お雇い外国人――明治日本の脇役たち (講談社学術文庫) | |
梅渓 昇 | |
講談社 |
フルベッキ、ボアソナード、デュ・ブスケなど明治黎明期に活躍した外国人顧問の貢献を描く。記述は、前半に明治維新を概略した後は、ほぼ時系列的で読みやすい。
読みやすいといったが、しかし、今の本ばかり読んでいる人にとっては読みにくい記述に思える可能性もあるかも、などと思ったりもした。というのは、この本は1965年に書かれた本を底本として2007年に学術文庫のために改訂されたものという成り立ちであるため、基本的に当時のものの見方(学術界の標準的な考え方というのか)を前提にしており、それは今のものとは異なっているから。
筆者は、導入部分で、明治維新を、国内のいわゆる封建社会内部の社会的矛盾をドライブフォースとして明治維新を描くという考え方を否定しているのだが、この否定しているという点こそ今となってはむしろ新規なものにさえみえたりもする。そういえばそんなこと考えてたんだろうなぁ、昔は、みたいな。
もちろん筆者は全否定しているわけではないし、社会内部の矛盾・対立が何も関係ないなどということはないから、それはそれとしていいわけだが、そこにまず着眼するというのは今ではもう見られないパラダイムだろう、やはし。
しかし、振り返ってみれば、今は今で、外部的要因にやたらに力点が置かれすぎている、といえないことはない。
時間的な制限からざっと読んでしまったので、また読み返す予定。