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エプスタイン事件 (3) エプスタイン「自殺」と赤狩り物語

2019-08-12 13:43:57 | アジア情勢複雑怪奇

エプスタイン事件は、最初っからこの人が公衆の面前に出てきてストレートに何事かが解明されることはまずないだろう、みたいな感触を持っている人が多数いたわけだけど、事実のその通り、刑務所内で自殺したそうだ。

こんな都合のいいことは普通あり得ないだろうとまたまた多くの人がそう思う。

自殺の前日には新しい陳述書が出ていていたばかりだった。また、イギリス王室はアンドリュー王子についての証言者の証言は何の根拠もないと正式に否定していたりもした。

そんな中、本人自殺。

しかし、生きてどっかに移送されただけなんじゃないかという人も結構いる。イスラエルにいるんじゃねーの、という感じ。

いずれにしても、裁判に出てきて証言させるという恰好はこれでできなくなった。これで安堵する人もいるだろうし、よく考えればエプスタイン本人もそうだろう。ということは、生きてどこかに移送した説もありえるよなと思う。

 

で、前回書いた通り、ガールフレンドのギレーヌはどうなってるんやという話なんだが、これを追いかけているジャーナリストが見えない。一般人相手だったらどこまででも突撃するジャーナリスト、どうしたんだ!というお話。

エプスタイン事件 (2) ギレーヌは重要だ

 

それだけではなくて、元CIAのフィリップ・ジラルディ―が上手にまとめていたけど、答えられていない問題はいくつもある。

Jeffrey Epstein RIP
But Many More Questions Remain to be Answered

http://www.unz.com/pgiraldi/jeffrey-epstein-rip/

そもそも前回2008年に有罪判決を受けた時の、異常に緩い処遇のところもまだ話は終わってないだろう、と。

ハーバード大学のアラン・ダーショウィッツ、パームビーチの検事(?)Barry Krischer、そしてフロリダ州の検事アレクサンダー・アコスタの3人がよってたかった結果として、あのような分けのわからない緩い刑期となった。

Harvard Law Professor Emeritus Alan Dershowitz

Palm Beach county state attorney Barry Krischer

Miami office U.S. Attorney Alexander Acosta


そして、アコスタは、知られているように、エプスタインは情報機関の人間だから触るな、ほおっておけ、お前が対応できる奴じゃないと言われたので手心加えちゃったと証言してる。

では一体誰にそれを言われたのか? 言われたとして、その人は誰を利益を代理しているのか、そこの追及も曖昧なまま。

でもアコスタは公職について、公職として不正なことをしたんだからここを先途としてほじくるのも戦略としてあるよな、とか思ったりもする。アコスタが生存してる限りだが。


■ 冷戦構築人脈

で、どこに行くのかまったくわからないこの話だが、私は前に書いたように半身はイスラエル人脈だろうと思ってるけど、昨日、櫻井さんが指摘されていたように、この話の登場人物たちは、トランプにたどり着くと、ロイ・コーンを一つの要として別の人脈にゆきあたる。

米国を支配してきた恐喝システムがエプシュタインの逮捕で露見しかかっている

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201907190000/


 その記事によると、鍵を握る人物のひとりは1985年にHIVで死亡するまでトランプの弁護士を務めていたロイ・コーン。1953年から54年にかけてジョセフ・マッカーシー上院議員の顧問として「赤狩り」の最前線にいた人物でもある。このコーンとエプシュタインは交友関係が重なると指摘されている。

 マッカーシー議員はFBIに君臨していたJ・エドガー・フーバー長官に操られていたが、その間に入っていたのがコーン。このふたりには同じ嗜好がある。同性愛だ。

 

弁護士コーンとトランプの関係は、70年代にコーンはトランプの代理人となっているので噂とか、人脈繋がりといったあいまいなものではなくてはっきりと関係がある。同時期、コーンはルパート・マードックの代理人にもなっている。

Roy Cohn

 

■ オマケ:赤狩り物語の弱点

で、このコーン弁護士は、1951年のローゼンバーグ夫妻事件で有名な人。ローゼンバーグ夫妻がソ連に機密情報を流していたとして訴追され、最終的にローゼンバーグ夫妻は死刑になる。

私がこの問題に関して、常々不思議なのは、確かにこの夫妻はソ連のためにスパイ活動を行っていたんだろうが、スパイ活動の成果として、とりわけ核兵器の製造設計に関する情報を流した点でいえば最も重要なのはこの夫妻ではなくて、

クラウス・フックスセオドア・ホールというマンハッタンプロジェクトに本当にかかわってた物理学者たち。彼らが別々に、双方とも互いの行動を知らずに行動していたことだと今日知られているし、赤狩り当時だってだいたい知られていたようだ。にもかかわらず、こちらの方はあまり騒ぎにならない。(一昨年プーチンがオリバーストーンとのインタビューで言及していたが)

