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ロシア、北朝鮮に「よく覚えていてくれました」賞

2020-05-06 13:23:14 | WW1&2

昨日、ロシアは、北朝鮮が、1945年の朝鮮の解放で死んだソビエト兵士を覚えていてくれたことに感謝して、金正恩さんにメダルを授与した。

実際に受け渡しをしたのは、平壌のロシア大使と北朝鮮の外相。

これはロシアTASSの記事。「1945年、朝鮮の解放の時に死んだソビエト兵士」を記念するにあたって金ちゃんはよく貢献してくれましたとある。

Kim Jong-un awarded Russia’s Victory anniversary medal - embassy

https://tass.com/world/1153049

North Korean leader awarded for his major contribution in commemorating Soviet soldiers, who died in 1945 during Korea’s liberation

In this photo released by Russian Embassy in the DPRK/Russian Foreign Ministry Press Service on Tuesday, May 5, 2020, Russian Ambassador to Democratic People's Republic of Korea Alexander Matsegora, left, and Democratic People's Republic of Korea Foreign Minister Ri Son-gwon, foreground right, both wearing face masks to protect against coronavirus, attend a ceremony of awarding North Korean leader Kim Jong-un with Russia's 75th anniversary Victory medal for his major contribution in commemorating Soviet soldiers, who died in 1945 during Korea's liberation, at the Mansudae Palace of Congress in Pyongyang, North Korea. Russian President Vladimir Putin has awarded Kim Jong Un a commemorative war medal marking the 75th anniversary of the victory over Nazi Germany. (Russian Embassy in the DPRK/Russian Foreign Ministry Press Service via AP)

 

これは、1945年8月に起こった、ソ連軍の満洲侵攻の話ですね。これによって、大陸にいた日本軍の、特に関東軍が壊滅的に負け、それと同時に朝鮮北部からも日本軍が追い出されたという経緯のこと。前に書いた通り、これはどうあれ朝鮮民族にとっては日本からの「解放」。

関特演と1945年ソ連満洲侵攻作戦

朝鮮の解放と朝鮮戦争レジーム

 

で、この話はAPが書いて、それをアメリカの主流メディア各紙がかなり早く伝えた。ボイス・オブ・アメリカもAPが伝えたそのままだった。

この系統の記事は、いつだかなんだかわからないが、「北朝鮮の領土で死んだソビエト兵士」になってる。

Putin Awards Commemorative WWII Medal to Kim Jong Un

https://www.voanews.com/europe/putin-awards-commemorative-wwii-medal-kim-jong-un

The medal was awarded to the North Korean leader for his role in preserving the memory of Soviet soldiers who died on North Korean territory, the statement said.

 

この曖昧模糊の表現が一番出回っていると思うけど、ニューズウィークは、

「1945年に、日本の支配から朝鮮半島を解放した時に死んだソビエト兵士」

Russia has awarded North Korean leader Kim Jong Un a World War Two anniversary medal, in recognition of his nation's efforts to commemorate Soviet soldiers who died during the liberation of the Korean peninsula from Japanese control in 1945.

https://www.newsweek.com/putin-awards-kim-jong-un-world-war-two-commemorative-medal-days-after-dictator-re-emerges-public-1501998

とあった。

言うまでもなくこれが正解なわけですね。

 

さて、日本のTV朝日。

ロシアは北朝鮮の金正恩委員長に対し、第2次世界大戦で犠牲となった旧ソビエトの国民への追悼の姿勢を評価してメダルを授与したと発表しました。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000183329.html

 

兵士ですらない(笑)。「第2次世界大戦で犠牲となった旧ソビエトの国民」って、どういうこと??? 次のパラグラフもこんな。

平壌のロシア大使館は5日、第2次大戦で命を落として北朝鮮に埋葬されている旧ソビエトの国民の追悼などに「個人的に多大な貢献を行った」として、金委員長にロシアの戦勝75周年記念メダルを贈ったと発表しました。

 

ここも微妙。「金委員長にロシアの戦勝75周年記念メダルを贈った」じゃなくて、北朝鮮は、朝鮮の解放にあたって死んだソ連軍兵士のことを覚えていてくれている、commemorateしてくれていることに、ありがとう、あなたは立派ですというメダルをプーチンが金ちゃんにあげたという話。

