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「リベラル」が歴史修正主義者だったというお話

2019-11-09 16:36:44 | 太平洋情勢乱雑怪奇

いやいやいや面白くなってまいりました。

夏前のG20の時にプーチンと顔を会わせたトランプが、毎年モスクワで行われている5月9日の対独戦勝記念の式典、通称ビクトリーデーに招待されたという話は前に書いたが、それについてトランプは今まで何も反応していなかった。

しかし、今回答えてる。行くとは言ってないが、大きな問題で難しいけど、招待を感謝している、できれば行きたい、だそう。

"I appreciate the invitation...I would love to go if I could."

ABC News Politics
 
@ABCPolitics
·
13h
 
Pres. TrumpsayshewouldconsiderattendingRussia'sMayDayparade, but adds "it's right in the middle of campaign season."

https://twitter.com/ABCPolitics/status/1192833826231181313

 

このtwitterに動画がついているのでトランプの声が確認できる。

 

この話はここで書いた。2019-08-20 00:02:03

終わらないロシアとの戦争&「ナチ・リベラル」

 

■ 冷戦期の歴史修正のツケ

日本の中ではそんなことが問題になっているなんてまったくかすりもしないんじゃないかと思うけど、この間の政治状況においては「歴史捏造」というのが実は大きなテーマになっている。

なぜなら、冷戦時代というのは、1945年に本当に終わった戦争を一部の英米支配者層が都合よく書き換えたことに端を発していると言ってもいいから。

前から言ってる通り、1945年に終わった大戦争は、ソ連がナチスを倒し、ソ連が日本が満洲においた大兵団を駆逐したことによって終了した。その意味でソ連なしに連合国の勝利を語るなんてあり得ない。

しかし、それだとアメリカを中心に戦後社会を作ろうとしていた側にとってはいろいろ不都合だというその時々の政治事情に押される形で(ここに一貫性があったとは思えない)、いつの間にかソ連は敵だという話になる。これは一般人にとっては全然あずかり知らないことと言っていい。

多分60年代ぐらいの人までは「それはそれとして」、だが体制の選択としてソ連は敵だ、ときっちり考えられる人の方が多かったことでしょう。

イギリス王室が率先してノルマンディーこそナチ打倒の決め手とかいう馬鹿なことを長年やってるが、そんなの嘘だとケネディーあたりまでのアメリカ人はホントは結構知ってた。いつまでも、エリザベスに付き合って鼻で笑われながら進むのか?と考えるとロシアに行くのもそう悪い話ではない。

終わらないロシアとの戦争&「ナチ・リベラル」


最後の大統領は多分ケネディかもしれない。ケネディのいわゆる平和演説で最も特徴的だと私が思うのは、ケネディはソ連の人々もまた人間だと普通に思っていること。

どのような政府や社会制度であっても、そこで暮らす人々を徳のない人々だと見なさなければならないほど、有害ではありません。アメリカ国民であるわれわれは、個人の自由と尊厳を否定するものとして、共産主義を深く嫌悪しています。それでも、科学や宇宙の進歩、経済や工業の発展、文化、いくつかの勇敢な行動でソ連の人々が見せた多くの偉業を讃えることはできます

「アメリカもイノセントじゃないだろ」がもたらすざわめき


今のリベラルにとってリベラルの思い通りにならない(e.g. 彼らが定義する体制にいない)「敵」は人間ではないですからね。そうだからこそ、リビアをぶち壊しても平気の平左。


で、お話し戻って、冷戦が進むうちに、どうやって2回目の大戦が終わったのかの話が滅茶苦茶になって、あたかもずっとソ連は敵だったかのようにな言辞が組まれるようになる。

つまり、逆にいえばナチスと組めばよかったのだ論であり、大日本帝国と組めばよかったのだ論が大っぴらに存在するようになったということ。

日本の中では、一貫してこういう人いますね。今頃になって言ってる安倍の周辺のアナクロな人たちではなく、ついこの間までの社会の中で、いやぁ、アメリカは敵を間違えたわけですな、ソ連だのと組むのが間違いだったわけですよ、わははは、みたいなおじさんは大勢いた。

そこから、実はアメリカは日本を敵だと思っていたわけではないが、ルーズベルト政権に入り込んだユダヤ人勢力が左翼だったのだ、みたいな多少本当だが全体としてみれば意味ねーよ、という話がまことしやかに語られる。

 

■ 本国とコロニー

でね。アメリカではそうはいっても、冷戦中も冷戦が終わる頃でも、ソ連の人たちの行動を普通に見ることができる人たちはいたし、今もいる。単に、どうも俺らは自己都合でいい加減なことを言いすぎたな、と反省すればすむ話。

しかし問題は、アメリカが過去74年間ハンドリングしてきた「コロニー」とそれを支えるために養成してきた子分団なんだと思うわけですよ。

昨日書いたウクライナのディアスポラ集団なんかは、もうその極北ともいうべき存在。ナチスがソ連を駆逐していたはずの妄想の歴史が彼らを支配している。これなくしては集団のアイデンティティが保てないほどに入れ込んじゃってる。

もちろん、そういう頭の弱い人たちを使って、金をせびる時にはこういえばいい、と理解しちゃって金儲けに励む、本質的にシニカルな集団がいるからこそこのメカニズムはうまく回る。

さらに、それら妄想集団と金でつれる集団がいることを理解した上でそれをハンドルする、CIAなどの上部構造が存在する。ここが話を作って、作って、ニューヨークタイムスやワシントンポストを使ってある種の「公式の物語(ナラティブ)」を管理する。

