った
という記事を書いた。
ロシアのプーチンを憎んで、憎んで、憎んでここまで来た西側ステルス帝国に残されたものはこんなくだらないプロパガンダだらけの世の中ですよ、という意味で書き、概ね、西側の歴史の嘘があまりにも非道だという話に焦点を置いていた。
そして、こんな馬鹿みたいなプロパガンダをしたところで、英米がナチスの残党をドイツで(そしてあまり世界的な話題になってないが日本で)、戦後ずっと匿ってきて、都合のいい「ホロコースト」神話を作り上げることによって、ソ連領内の無辜の民の死を歯牙にもかけず人権などとのたまわっていたことも明らかになった。
欧州がネオナチ同盟諸国として朽ちていくとしても、それは誰のせいでもない。
バンデラを称えるウクライナ&欧州ネオナチ同盟
で、それはそうと、昨日書いたように、サイエンティストがまったく頼りにならなくなった世の中というのも、この「そしてプロパガンダが残った」の別だが同根の光景だろうと思う。
コロナ、台風、ナワリヌイ…安物劇場化する世の中
嘘だろうがなんだろうがそんなことはどうでもいい。うまく生き残ろうと思うのなら、それが俺にとっては最適だという発想が優位に立ってしまい、それを覆すことができなくなった光景を私たちは見ているのだろうと思う。
こういうのって、段階的なもので、世の中にはそういう「ヒラメ」もいるが(上ばかり見ているという意味)、でも、ちゃんとした人の方が多いと思って状況を放置していると、ヒラメだらけとなり、かつ、そのヒラメ軍団が力を持つと、今度はヒラメでないと生きられなくなる。
■ STEM学生
で、私たちの、嘘優先、おべんちゃら優先、「お約束ごと」優先、エライ人が書いたらその話優先の社会を営々と作り上げてきたわけだけど、それと直接的な関係を求めるのは無理があるとしても、何か、下図のような数値との相関は確かにあるのかもしないと思える。
これは各国のSTEMを専攻して卒業した学生数を比較している。3年前のForbesに出ていた。
STEMというのは、stem science technology engineering mathematics
つまり、科学・技術・エンジニア・数学のそれぞれの頭文字を取ったもの。
The Countries With The Most STEM Graduates [Infographic]
一見してわかる通り、中国がべらぼうに多い。インドも人口に対する比で言えば中国に負けるが実数ベースでは多い。
いかにも、発展しよう、なんか作ろうとしている人たちだという感じですよね。
そして、アメリカとロシアというかつてのビッグ2がすぐ下にいる。
そして、この2国がほとんど同数だというのも非常に興味深い。
アメリカの人口は3億3000万、ロシアは1億4600万なので、アメリカはロシアの2.2倍ぐらいの人口。そこでSTEM系学生が同じぐらいだということは、ロシアにおいてはアメリカの倍ぐらいSTEM教育が行われていると言ってもいいでしょう。
さらに、日本は1億2600万の人口で、STEM学生はアメリカ&ロシアの半分にも満たない。
もちろん、教育の中身、レベルという問題もあるでしょう。しかし、どんなものでも裾野が広くないところに高い木も大きな森も育たないだろうという経験則はそれなりに有効だろうと思う。
また、STEM教育が社会の中で地位をもっている社会とそうでない社会における差異は様々なところに現れるのではないかと想像して悪いようにも思えない。例えば、社会科学系の学問や歴史・地理ベースの言説に対する実証要求度が異なるのも無理はないように思う。ジャーナリストの質にも影響するだろう。
■ 半端な比較をしてきた30年
中国が何につけ大きいのはみんなもうよく知っているとしても、上のような比較はあまり目にしたことがないかもしれない。
その小さくない理由の1つには、日本の主要紙で取り上げられる比較の非常に多くは、OECD(経済開発機構)の中での比較になっていることではなかろうかとかねがね思ってる。誰がこれをデフォルトにしているのか、外務省なのか主要メディアのネットワークなのか知らないけど、なんらかのガイドラインが存在するだろうと思ってる。
OECDには、中国もロシアもインドもインドネシアも入ってない。
OECDというのは、60年代にできた組織で概ね当時のNATO加盟国と日本で構成され、その後ソ連崩壊後の中欧州、東欧州諸国が入った。