 

去年の8月にも、今年の4月にも、北朝鮮は朝鮮の解放のために戦ったソ連軍兵士に感謝するという言明をしている(もっと前にもしてるかもしれないけど、私はよくわからない)。

北朝鮮:朝鮮の解放のために戦ったソ連を語る

これらの行動も含めて、ロシアは北朝鮮が覚えておいてくれたことを喜んでます、と言ってるわけですね。

言外にあるのは、当時、ナチから解放されたことを多数の市民がよろこんだにもかかわらず、現在、ソ連軍を侵略者扱いしてるポーランドとかチェコ政府(またはエリート層)に対する非難でもあるでしょう。

ナチのドイツはソ連領からドイツ領まで、おとなしくなんて退却してない。その間、ずっと戦いがあってソ連が各都市を解放していって、負けたからドイツ軍が退却してる。この事実を無視してる。

1945年1月17日:ソ連赤軍ワルシャワ解放

1945年2月13日、ブタペストついに陥落

 

 

それはともかく、このブログを長いことを読んでくださっている皆さん、ついに私たちの読みは正しかったというモメントが来ましたね!

マジで、どうやら、ほんとーーーにマジで、朝鮮の日本からの解放にとって最も功績があったのは、そりゃソ連だろ、という事実でしかないことを、どうしても認められない、認めたくない人たちが存在する。

馬鹿みたいな話なんですが、そう。

北朝鮮との関係がこじれまくってるのは、拉致なんかじゃない、この史実を認識したくない、認めたくないから。

どうしてそうなるのかというと、ここを見ると、

ソ連が満洲の日本軍をクリアに破壊したからこそ大陸での日本軍は明確に敗北した

これを認めなければならないからでしょう。

そうすると、原爆で日本は降伏したというアメリカの言い分が崩れるし、そうすると、原爆なんか不要だったというソ連とアメリカ軍将校たちの意見も見ないとならない、そもそも陸でソ連、海でアメリカに負けたといっていい状況だったのに、なんでアメリカだけ占領してるんだ、という話も解きほぐさないとならない。

そして、ドイツと組んで東西からソ連を攻めていて、極東軍事裁判でもその件はしっかり訴因の中に組み込まれている。にもかかわらず、日本ではここを解きほぐしたことがない。

東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい

 

といったことの諸々があるため、北朝鮮という存在がとても目障りなのが日本ちゃん、ってことなんだろうなと思う。

だからここを消そう、と。それはちょうどナチスに反対した人たちが作った東ドイツを有無を言わさずつぶして、知らん顔してナチ・ドイツ再びになってる現在のドイツのように、と。

ベルリンの壁の崩壊:ナチ・リベ勃興の日

 

 

で、なんでメダル授与になったかというと、今年の5月9日の、対ナチス戦勝記念日に金正恩さんは出席する予定だったわけです。だけどコロナの感染拡大がおさまらないので5月9日に向けて作ってた巨大な75周年イベントは殆どが中止となった。(単にモスクワでパレードをしているだけではなくて、国中でイベントがある)

そこで、メダルという話になったんだろうと思う。

 

■ 要するに北を認めたくない

前にも書いた通りこんな感じが現状。

■ 覚悟していないのは誰なのか

要するに、北朝鮮問題って、中露が韓国を国家承認した時に、米、韓、日も北朝鮮を国家として承認すればよかったって話じゃないんでしょうか。

現在、国連加盟国192カ国中、26カ国が承認していない。こんな図。緑は承認しているところで、グレーが承認していないところ。一見して明らかなように、日米案件だよね、これは。wikiの項目が結構詳しい

 

 

ポンペオ・習会談、プーチン・金永南会談、プーチン・習会談

 

