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「明治朝日本復興プロジェクト」とでも呼びたい

2015-07-05 17:06:08 | 欧州情勢複雑怪奇

明治産業革命遺産:審議延期…誤算に動揺広がる日本政府
毎日新聞 2015年07月05日 09時08分(最終更新 07月05日 11時04分)
http://mainichi.jp/select/news/20150705k0000e040087000c.html

なんでそんなに問題なんだろうと思っていたりする。しかし、後述するように、たぶんこれって折からの特殊なプロジェクトの一環なんだろうな、など思える。

とりあえず、今日も読ませていただいたあいばさんのご発言に私もほぼ同意。

●そもそも“明治の産業革命遺産”が世界に誇る遺産なのか?
それはさておき、日本の何千年もの歴史の中の1ページ(一時代)を国を挙げて賛美するなど以ての外である。明治維新が大好きな人々が多い日本のようだが、筆者のように江戸元禄文化時代が好きな人間にとっては、薩長土佐の田舎侍のテロ革命など、日本人を世界の歴史の渦に投げ込んだ「元凶」と見做しているのだから、明治維新の猿真似西洋文化などを世界遺産にするなど、下の下である。蔑む文化遺産であれば、納得できるが、東洋を捨て、白色人種になりたい?馬鹿か!

http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/42f179f89581e54104b694c61358c45a

あいばさんは江戸元禄好きのお立場から何をいってやんだい、という感じだそうですが、鎌倉・室町好きの私としは、明治維新ってゼニの病にかかった人たちと復古神道のカルト的愛好者による政権奪取でしょう、などと言ってみたい。結論はあいばさんと同じで、それを日本が誇るってのものなぁ~という感じ。

そもそも、金融資本家に誘導されながら開国というか、政権奪取をして一部西欧グループとの協働を確約しながらレジームチェンジしちゃったところから日本の一部の人たちのものの考え方が、後世いうところの植民地主義になっちゃうのはまぁ仕様でしょう。

だから、日本がこれらのいわゆる「近代化」遺産を誇ろうとすると、そのスローガンである「富国強兵」のターゲットとなった地域、すなわち韓国、中国等々が落ち着かなくなるというのも無理はないと思う。

強兵の理由は、日本国内では主観的には「欧米にやられないために」なのだけど、現実には朝鮮を支配下に置き、中国に長逗留する結果を伴った。ここにある意識上の分裂が実は日本が現在直面している様々ないわゆる歴史認識問題にずっと影響していると思う。

で、これが日本国内のなんらかの指定なら日本の事情だけでいいけで、これを世界的な遺産と呼ばれるものとするか否かは、異論のあるところでしょう。

で、当該遺産の概要らしきものに、反射炉、炭鉱、造船所だけでなく、グラバー邸が入っていたりするのも、どうなのこれって思ったりするし、松下村塾って日本の中でも評価が微妙な人を世界的な人にする気なんだろうかと、ちょっとあきれてみたりもする。

■ 「明治朝日本復興プロジェクト」とでも呼びたい

さてこれは一体何なのか。思うに、これは折からの、安倍政権周辺に集う人々による、明治朝日本復興プロジェクトとでも呼ぶべき事態ではないのか。

坂の上の雲がドラマ化されたり、大河ドラマに龍馬が登場し、次は、日本の中世では特別に経済というかお金に価値を置いた勢力である平清盛が来たりして、その次は会津ではあったけど幕末もので、今年は、吉田松陰にフォーカスがあたる。

ということは、この世界遺産指定も、同じ流れにあるでしょう。それはつまり、安倍政権の(応援団の)プロジェクトの一つだ、ということなんでしょう。

で、この政権は、明治維新は素晴らしい、薩長政権は素晴らしいという発想があることはもはや疑いはなく、その上で、この前の小林節先生による日本会議についての言明を読むとさらに理解が深まる。深まってどうするんだ、という気もするけど。

日本会議はわたくしはたくさん知り合いがいるので、わたくしが答えることになるのですが、
日本会議の人たちに共通する思いは、第二次世界大戦で負けたことを受け入れ難い、だからその前の日本に戻したい。彼らの憲法改正もそうですし-明治憲法と同じですし。

つまり、明治憲法下の世界の軍事大国、五大国、五つの大国のひとつとなってアメリカと共に世界に進軍したいという思いを共有する人々が集まっていて、かつ、
それは、自民党の中に広く根を張っていて、かつ、
よく見ると明治憲法下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い、

安保法制を開けたら日本会議が見えた

まぁ、つまり、その、なんだ。アナクロな人々が大日本帝国の幻影を求めているのが表面で、この文化事業が国民各層に浸透して、それが政治的勢力となれば、実際に軍を動かせる、という話なんでしょうね。文化事業を甘くみてはいけない。

でもって、私はこういう流れについてあえて付言すれば、司馬遼太郎氏をこの流れの首班と捉えがちな風潮には否定的。龍馬とか坂の上の雲を描いたことによって、明治朝日本復興プロジェクトの主要なドライバーになっているけど、でも、前にも書いたけどこの人は途中から、世の中にヤバい流れがあることに気付いた人なんじゃないかと私は思うわけです。

まぁでも、明治はよかったが昭和に入っての日本はダメだった、みたいな半端なところで手を打とうとしてもダメだっただろうなとは思う。昭和前期日本をも含めて明治朝と呼ぶべきなんじゃないかというのが私の最近の考えです。で、名前を付けて批判対象とすることによって、明治朝日本をしっかり終わらせることが今後の日本のために大事だろうと思うわけです。


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