 

このメカニズムが上手くいく理由もまた所詮は妄想に基づいているからなのかなとも思う。なんでかというと、例えば日本の場合、リアルに考えればソ連にもロシアにはどの時点でも勝ててないし、どんな作戦を考えても無理だったことから考えれば、そんな状態に追い込んだ認識やそれに基づく政治こそ問題だった、という話におちつく。

しかし、妄想の中では都合よくドイツがロシアを粉砕してくれたり、別の妄想の中では本当はアメリカが付いていたりするかもしれない。そうなるべきなのだ、が、そうなのだ、になっちゃう。だからいつまでも終わらない。ホントは勝ってたノモンハン、みたいな本や発言が次から次から出る理由は、この妄想を終わらせないための燃料投下のようなもの。

 

こういう妄想に基づく物語管理というのは各地にある。ポーランドは大国なのでバルト海から黒海までを支配するのが「本当なのだ」とか、ウクライナを妨害し続けるロシア人という設定もまったく妄想だし、イスラム国とかアルカイダの類もみんな、なんらかの「大義」めいたものを外挿されているという共通点がある。もちろん、だしぬけにパレスチナこそ我が故郷とか言い出すロシア帝国周辺の普通に生きてりゃスラブ人という壮大な事件もこの類。

香港のデモ隊なんかはUKと共に平和に暮らしてた中に中国共産党が中国を取ったとか思ってそう。自由と民主主義の香港を取り返すのだ、みたいな感じ。

アフガニスタンも自国政府が正式にソ連にお願いしているというのに、外国人が攻めてくる!と言って村の若者を駆り立てて、それがムジャヒディーンとしてもてはやされ引き返せなくなった。

こういうのは各地で独自に言い続けられている分には別に目くじらをたてるようなものもでないし、独自に政治機構を正常化する際に役に立つこともあるでしょう。

問題はそこにアメリカ(その前にはイギリス)というスーパーな存在が背中につくと、嘘でも俄然できそうな気になる人が増えて、リアリズムから離れていくところ(ハンドルする側はそんなことに興味ないわけだしね)。

 

並べて考えりゃわかる通り、これは要するにコロニーのマネージメントの方法だったにすぎないし、通信網の発達と金融手段の発達を武器に世界中を支配する気でいる人たちがやってた壮大な歴史操作だったとも言える。いわゆる「大英帝国」なるものの強みはこの通信の発達と密接であり、これによって、事実を伝えるというより事実を作ることに熱心になっていったことが基礎なんじゃないかとしばしば思ってる。

 

■ 「もう無理」

で、トランプがやっていることというのは単にオバマの時代の嘘八百戦略への反抗というだけでなく、本人どこまで考えてるのか知りませんが、結局のところしばらくずっとやってきた「物語管理」が限界に来てて、「もう無理」と指摘することに尽きる。

アフガニスタンなんて20年近く居座って、何やってるのかもう誰もわからなくなってる。バルト三国が戦略的に重要だの安全保障に寄与するなんて思ってるアメリカ人はほとんどいない。イラクを中心にもう一回中東支配構造を作りたいらしいという読みもあるけど、それにしたってあちこちのボヤを収拾しないことにはリソース配分ができない。

というか、1945年のアメリカは世界中の強豪がみんな戦地になっちゃったんで工業生産がガタ落ちとなり、それを後目に世界の人口の6%で世界の工業生産力の65%を持っていたアメリカさんなわけですよ。そこで作った体制を維持するために無理に無理を重ねてはみたものの、もう無理ポとなってもまったく不思議でない。

リベラルメディアが決して大きく伝えないけど、トランプはものすごく重要な「もう無理」のシグナルを送って、反応を確かめているって感じじゃなかろうか。

「アメリカもイノセントじゃないだろ」がもたらすざわめき

嘘に飽きてる&アフガンまで通説に逆らうトランプ

 

それに対してリベラルの方は、このまま行くべきだ、なわけですよ。何がなんでもこのままだ、と思うからこそ何が何でもトランプを下ろしたい。

つまり、リベラルはこのまま歴史捏造を続けるべきだと言っている。どうするのこれ、って感じなんですが実にホント。

トランプを蹴落としたからといって、このまま行けるものでもないでしょうに。

 

■ 続報

RTが取り上げてる。トランプの発言にアメリカのメインストリームメディアが激怒してると面白がってる。

Outraged that Trump might attend V-Day parade in Moscow, MSM gets history & Russia all wrong AGAIN 

https://www.rt.com/news/472980-trump-may-day-parade-russia/

 

これはもう、アメリカの心底を試されてるといえる事態でしょう。

このままいくとアメリカ人というのは、ソ連の人間2700万人の死体を踏み越えて、ずるして自分だけエライようなことを言い続けるチキンな野郎になる。

 

中国は明らかにソ連に助けてもらった国なのに途中でアメリカに寝返ってソ連叩きに奔走したという点で実はたっぷり卑怯者のレッテルを張られる可能性があった。

が、習近平になって、戦後70周年をきっかけにソ連の人々に感謝している路線を明確にした。

再び歴史的なモメントを迎えた中露 by 習

変わり身の早さが見事というべきでもあり、流れ読んでるねとも言える。

で、このへん、本当に明確に理解できるのは実は日本人なんだと思うんだよね。ず~っとこの2国と並走してきたわけだから。もったいないね、日本の歴史学者たち。御用学者でいるよりずっと名誉ある道もあるんだよ。

 

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