■ オマケ

で、過去数カ月、ずっと金正恩は死んだ、死んだという噂が絶え間なく流れてたわけですが、その方面の人たちは一体何をしていたんでしょうか? 非常に謎で、そして怪しい。

新コロナ:戦後政治の舞台裏が暴れてる的な趣

■ オマケ 2

Kim Jong-un accepts WWII medal awarded by Putin days after DEATH rumors spread by Western media 

https://www.rt.com/russia/487828-russia-award-kim-medal/

Kim Jong-un accepts WWII medal awarded by Putin days after DEATH rumors spread by Western media

 


 


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4 コメント

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Unknown (ローレライ)
2020-05-06 21:33:11
アメリカも避けた関東軍帝国を処断したソ連の功績を忘れさせたい日米ナチス残党に朝露がメッセージ。
返信する
アメリカにはできなかっただけ (ブログ主)
2020-05-07 14:16:07
ローレライさん、

アメリカには関東軍を駆逐するだけの能力がなかった。だからソ連にやってもらうしかなかった。それを知りたくないのが日米アホの子同盟って感じですね。

アメリカが現在の凋落を招いた1つの大きな原因は、ソ連ができることは自分もできると思って来たことじゃないかと最近つくづく思います。できなんです。大きな陸戦なんかやったことないんですから。
返信する
姑息きわまりない (名無しの在日)
2020-05-07 16:32:30
>第2次大戦で命を落として北朝鮮に埋葬されている旧ソビエトの国民

歴史を知らない今どきの一般日本国民には「何が何やら」でしょうね。しかも「個人的に」うんぬんとか笑。このメダル授与とそれが意味するものを、金正恩氏周辺の事情レベルに限定しようと情報操作を試みる日本マスコミに「お前ら必死だなw」と声をかけてあげたいくらいです。

>中露が韓国を国家承認した時に、米、韓、日も北朝鮮を国家として承認すればよかったって話じゃないんでしょうか

70年代中頃からは、一時そういう案も検討されたんですよね、「クロス承認」と当時は呼ばれてましたけど。ただこれは米国が中心となって打ち出した構想で、南側と日本は同調の意向を示したものの、北側が強く反対していた(「分断固定化を招く」という理由から)と記憶しています。

メチャクチャな政策の積み重ねで事態をややこしくして時間を空費したあげく、現状こうなんだからしょうがねえだろ的に何かデカいプランをぶち上げるのが「極東NATO」の常道ですから、常に問題の本質と起源を踏まえる北側の統一政策を考えると、当時は蹴られても無理もなかったとは思います(南北の国連同時加盟が実現する15年ほど前の話でもありますし)。

>オマケ

案の定ご本人がピンピンしながら登場したことで「北首脳部危機説」は尻すぼみになりましたが、対北警戒モードそのものは方向をやや変えていまだ続いていますね。気持ち悪い動きです。
返信する
メダル受章者が他にもいた (名無しの在日)
2020-05-09 16:50:27
本記事に「オマケ2」が付いたことに悪ノリして、連投させていただきます(すみません)。
北朝鮮のwebサイト「ネナラ」によると、金委員長と同じメダルを受章した人たちがいたようです。

(以下引用)
「抗日革命闘士にロシアの戦勝75周年記念メダルを
抗日革命闘士にロシアの偉大な祖国戦争勝利75周年に際して記念メダルが授与された。
抗日革命闘士である李英淑さん、朴京淑さんに授与される「1941―1945年偉大な祖国戦争勝利75周年」記念メダルと証書を6日、ロシア大統領の委任に従って駐朝ロシア大使が当該部門の活動家に伝えた。
2020-05-07」

抗日革命闘士という言葉は「金日成氏が率いた抗日パルチザン隊員」とほぼ同義の意味で使われますので、このお二人(名前からお察しかとは思いますが、ともに女性です)は生き残りの隊員なのでしょう。

それにしても解放から数えても75年ですから、たいへんなご高齢かと思われます。どんなに若くても95歳を下回ることはないんじゃないでしょうか(ひょっとすると、抗日パルチザン最後の存命者なのかもしれません)。
当然国内での栄典にはすでに与っているでしょうが、若い身空で抗日武装闘争に身を投じた自らの決意を、人生の最晩年にきてロシア=ソ連によって評価されるというのも、このうえなく誇らしいことでしょう。
 
返信する

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