要するに、西側ステルス帝国が完全に取り込んだ社会と表現していいかと思う。
あるいは、こうやって米軍基地(NATO軍だとしても)がぎっちぎっちに置かれて、現地住民ももはやそれがない状態を想像することすらできなくなっている国ご言ってもいいかもしれない。
世界中の米軍基地のマップ
そういう中での比較を毎度毎度見せられて、「世界では」と呼びならわしている私たちは、作られた世界の中で生きているようなもの。
よくよく考えればOECDを中心とした比較というのは、冷戦期さえ本当の比較ではないでしょ。ソ連の存在を無視して比較してたわけだから。ちなみにGDPの統計もそうで、ソ連は経済体制が異なるためいわゆるGDP統計をやってなかった。ということは、ソ連との国際比較というのはいろいろと難しかったはず。
ということで、意味不明な世界観を持って夢みたいなことを言い散らかして、その中で嘘がはびこってるというのがどうも西側ステルス帝国内部であるらしい。
やばいよなぁと思わないわけにはいかないっすよ。
私は昨今の大学教育におけるSTEM偏重は問題だと思っています。
Stanford大の黒人史研究の第一人者、Dr. Clayborneが嘆いていました。ITブーム以降、歴史学科のFacultyの人数が激減、Stanfordは、シリコンバレーの人材供給機関になりさがったと。
STEM教育は確かに大事です。が、私はSTEM偏重と大学の産業界下請化がセットになっていると思っています。学生も卒業後就職に有利なSTEM関連学部に殺到、STEM以外の学部に優秀な学生が集まらない、大学も経営上の判断からSTEMを拡充し、他の学部を縮小する。
又、アメリカのSTEM教育もマニュアル人間の大量生産のような気がします。医者にしても、学会が決めたマニュアル通りに診察するだけ、そこの医者自身の経験等というものが入り込む余地は全くありません。私はこちらで通院するたびに、ロボットに診察されている気がします。医者の仕事は、学会や製薬会社、保険会社が決めた診断基準を忠実に患者に伝えること。
場所柄、周りはエンジニアだらけですが、私はこの人達のエンジニア脳思考に違和感を覚えます。何というか、0と1だけの世界、究極まで単純化された思考は、自分にとって余計なことは一切考えない。なので、自分の専門分野以外のことは知らないし、興味もない。だから、メディアのいう事をみじんも疑わず直に信じる。これ、危なくないですか?最先端の技術者が、権力の指示を鵜呑みにするということですよ。
それと、アメリカのSTEM学生数を単純に他国と比較することはできないと思います。先日、中国の千人計画とのからみで逮捕されたハーバードのチャールズリーバー研究室のWEBを見れば、アメリカのSTEM教育の現場がどんなものかわかると思います。ロシアのSTEM学生はほとんどロシア人だと思いますが、アメリカの場合、ほとんどがアジア系アメリカ人、もしくはアジアからの留学生だということです。
アメリカの大学は、人材においても、資金においても、もはや中国という存在なしに経営は成り立たないということです。(有名な大学になればなるほど)
前半のお話は、STEMの問題というよりアメリカの教育の失敗の問題だと思います。お金と結びつきすぎ。
最後の、中国人ばかりというのはまったくそうなんですが、90年代にはそれは、MITに行ってみろ、ロシア人(=旧ソ連ブロック)ばかりだ、という時代がありました。
アメはそこらへんで何か気が付かないとならなかったわけですが、人材を買ってくることを強さと思ったらしい。
本当に日本人のいう世界って何なんでしょうね?
中国は、胡錦涛は精華大学卒のエンジニア、習近平も精華大学化学ですね。
工学部はともかく、日本で数学は重要視されないようですね。婿の一人は数学を研究、修士博士課程修了なのですが、卒業する頃は、超氷河期でもあり就職は苦労したらしい。本当に運よく数学の教師になれましたが、同窓生の多くが定職についていないとか。
>こうやって米軍基地(NATO軍だとしても)がぎっちぎっちに置かれて、現地住民ももはやそれがない状態を想像することすらできなくなっている国ご言ってもいいかもしれない。
本当に何とも思ってないですね。中国が侵略してくるとか言っていますが、とっくにアメリカに侵略された状態だという事を認識していません。
中国やロシアの身になって考えられないのですね。