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プーチン:エジプト訪問前にフメイムに降り立つ

2017-12-11 20:26:11 | アジア情勢複雑怪奇

プーチンは本日は、トルコ、エジプトを訪問することになっていたが、その途中シリア西部のフメイム空軍基地に降りたち、ロシア軍将兵を前に、シリアでの作戦は終了したと感謝の言葉を述べた。

Putin orders withdrawal of Russian troops from Syria during surprise visit to Khmeimim Airbase

 

といっても別にこの空軍基地そのものを引き上げるわけではないので、定位置以外に展開しているロシアから派遣された将兵は引き上げだ、という話ですね。要するに、兵をたたむという話。

そのスピーチにあたってのプーチンの発言の一つ。

「2年と少しの間に、ロシア軍はシリア軍と協力し、国際テロリストの最も戦闘能力のあるグループを打ち負かした」

"Over slightly more than two years, the Russian Armed Forces have routed together with the Syrian army the most combat-capable grouping of international terrorists," Putin said.

http://tass.com/defense/980174

ここで、ISとかダーイッシュといわず、国際的な、つまり国境を超えた各国からなるテロリスト、と呼んでいるのも結構なみそかも。だって、振り返ってみて、特殊な特殊な人たちだったなと思わざるを得ないから。

で、ここでこう語っているということは、戦闘能力のあるグループを出す用意は傭兵の「雇用主」にないと見た、ということと、もう一つは、やるといってもロジスティックスがなけりゃ何もできないわけで、それはこの間相当ぶち壊しているので簡単に修復できないこと、から見て現状は将兵を減らしても大丈夫であるとロシア軍は考えているということでしょうね。

軍事フェーズでの戦略的勝利を1年前アレッポ陥落で整え、その後の後始末をもう1年かかってやって、ようやく政治プロセスしかない(と相手が考えられるような)ところまで持ってきた、と。

1年前がスターリングラード攻防におけるドイツ軍の敗退で、そこで降参する手もあったのにかつてのドイツ軍と同様、そういう気にはなれず無駄に抵抗したが、抵抗しつつも方向はドイツに向かっていたようにそれは撤退だった、みたいに考えることもできる。

 

もちろん、これから平和構築のためのプロセスにあたって、まだ抵抗する奴もいるだろう。そういう場合には、

もしテロリストが頭をもたげるようなことがあれば、これまで見たこともないような攻撃をおみまいしてやる

"If terrorists again raise head, we will deliver such strikes on them that they haven’t seen so far," Putin told the Russian military.

ということですので、テロリストさんたちも考え直した方がいいかもです(笑)。

 

で、現実問題として今日のプーチンの立ち寄りは、その命令に意味があるんではないでしょう。だってそもそもコンバット想定の大派遣軍でもない上に必要がある時に増やしては帰す、という方法でやっていたから。

これは、なんの権限もないのにシリアに居座ると言い張ってるアメリカ軍の一部に対するウォーニングじゃないですかね。

もう一つは、フランスの外務大臣が日曜日に、

ロシアはISを倒したことを独り占めしてる、とか言ったというバカな発言に対するウォーニングも十分ありそう。

Russia bewildered at France’s statement on Syria
December 10, 14:12 updated at: December 10, 15:03 UTC+3

http://tass.com/defense/980102

MOSCOW, December 10. /TASS/. Russia’s Defense Ministry is bewildered at the statement made by France’s Foreign Minister Jean-Yves Le Drian that Russia has misappropriated the victory over IS (Islamic State terrorist organization, outlawed in Russia), the ministry said on Sunday.

 

フランスの発言は、シリア国民はがんばりました、それを国際社会がサポートしてテロを打倒しました、めでたしめでたし、から政治プロセスを始めようという考えから来てるとみるな。

自分で混乱を作ってシリア国民を苦しめたわけだが、自分が負けた。ではどうやって収拾するかを考えているのがフランスなどの西側チームということ。

これをさせないためにも、政治プロセスが軌道に乗るまで、シリアでの一件は、シリア国民とそれを正当な理由をもって助けたロシア、イラン、ヒズボラによって片付いたもので、アメリカ+その属国軍は基本的にテロリストの味方だった、ということ確立させる必要がある。

つか、そんなことはすっかり確立しているんだが、西側チームは詐欺をもっぱらとするので、注意が必要。特に、メディアが何をしだすかわからんので、機会をとらえて、シリア+ロシア、またはシリア+ロシア+イラン、といったことを見せんとならん。

 

とかするうちに、プーチンはエジプトに到着。趣旨はエジプトとロシアの二国間関係が注目されているけど、でも、エジプトはイスラエルを国家承認している数少ない近隣諸国なわけで、時節柄みんなが注目しているのは、エジプトとロシアの取引の話だけではないでしょう。

Putin arrives on working visit to Egypt

http://tass.com/politics/980192

 


 


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2 コメント

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『シナイ半島のイスラム国』 (ローレライ)
2017-12-12 06:48:36
『スーフィー派モスク襲撃』の『シナイ半島のイスラム国』は『派遣元はイスラエル』と認識されているが『エジプトの外交力のバックアップ』もロシアの仕事になっている。
返信する
ロシア大統領選 (simple)
2017-12-12 15:10:19
メトベージェワさんやテニスのシャラポワさん、
虐めちゃダメダメ(^_^)

「アフガニスタンにフランス・アルジェリア籍の
IS潜入ビビ・マリアム村に居住するIS(ISIL)メ
ンバー200人」という最新のニューがありま
した、半グレの乱暴者の米国の後ろに隠れ
んぼしている悪人フランス、見つかっている
んだよの図です。

そもそも、シリア部隊一部撤退はロシアの
大統領選が近いという事情です。チェチェ
ンの例も参考にすると、戦争遂行中の大
統領選は不味い、凱旋将軍としてロシア
国民に勝利をアピールするのが最上策で
す。圧倒的な投票による支持を得たいは
ずですから。

遠距離ミサイルや砲撃で地域制圧するの
は兵員の犠牲を考慮したチェチェン戦略
の二番煎じなのです。最新式のには着弾
直前までの動画を送信するものまである
そうですが、的確に攻撃対象を特定する
ためには宇宙衛星や航空機の高性能カ
メラ探査は二次的なもので、必ず地上特
別部隊の仕事が必要です、それはシリア
国軍やイラク系地上部隊だけには任せき
れない。そういうロシア兵種部隊は残置し
ておくのでしょう。

これからの注目はロシアの大統領選、
米国NATO等がそうはさせじとオリンピッ
クや「運動馬鹿祭典」でソチの時のように、
あるいはプーチンさんが海外で重要会議
に出ていたときのキエフ・ユーロマイダン
の様な準備をしている筈だと言うことでし
ょう。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
や「タレント・サーカシビリちゃん」やパレス
チナや・・予兆はあります。
返信する

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