Klaus Fuchs - police photograph.jpg(フックス)

なぜだろう? と長年疑問なんだが、私の推測としては2つ。

1つは、作っている時はともかく、原爆を作って人の上に投下して以降、科学者の中でもこの兵器に懐疑的になってた人がいたことから科学者グループを疑いだすとアメリカに協力してもらえなくなる可能性があったのではなかろうかということ。

もう1つは、クラウス・フックスのストーリーを丁寧になぞると、そもそもアメリカは科学者たちを裏切ってる(ファシスト打倒で集めた)、になっちゃうからではなかろうかということ。

クラウス・フックスはドイツ人の科学者で、ナチの登場と共にドイツを去ったドイツ共産党支持者の人。(ベルリンあたりの労働運動系の社会、共産という人ではなくて、ナチが猛威をふるうようになって反ナチの運動として共産党支持になったという経緯みたいだ)

ナチは共産主義者またはドイツ共産党支持者を滅多切りにしていたので、ナチスのドイツに見切りをつける人がいてもまったく不思議でない。

混乱を無視して進むドイツ流

で書いた成り行き。

その後クラウスは、イギリスにわたり研究を続け、エディンバラ大学での教職を得たがドイツとイギリスが開戦すると敵国民として拘束されるものの取り成す人があって、結果的にイギリス国民となって研究を続ける。その後マンハッタンプロジェクトに加わる。

そしてそこから、その研究内容をソ連にも知らせるべきだと考えて、いわゆるスパイ活動をすることとなる。

これをスパイ活動だと今日多くの書物はなんの躊躇もなく書くしかし、クラウスはナチの勃興に見られるようなファシズム野郎たちの危険性を排除すべきだと考えていたとしたら(そうなわけだが)、1945年までソ連はその打倒のために多大な犠牲を払っていた人たちなわけだから、クラウス的にはソ連はまったくの仲間でしかなかったでしょう。

だから、後年文書類の扱い上スパイ行為と認定させるべき一件となったとしても、1945年までにおいてソ連が敵ではなかったこの人にとって何もやましいことはなかった、ということであろうと思う。

ついでにいえば、欧州戦線でソビエトと組んで、ドイツがおかした惨たらしいバルカン半島での戦闘などを処理していた英米の兵士にとってもソビエト兵士、あるいはロシア人は敵ではなかった。

さらに、もう1人のホールの方は、アメリカ生まれのロシア系の両親から生まれたいわゆる早熟の天才肌の人。で、この人だって、1944年や1945年において、ソ連を敵だと認識する要素はかなり小さいのではないの?


で、結果的に両方とも罪を問われるわけだけど、数年後に刑期を終える。クラウスは、東ドイツに移住。これも一貫してますね。東ドイツは、反ナチスの人たちがソ連勝利と共にドイツに戻って作った国ですから。そして中国人の物理学者にも教え中国の核開発に寄与したと言われている。

 

ここらへんの話を丁寧にほじくると、アメリカというのは要するにナチスの後継国だったんだなとしか思えなくなる。最低でも上はファシストだったなと。

2人の「スパイ」科学者と戦後アメリカがソ連に原爆300発落としてやると意気込んでいたドロップショット作戦については改めてまとめたい。

 

■ オマケ:ドイツ問題

こうやっていろいろ考えてくると、西ドイツと東ドイツが分かれるにはそれなりの理由があったのに、それを無視して、東ドイツなんてあたかもなかったもののようになってる現状というのは、既にしてプロパガンダの中にいるってことなんだろうと思う。実は非常に重要な展開。

混乱を無視して進むドイツ流

「ソフト占領」:米の占領下にあり続けるドイツ

 

極東側では、1947年に新憲法における地位が定めると、日本国民はソ連が嫌いだからアメリカさんの駐留は歓迎ですな、とばかりのことを言っていた(「沖縄メッセージ」)昭和天皇の方向性が冷戦の確定にとって重要だったと思う。

 

ドイツも日本も(ドイツ国民と日本国民ではない)、自ら進んで英米体制に入っているとしかいいようがないので、今更占領されていると恨み言をアメリカにだけ言っても始まらんと思う。


 


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1 コメント

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独房で自殺できるか? (セコイアの娘)
2019-08-13 05:23:01
案の定と思った人は多いはず。独房でどうやって「自殺」できるんだか。彼が「自殺」して、一番ホッとしているのは誰だ?
核心まであとちょっと、というところで、幕がひかれるのは、毎度のことだが、残念。
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